基本から学ぶ!ヘアカラーの知識はどんなシリーズ?
ヘアカラーは技術力だけではなく、色の知識・髪質の見極め・使用する薬剤の理解など、様々な知識が必要です。
このシリーズでは、ヘアカラーに関わる基礎知識とレシピの考え方が学べるシリーズです。
ヘアカラーのしくみを学ぼう!
Vol.5 アルカリカラー剤が明度の違いを表現できる理由とは?
Vol.6 ブリーチ剤には何が入っているんだろう?ブリーチの仕組みを徹底解説!
Vol.8 どうしてヘアマニキュアは傷みにくいの?
Vol.9 カラーリングに必要な色彩知識とは?
Vol.10 ダメージ毛にカラーリングするとどのような現象が起こるの?
Vol.11 ダメージがすすんだ髪をきれいに染めるためには?
カラーリングしたのに色が変わるのはなぜ?
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カラーリングして数日が経つと、もともとの色みが薄くなっていきます。いゆる褪色と呼ばれる現象です。
今回は、カラーリングしたのに色落ちしたり、変色したりする様々な要因について解説します。
こんなことが学べます
・ 髪色の褪色と使用する水のpHとの関係
・ 色みによって異なる褪色の傾向
・ 熱で色が変わる原因
今回のカラーレシピはくすみ感のある暖色系とペールバイオレット系の2種類をご紹介!
髪色の褪色と使用する水のpHとの関係
カラーリング後、毛髪内部にとどまっていた染料が、キューティクルのすきまから流れ出ていくことを「褪色」という。
通常は閉じていて、毛髪内部の染料の流出を防いでいるキューティクルが膨潤して開くと、染料が外に出やすい状況となる。
髪を膨潤させるのは、アルカリ。つまり、アルカリ性の水をヘアカラー毛に使用すると、褪色しやすくなるということだ。
反対に、酸性の水を使用すると、キューティクルが収れんして閉じるので、染料が外に出にくい状況となる。
ところが【図1】の毛束実験の結果では、褪色しにくいと考えられた酸性の水溶液に浸けた毛束の色が大きく変わってしまった。これは、毛束から染料が落ちたわけではなく、色そのものが変わってしまう「変色」が起こったと考えられる。
つまり、酸性の水は、褪色を遅らせるには効果的だが、変色のリスクが高まるということ。
色みによって異なる褪色の傾向
褪色の要因は、毎日のシャンプーやトリートメント、そして紫外線。
特にシャンプーやトリートメントは、回数が増えるに従い、毛髪内に残存する染料を減らしていく。
ただ、ブラウン系の色みは、シャンプーやトリートメントの回数が増えても毛髪内部にとどまる色素が多い。
その一方、アッシュ系は少なくなりやすい。ブラウン系の色素は分子が大きくキューティクルから流れ出にくいが、アッシュ系の色素は分子が小さいために流れ出やすいので、そうした褪色の違いが生じるわけだ。
なお色みごとの褪色の傾向は下記の通り。
熱で色が変わる原因
カラーリングされた毛束は熱によっても変色が起こる。
これは、熱によって毛髪内にとどまっていた染料の分子が壊されるためである。
変色は温度が高くなるほど激しくなり、同じ温度の場合は、時間が長くなるほど進む。
アイロンによるスタイリング時には注意が必要だ。