今回の研修では、「移動美容室・移動理容室」について教わったよ。
この前テレビで、移動美容室で働く美容師さんの特集を見たんだ。車で介護施設や福祉施設を回って、カットやシャンプーをして喜んでもらっている様子がとても印象的だったよ。場所や時間に縛られずに働けて、社会にも貢献できることがすごく魅力的だって美容師さんは話していたなぁ。
高齢化が進む中で移動理美容室の需要はますます増えていきそうだけど、実際に始めるとなると、分からないことがたくさんあるよね。
この記事では、移動理美容室のサービス内容や開業に必要な許可申請、車両の選定方法まで、TABEちゃんなりにまとめてみたよ。
移動美容室・移動理容室とは?
移動理美容室は、理美容師が専用車両(移動理美容車)でお客さまのもとを訪問し、施術を行うサービス形態。
移動理美容室について理解するために、知っておくべきポイントは以下の3つ。
●移動美容室・移動理容室のサービス内容
●訪問理美容・出張サロンとの違い
●移動美容室・移動理容室の対象顧客
移動美容室・移動理容室のサービス内容
移動理美容室とは、移動理美容車の車内設備を使用して、カット・シャンプー・カラー・パーマなどの施術を行う出張理美容サービス。
高齢化が進む中、注目が高まっており、従来の固定店舗では対応できなかった顧客層への新たなアプローチとして期待されている。
訪問理美容・出張サロンとの違い
移動理美容室は、訪問理美容や出張サロンと混同されがちだが、施術環境やサービス範囲に違いがある。
【訪問美容・訪問理容】
訪問理美容は、利用者の自宅や介護施設、病院などに器具を持ち込んで施術を行う。一方で、移動理美容室は水回りや消毒などの設備が整った車両の中で施術するため、カラーやパーマまで対応できる点が異なる。
【出張サロン】
出張サロンは、イベント会場や臨時スペースでの施術が中心で、期間限定の理美容サービスを行うことが多い。対して移動理美容室は、移動店舗車として常設の施術環境を備えており、日常的に営業できる点が大きく異なる。
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移動美容室・移動理容室の対象顧客
移動理美容室の主な対象は、次のような方たち。
●車椅子利用者や寝たきりで外出が困難な高齢者
●介護施設や福祉施設、病院に入居・入院している方
●過疎地域など、近くに理美容室がない場所に住む方
●自宅で介護や育児をしており、外出が難しい方
移動美容室・移動理容室の需要が高まっている理由
移動理美容室のニーズは、今後さらに拡大すると見込まれている。移動理美容室の需要が高まっている主な理由は、以下の3つ。
●高齢化と介護需要の拡大
●美容師法・理容師法の改正による対象の拡大
●地域サービスの担い手不足
高齢化と介護需要の拡大
2025年には日本の高齢者人口が約3,600万人に到達すると予測されている。これに伴い、介護施設の数も増加傾向にあり、施設からの依頼による移動理美容室の需要は、今後さらに拡大すると考えられている。
また、外出が困難な高齢者が増加する中で、訪問型の福祉サービスの需要が高まっており、介護施設だけでなく個人宅からの依頼も増える見込みとなっている。
美容師法・理容師法の改正による対象の拡大
2016年以前の出張理美容サービスは、対象が高齢者や病気による寝たきりの方、結婚式などの出張ヘアメイクに限られていた。しかし法改正後は、自宅で介護をしている方や乳幼児の育児をしている方も利用対象に加わり、幅広い層が移動理美容室を利用できるようになった。
ただし、移動店舗車が「理美容所」として許可されるかどうかは、自治体ごとに基準が異なるため、事前に条例や保健所の情報を確認しておく必要がある。
地域サービスの担い手不足
地方では過疎化や高齢化の影響で、理美容室が廃業するケースが増えている。
その結果、住民が日常的に理美容サービスを受けられる場が減少し、地域の生活インフラを補う手段として、移動理美容室が求められている。
移動美容室・移動理容室に必要な資格と開業までの流れ
移動理美容室を開業するには、理美容師としての資格に加えて、営業を始めるための許可や手続きが必要になる。
開業に必要な資格と推奨資格
移動理美容室の開業には、理容師免許または美容師免許(国家資格)の取得が必須で、スタッフが2名以上いる場合は、管理理容師または管理美容師の資格も必要となる。さらに、移動理美容車の車種に応じた運転免許(普通・中型・大型)を取得しておかなければならない。
また、高齢者や障がい者への対応を想定し、介助技術や認知症の方への接し方などを学べる介護系の資格を取得しておくと、利用者の安心感にもつながる。
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移動美容室・移動理容室の開業の流れ
移動理美容室開業の一般的な流れは以下の通り。
1.理美容師免許の取得
2.営業地域の選定
3.保健所への事前相談(自治体ごとの構造設備基準を確認)
4.保健所へ必要書類を提出(開設届・構造設備概要書・理美容師免許証・車両平面図など)
5.車両の購入・改造
6.開業届や保険加入などの各種手続き
7.集客準備(広告・提携営業など)
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移動美容室・移動理容室開業のメリット
移動理美容室を開業する主なメリットは、以下の4つ。
●開業資金・固定費を抑えられる
●働き方の自由度が高い
●効率よく売上を確保できる
●競合が少なく差別化しやすい
開業資金・固定費を抑えられる
固定店舗の理美容室を開業する場合、一般的に1,000~1,200万円程度の資金が必要となる。一方で、移動理美容室であれば、中古車両を選ぶことで設備と合わせて400~900万円程度に開業資金を抑えられる。
また、固定店舗では毎月の賃料が発生するが、移動理美容室の場合は駐車場代や車両維持コストが中心となるため、継続的な固定費を抑えやすい。
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働き方の自由度が高い
訪問するエリアや営業時間を自由に設定できることも、移動理美容室の大きなメリット。
例えば、自宅から近いエリアに限定して営業したり、本業が終わった夕方以降のみ稼働したりと、ライフスタイルに合わせた運営が可能になる。そのため、子育て中の理美容師さんや副業を始めたい理美容師さんにとっても、理想的な働き方を実現しやすい。
効率よく売上を確保できる
移動理美容室は、介護施設や福祉施設などで複数人をまとめて施術できるため、固定店舗型のサロンに比べて効率よく売上を確保しやすい。
また、利用者宅や施設で施術を行う場合は、器具や水回りの準備に時間がかかることが多いが、移動理美容車には必要な設備がすべて整っているため、事前の段取りを大幅に減らすことができる。
競合が少なく差別化しやすい
移動理美容室はまだ事例が少なく、同じエリアに競合がいたとしても、サービス内容や料金設定で差別化を図りやすい。
さらに、地域密着型の事業として強みを発揮できるため、特定の地域での優位性を確立しやすい。
移動美容室・移動理容室開業のデメリット
一方で、移動理美容室ならではの課題も存在する。移動美容室・移動理容室開業の主なデメリットは以下の5つ。
●駐車場の確保・事前許可が必要
●許可基準が地域によって異なり、開業準備が複雑
●車両の維持コストがかかる
●車両乗降時の事故発生リスクがある
●天候に左右される
駐車場の確保・事前許可が必要
都市部では、大型の移動理美容車を停められる駐車場が限られており、事前に駐車許可を申請する必要がある。
また、訪問先やサービスを提供する場所ごとに駐車場所を確認しておかなければ、当日の営業が難しくなる場合もあるため、事前の調査と準備が必須。
許可基準が地域によって異なり、開業準備が複雑
移動理美容室を運営するための保健所の基準は自治体によって異なり、同じ設備でも地域によっては許可が下りないケースもある。
特に複数のエリアで営業を行う場合は、それぞれの地域ごとに基準を確認し、必要な手続きを進める必要があるため、開業準備が複雑になりやすい。
車両の維持コストがかかる
移動理美容車には、燃料代や自動車保険料といった負担に加え、定期メンテナンスや修理費も発生する。
万が一故障した場合は、営業を停止しなければならないリスクもあるため、安定した運営を行うためには、余裕をもった予算計画が求められる。
車両乗降時の事故発生リスクがある
利用者に車両内へ来てもらう必要がある移動理美容室では、車両への乗降時に転落・転倒などの事故が発生する可能性がある。
特に、車椅子での乗降時には昇降リフトの操作ミスや安全確認不足によって、車椅子ごと転落するなどの重大な事故が起こるケースもあるため、慎重な対応が重要。
天候に左右される
雨や雪などの天候によっては車の走行が難しくなり、豪雨や台風時には安全面や設備利用に制限が生じて営業できないリスクがある。特に、災害級の悪天候が予想される場合は、車両の破損回避や安全確保のため、事業者側から予約の延期提案を行うなどの対策が必要になる。
高い車高の移動理美容車は横風が強いと運転の安全性や作業効率が低下し、また、車のセットアップなどの屋外作業時に風で道具が飛ばされるリスクもある。
豪雪地帯や猛暑の地域などでは、そもそも営業できるシーズンが限られる場合もある。
移動美容室・移動理容室で使う車両の選び方
施術スペースを確保するためには、1.5t以上のトラックを利用するのが一般的だが、ハイエースやキャンピングカーをベースにした改造も選択肢となる。
ただし、広さや設備が自治体の定める基準を満たしているかどうかを必ず確認する必要がある。施術スペースが狭い場合は、安全のための動線を確保できるかどうかのチェックも欠かせない。
車両価格は車種や設備により大きく異なり、新車であれば800~1,500万円、中古車だと300~800万円程度が相場とされている。燃費効率や年間走行距離によってもランニングコストが変わるため、維持費を試算しておくことが大切。
また、車体のデザインはブランディングや集客にも影響するため、外観へのこだわりも重要なポイントとなる。
移動美容室・移動理容室における集客の4つのポイント
移動理美容室は固定店舗と異なり、通りすがりの集客が期待できないため、戦略的なアプローチが欠かせない。地域密着型サービスの特性を理解し、効果的な集客手法を組み合わせることが、安定した経営につながる。
移動理美容室の集客を成功させるためのポイントは、以下の4つ。
1.集客手段をターゲット別に変える
2.地域密着型の宣伝活動を行う
3.紹介制度やリピーター特典を導入する
4.介護施設・自治体と連携する
1.集客手段をターゲット別に変える
移動理美容室の集客では、ターゲット層に合わせた集客方法を選ぶことが重要になる。例えば、高齢者や外出が困難な方には、チラシの配布やポスティング、口コミといった地域密着型のアプローチが効果的。
一方で、子育て世代には、SNSの活用や子育て支援施設での宣伝などが有効となる。さらに、介護施設や福祉施設に対しては、直接営業によって単発の依頼を獲得し、そこから継続契約につなげていくことで、安定した収益が期待できる。
>>>チラシでの集客についてくわしく知りたい理美容師さんにおすすめの記事
【TABEちゃんの学びノート】理美容室がチラシを配布する効果とは?集客につながる作り方・配り方
2.地域密着型の宣伝活動を行う
移動理美容室は地域密着型サービスのため、訪問予定のエリアで認知度を高めることが重要になる。
自治会や商工会議所などと連携して地域のイベントに積極的に参加したり、新聞やラジオといった地域メディアに広告を出稿したりすることで、ターゲットとなる住民への認知拡大につながる。
3.紹介制度やリピーター特典を導入する
移動理美容室はまだ認知度が低く、初めて利用することに不安を感じる人も多い。そのため、信頼できる家族や近隣住民からの紹介によって、新規顧客を獲得する方法が効果的。
紹介者と被紹介者の双方に割引やサービス特典を設けることで、利用への後押しにつながる。
また、固定店舗と異なり、移動理美容室は日常的に顧客の目に触れる機会が少ないため、一度利用したお客さまに思い出してもらいにくい。そのため、回数券や定期利用割引といったリピーター特典を導入し、継続利用を促す仕組みを整えることが重要。
4.介護施設・自治体と連携する
介護施設や高齢者施設と提携し、定期訪問契約を結ぶことで、安定した収益を確保しやすくなる。
さらに、自治体の高齢者福祉事業や地域包括支援センターと連携すれば、行政からの紹介や支援につながるケースもある。
こうした公的機関との関係づくりは、利用者やその家族からの信頼度を高める効果も期待できる。
まとめ
移動理美容室は2016年の法改正で利用できる人の範囲が広がったから、これからもっと需要が増えていくビジネスなんだね。
でも、開業するには保健所の許可が必要で、自治体によって基準も異なるから、事前に確認しないといけないんだなぁ…。地域密着型のサービスだからこそ、ターゲットに合わせた集客方法や紹介制度を活用して、安定的にお客様を獲得することも大切なんだなって思ったよ。
TABEちゃんももっと理美容師さんたちの力になれるように、色々な働き方についての知識を身につけていかなくっちゃ!
ということで、TABEちゃんの最強サロンソリューションパートナーになるための学びはまだまだ続く~。
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