皆さまこんにちは!サロン経営アドバイザーの美山です。
全6回にわたり、サロンPOSのデータを活用し、売上アップのために「みるべきデータ」について解説するこのシリーズ。今回は第3回目「客数の向上(来店回数のアップ・来店サイクルの短縮)について」です。
サロンの売上アップのヒントが盛りだくさんの記事になると思いますので、ぜひご覧ください!
本題に入る前に、少しおさらいです。
「売上」は「客数」×「客単価」の要素に分解できましたね。客数を増やし、客単価を維持できれば、売上は伸びるということです!
関連記事:<美山先生と学ぶ>5分でわかる!理美容室の売上アップを目指すために見るべきデータはこれ!
そしてさらに、「客数」は「カルテ客数」×「来店回数」の要素に分解でき、客数が減っている場合には、カルテ客数、来店回数のどちらに課題があるのか?を順番に見ていく必要があります。
カルテ客数アップのためにみるべきデータについては第2回目の記事で紹介しましたね。
今回の記事では「客数の向上(来店回数のアップ・来店サイクルの短縮)」に注目して解説していきます!
「え、来店回数ってお客さま次第だと思ってて、あまり数値を気にしたことなかった💦」という方もいるかもしれません。
でも実は、来店サイクルを縮めるためにできることはあるんです!

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なぜ売上アップのためには「来店回数」が大切なの?
さて、はじめに、なぜ売上アップのために「来店回数」が大切なのかを考えてみましょう。
まず、お店が「お客さまを獲得する流れ」は次のようになっていて、新規客を失客数以上に増やすことができれば、「客数」を増やすことができます。
お客さまを獲得する流れ
新規客(カルテ客数が増える)
↓
リピーター客
↓
失客(カルテ客数が減る)
しかし、最近は新規客集客のハードルが上がっています。
そのため「カルテ客数の増加」よりも、「リピーターの来店回数増加」によって「客数」を増やし、その結果として売上がアップしている事例が増えているのです!
一般的に、「新規客獲得」と「リピーター獲得」を比べると、リピーター獲得のほうが低コストで実現するため、効率が良いとされていることもポイントですね。(新規客の獲得は、リピーター獲得に比べて、コストと時間が約5倍かかるといわれています。)
一つデータを見てみましょう。

出典:SALON POS LinQ利用の美容室4743サロンデータ
このグラフは、過去10年間の新規客数比率と年間平均来店回数を表しています。これを見ると、新規客比率(青線)は徐々に減っている一方で、平均来店回数(オレンジ線)は徐々に増えていることが分かり、既に多くのサロンが来店回数の増加を目指し、実現していると考えられます。
今後も「客数増加」を目指すときは、「カルテ客数増加」よりも「来店回数増加」の戦略を選んだほうが得策!だと考えられるのではないでしょうか。
では、「来店回数のアップ」は、「売上アップ」にどれくらい効果があるのでしょうか?
ここで問題です。
月450人の客数で、客単価7,000円、平均来店回数3.4回のお店が、平均来店回数を0.1回増やし、3.5回にできた場合、年間の売上はおよそいくらアップするでしょうか?
①約30万円
②約50万円
③約100万円
実際に計算してみましょう!
来店回数0.1回アップによる、売上アップ効果
(月客数 450人・客単価 7,000円・平均来店回数3.4回→3.5回(0.1回UP) の場合)
カルテ客数 450人 × 12か月 ÷ 3.4回 ≒ 1,588人
客数増加 1,588人 × 0.1回 ≒ 158人
売上増加 7,000円 × 158人 ≒ 110万円
来店回数が0.1回アップすることで、110万円の売上アップにつながることが分かりました。
先ほどの問題の正解は③です。
思った以上に大きなインパクトがあるのではないでしょうか。
このように、来店回数は非常に重要!ということをふまえて、次は実際に SALON POS LinQ2 で来店回数データを分析していく例を見ていきましょう。
来店回数を分析する方法
SALON POS LinQ2の【課題発見分析 基本画面】のデータをみてみましょう。前年比でチェックすることがポイントです。

SALON POS LinQ2【課題発見分析 基本画面】画面(※図表は、数値などを見やすいように加工しており、実際の画面とは異なります。)
売上・総来客数ともに順調に増加していることがわかりますね。
つづいて、【客数分析】のボタンを押して詳細状況を確認してみましょう。

SALON POS LinQ2【課題発見分析 客数分析】画面(※図表は、数値などを見やすいように加工しており、実際の画面とは異なります。)
カルテ客数はほぼ一定ですが、来店回数が増加傾向になっていることがわかりますね。
さらに「来店回数分析」ボタンを押して詳細を確認してみましょう

SALON POS LinQ2【課題発見分析 来店回数分析】画面(※図表は、数値などを見やすいように加工しており、実際の画面とは異なります。)
来店サイクルごとの客数推移が表示されます。
30日サイクルのお客さまが順調に増加していることが分かりますね!(ここで「客数」部分をクリックすると、該当するお客さまのお名前も確認できますよ!)
さらに、クロス分析機能を使用すると 来店回数とお客さまの年代などを組み合わせた分析も可能です!(クロス分析機能は、【LinQ帳票・分析】→【分析管理】→【クロス分析】で使用できます)
では、【クロス分析】で、「来店回数」と「お客さまの年代」を組み合わせた例を見てみましょう。

SALON POS LinQ2【クロス分析 】画面(※図表は、数値などを見やすいように加工しており、実際の画面とは異なります。)
「年間10回以上来店されているお客さまは、どの年代に多いのか?」などを知りたいとしたら、こちらの分析が最適です。
さらに、以下の図のように、お客さまリストの確認も可能です。また、表示されている項目名をクリックすると降順・昇順で並び替えできるので便利ですね。
では、「当年来店サイクル」の項目をクリックして、昇順に並び替えてみましょう。そうすると、「来店サイクルが短いお客さま」を確認できます。具体的なお客さま情報が分かると、より具体的にお客さまをイメージしやすくなり、来店回数を上げるための施策を考えるときに役立ちそうですね!

SALON POS LinQ2【お客さま分析】画面(※図表は、数値などを見やすいように加工しており、実際の画面とは異なります。)
さて、ここまで見てきた「来店回数分析」は、「来店サイクルの短縮」を目的としています。
なので、「来店サイクルの短縮」のためにはどのようなお客さまやターゲットに対して施策を行えば効率的に目的達成できるか?の観点でデータ分析を行うことになります。
そこでまずは、①お店のお客さま全体の来店周期分析を行う → ②全体と比較して、来店周期の短い顧客層を知る という分析が必要になります。
そのうえで、なぜ来店周期の短い顧客層は頻度高く来店してくださっているのかの理由を考えることで、お店全体でどういう施策が効果的か?と考えられるようになるわけです。
そうするとお店にあった方法が見えてくるので、効率よく目的達成を目指せるはずです。
来店サイクルを短縮するためにできることの事例
それでは、来店回数をアップさせるためにできることの事例も見ていきましょう!
来店回数をアップさせるということは、つまり「来店サイクルを短縮する」ということです。
来店サイクルを短縮する方法としては、次の2つが考えられます。
● 次回予約や次回来店日の提案をして、来店サイクルを短縮する
● 来店サイクルを短縮しやすい別メニューを紹介し、来店を促す
次回の来店日をお客さま任せにせず、「次回はこれくらいにきてくれるとスタイル維持がしやすい」といったコミュニケーションを取ることや、次回予約を取りやすくするオペレーション・案内をすること、などが考えられますね。
また、定期的な施術で変化を実感しやすくなるトリートメントやヘッドスパ、脱毛など、来店サイクルを意識しやすいメニューを展開し、定期的な来店を促す方法も良いですね。
なお、来店回数を増やすとなると、「すべてのお客さまに、頻繁に来店してもらわなければ!」と気負ってしまう方もいるかもしれません。
もちろん、ボリュームゾーン顧客の来店回数アップを促すことは効果的なことです!しかし、必ずしも多くのお客さまの来店回数を上げずとも、売上アップは期待できることもお伝えしますね。
記事前半で紹介した「来店回数0.1回アップ」を実現するには、どれくらいの変化が必要でしょうか?計算してみましょう!
カルテ客数約1600人のお店が、来店回数0.1回アップするための活動例
全員のサイクルを3日短縮
● 来店回数 3.4回 = 約107日サイクル
↓ (+0.1回 = 全員のサイクルを約3日短縮)
● 来店回数 3.5回 = 約104日サイクル
現在来店しているお客さま全体のサイクルが3日短縮されれば、来店回数が0.1回アップします!
1割のお客さまの来店回数を1回増やす
● 来店回数 3.4回 = 1,600×3.4÷1600
↓ (+0.1回 = 160人(1割)の来店回数を1回増やして4.4回にする)
● 来店回数 3.5回 = (1,440×3.4 +160×4.4)÷1600
カルテ客数1,600人の約1割のお客さま(160人)の来店回数が1回増えれば、全体の来店回数が0.1回アップします!
では、来店回数を1回アップすることのできるお客さまは誰でしょうか?
少し考えてみてください。
来店回数を1回アップすることのできるお客さまは誰?
ヒント:来店回数
8回:45日サイクル
9回:40日サイクル
10回:36日サイクル
11回:33日サイクル
来店回数の少ない「8回」の人に働きかけようと考える方も多いかもしれません。
ですが、「8回」の人を「9回」にしようとする場合、今のサイクルよりも5日短縮する必要があります。
それに対して、「10回」の人を「11回」にする場合は、今のサイクルよりも3日の短縮で実現します。
つまり、来店回数が少ない人の底上げではなく、既に多い人にもう少しだけサイクルを短縮してもらうほうが、実行しやすい施策だということがお分かりいただけるでしょうか。
まとめ
すべての顧客の来店回数がアップしなくても、売上を大きくアップさせることは可能です!
来店回数をアップさせる方法としては、「ボリュームゾーンに対してアプローチする」「売上上位顧客だけにアプローチする」などいろいろな案がありますが、これはお店の戦略・状況によっても異なります。
どのようなアプローチが好ましいか判断するためにも、まずはお店のデータを確認してみましょう!
SALONPOS LinQ2
タカラベルモントのSALON POS LinQ2は、日々の顧客管理やレジ業務をしているだけで、売上を分解して分析するのに必要なデータが蓄積されていて、簡単に集計ができます。

<教えて美山先生!>
5分でわかる売上アップのデータ分析
第2回 カルテ客数アップのためにみるべきデータ / 客数アップを目指す編
第3回 来店サイクルを縮めるためのデータ活用 / 客数アップを目指す編 ★今回はコチラ
第4回 技術単価はアップできる?メニュー複合率の分析が鍵となる! / 客単価アップを目指す編(2025年4月公開予定)
第5回 店販品単価はどうアップさせる?購入数と購入率の分析が鍵! / 客単価アップを目指す編(2025年5月公開予定)
第6回 優良顧客はどう増やす?既存顧客層の把握が第一歩! / 客単価アップを目指す編(2025年6月公開予定)
番外編 スタッフ個人の売上はどう伸ばす?戦力化するためにみるべきデータはこれ!(2025年6月公開予定)
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