今回の研修では、「訪問美容・訪問理容のトラブル」について教わったよ。
知り合いの美容師さんから、少し前に訪問美容の仕事も始めたって聞いたんだ。お客さまに喜んでもらえてやりがいを感じる一方で、サロンワークとは違う難しさもあるんだって。特に最初の頃は、予想していなかった状況に直面することも多くて、経験を積みながら対応力を身につけていったって話していたよ。事前に色々なケースを知っておくことで、実際にトラブルに直面したときにも落ち着いて対応できるようになるよね。
この記事では、訪問理美容におけるトラブルの事例や予防策、トラブル発生時の対応まで、TABEちゃんなりにまとめてみたよ。
訪問美容・訪問理容で起こるトラブルの事例
訪問美容・訪問理容は、高齢者や障がいのある方の自宅や介護施設、医療機関を訪問して理美容サービスを行う仕事。通常のサロンワークとは異なる状況での施術となるため、予期せぬトラブルが発生する可能性がある。
認知症のお客さまへの対応や限られたスペースでの施術、家族との意見調整など、訪問理美容特有の課題が存在する。
訪問理美容の現場で起きやすいトラブルは以下の6つ。
●利用者が施術を拒否・嫌がる
●利用者と介護者で施術の希望が異なる
●事前説明不足によるクレーム
●支払いに関するトラブル
●ハサミやバリカンによる施術中の怪我
●訪問先での物損・水漏れトラブル
利用者が施術を拒否・嫌がる
本人以外の代理者(家族や施設職員)が訪問理美容サービスを予約した場合、利用者本人が施術を嫌がり、拒否反応を示すことがある。
過去の理美容室での経験などから、施術に恐怖心を抱いている場合もあるため、慎重な対応が必要。
また、当日の体調不良や気分の変化により、予定していた施術を続けられない場合もある。その場合は無理に進めず、適切に中止や延期の判断をすることが求められる。
利用者と介護者で施術の希望が異なる
利用者本人と家族・施設職員の間で施術の希望が食い違うことも、訪問理美容で起こりうるトラブルのひとつ。
例えば、本人は仕上がりに満足していても、家族や職員は衛生面や介護のしやすさを重視し、より短いカットを希望するといったケースがある。
施術後に「もう少し短くしてほしい」など追加の要望が出ると、施術時間が延びてしまい、次の予約に影響するなど、スケジュール管理上の問題が発生する場合もある。
事前説明不足によるクレーム
訪問理美容では、事前の説明不足がクレームの原因になることもある。介護施設などでは、限られた時間内に多くの利用者へ施術を行う必要があったり、利用者の体調や状態によって施術時間が変動したりするため、予定通りに進まないことも多い。そのため、仕上がりのイメージや施術手順について、くわしく説明する時間を確保しにくい。
さらに、訪問先では鏡の位置や照明の関係で本人が施術中の自分の姿を確認しづらいことも多く、仕上がりに対する認識のずれが生じることで、事後のクレームにつながることもある。
また、高齢になると声が聞き取りにくくなったり、話の内容を理解するのに時間がかかったりすることもあるため、通常より丁寧で分かりやすい説明が求められる。
支払いに関するトラブル
訪問理美容では、支払いに関するトラブルも発生しやすい。
申込者と実際の利用者が異なるケースも多く、特に高齢者の場合は、申込から施術まで時間が空くことで、料金説明の内容を忘れてしまうことがある。
口頭での説明だけでは認識のずれが生じたり、支払いの準備ができていない場合もあるため、事前に書面やメモなどで共有しておくことが望ましい。
ハサミやバリカンによる施術中の怪我
施術中に使う器具による怪我は、訪問理美容で特に注意が必要。お客さまが施術を嫌がって大きく動くと、ハサミやバリカンの刃が顔や頭部に当たり、思わぬ事故につながることがある。
過去の疾患の後遺症による不随意運動(自分の意思とは無関係に体が勝手に動いてしまう現象)など、病気や身体の状態によっても事故のリスクが高まる。
訪問先での物損・水漏れトラブル
訪問先の施設や利用者宅での物損や水漏れも、訪問理美容で起こりやすいトラブル。
例えば、移動式シャンプー台の使用時に水漏れが発生して床や家具を濡らしてしまうことや、施術用の椅子や機材の移動時に床や壁に傷をつけてしまうケースなどが考えられる。
ほかにも、カラー剤が飛び散ってカーペットや衣類を汚してしまったり、電源コードに足を引っ掛けて家具や置物を倒してしまう物損事故などにも注意が必要。
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訪問美容・訪問理容でのトラブルに対する予防策
訪問美容・訪問理容ではさまざまなトラブルが発生する可能性があるが、適切な予防策を講じることで多くの問題を未然に防げる。重要なのは、事前準備を徹底し、お客さまとの信頼関係を築くこと。
そのためには、施術前の情報収集や環境の整備、コミュニケーション方法まで、総合的な対応力が求められる。
訪問美容・訪問理容でのトラブルを予防するために実践すべき対策は、以下の5つ。
●契約書・同意書を交わす
●事前に利用者の情報をしっかり把握する
●施術環境の安全確保と衛生管理を徹底する
●お客さまへの適切な声掛けを意識する
●家族や施設職員に協力してもらう
契約書・同意書を交わす
トラブルを防ぐための第一歩は、契約内容を文書で残すこと。
訪問先の施設や病院と契約する場合は、サービス内容・料金・責任の所在を明記した詳細な契約書を作成することが重要。
一方で、個人宅への訪問では施術同意書を用意し、施術内容や注意事項について施術前に同意を得ることが望ましい。
料金については税込・税抜を明確にし、支払方法やキャンセル規定などの基本事項も必ず記載する。契約は口約束ではなく必ず書面で残し、双方が納得したうえで契約を結ぶことが大切。
事前に利用者の情報をしっかり把握する
トラブルを防ぐためには、家族や施設職員に利用者の病状や身体状況を事前確認し、性格や好み、過去のトラブル履歴を共有してもらうことが望ましい。服薬状況や体調の変化パターン、薬剤副作用の有無なども把握しておくと、適切な施術計画を立てやすくなる。
利用者本人と事前に話せる場合は、あらかじめ施術に対する不安や要望についてヒアリングを行うことで安心感につながり、施術後の認識相違も防ぎやすい。
また、高齢者特有の身体的・精神的な特徴や、認知症をはじめとする各種疾患の基礎知識を身につけておけば、トラブルが起こったときの対応にも役立つ。
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施術環境の安全確保と衛生管理を徹底する
安全で衛生的な施術環境を整えることも、トラブルを予防するための重要な要素。ハサミやバリカンなどの器具は、使用時以外はお客さまの手の届かない場所で適切に管理する。
作業スペースはある程度の広さがあり、段差のない場所を選ぶのが望ましい。電源コードや延長コードの配線にも注意し、転倒事故を防ぐための作業動線を確保することも重要。
また、複数のお客さまを施術する場合は、通常の店舗営業と同様に施術のたびに手洗いと器具の消毒を徹底し、感染症対策ガイドラインを守ることが求められる。
お客さまへの適切な声掛けを意識する
お客さまと良好なコミュニケーションを取ることも、トラブル予防につながる。施術前には「髪を整えて綺麗になりませんか」「すっきりして気持ちよくなりましょう」など、前向きで明るい声掛けを行うと、安心感を与えられる。また、簡潔で分かりやすい説明を心がけることも大切。
施術中もお客さまの様子をこまめに確認し、体調の変化や不快感がないかをチェックする。
どのような状況でも感情的にならず、冷静で丁寧な対応を続けることが信頼関係の構築につながる。
家族や施設職員に協力してもらう
安全な施術のためには、利用者の家族や施設職員との連携が欠かせない。
施術前には情報共有を行い、必要に応じて施術に立ち会ってもらうことで、利用者が安心できる。
車椅子での移動や寝たきりの方の体位変換など、身体を動かす必要がある場合は、慣れているスタッフに誘導や介助を依頼するのもひとつの手段。
また、定期的にサービス内容を見直し、利用者の家族や施設職員からのフィードバックをもとに改善を続けることも重要なポイントとなる。
訪問美容・訪問理容でトラブルが起こったときの対応
どれだけ予防策を講じても、訪問美容・訪問理容でのトラブルや事故を完全に避けることは難しい。
重要なのは、問題が発生したときの初期対応を適切に行うこと。怪我や事故が起きた場合は、お客さまの安全確保と法的責任への配慮が同時に求められる。
トラブル発生時に備えて知っておくべきことは以下の2つ。
●事故・怪我発生時の対応手順
●クレーム対応の基本
事故・怪我発生時の対応手順
お客さまに怪我をさせてしまった場合は、まず応急処置を実施して安全を確保する。怪我の程度によっては救急車を手配し、必要に応じて速やかに医療機関で治療を受けてもらうことが大切。
次に、事故発生の事実について家族や施設職員にすぐに報告し、今後の対応について相談する。
後のトラブル防止や保険の手続きのため、同意を得たうえで現場の状況を撮影し、記録しておくことも重要。
クレーム対応の基本
クレームが発生した場合は、冷静で的確な対応を取ることが信頼関係の修復につながる。
お客さまの話を最後までしっかりと聞き、感情的にならず事実確認を行ったうえで、問題点を整理して適切な解決策を導き出すことが重要。
改善可能な点は修正案を提案し、具体的な行動を示すことで、お客さまの不満解消に努める。
ただし、法的責任に関わる謝罪や責任の全面的な受け入れについては自己判断で行わず、必ず保険会社や専門家に相談してから対応する必要がある。
訪問美容・訪問理容のトラブルに備えた損害保険
訪問理美容では施術中の事故や物損など、さまざまなリスクが伴う。適切な損害保険に加入しておくことで、トラブル発生時の経済的負担を軽減できるため、安心して事業を継続できる。
例えば、全日本美容業生活衛生同業組合連合会(全美連)が提供する保険制度では、業務中に発生した事故による損害が補償対象となる。
訪問理美容に対応した保険は複数あるため、自分の事業スタイルに合ったものを選んで加入することが重要。
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まとめ
訪問美容・訪問理容では、施術の拒否や認知症などによる支払いトラブル、利用者の予期しない動きによる施術中の怪我など、店舗型の理美容室では起こりにくいさまざまなトラブルが発生する可能性があるんだね。
でも、事前にお客さまの情報をしっかり把握して、安全な施術環境を整えることで、多くのトラブルを未然に防げるって分かった!理美容の技術だけじゃなくて、介護に関する基礎知識を身につけておくことも大切なんだなぁ…。
もしクレームが発生したときは、最後まで話を聞いて冷静に対応して、事故や怪我が起きた場合は自己判断せずに保険会社に連絡することが重要。だからこそ、保険会社や医療・介護の専門家など、信頼できる相談先を見つけておくのが大事なんだね。
TABEちゃんももっと理美容師さんたちの力になれるように、理美容室でのトラブル対応についての知識を身につけていかなくっちゃ!
ということで、TABEちゃんの最強サロンソリューションパートナーになるための学びはまだまだ続く~。
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