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特集:いろいろな現場のリアルをお届け!

韓国サロン訪問レポート #5 「SOONSIKI」

世界各国のヘアショーで絶大な人気を誇り トレンドの最先端を突っ走る

今、⽇本では韓国のヘア&メイクが⼤⼈気。韓国ヘアを得意とする理美容師さんもたくさんいますが、サロン経営、サロン運営についても、きっと参考になる事がたくさんあるはず!そこで、韓国のサロン事情を知るために、韓国の個性ある⼈気6サロンのオーナーにインタビューしてきました。

 

第5回は、日本でいう渋谷・原宿のようなトレンドの最先端を行く街、弘大(ホンデ)の人気サロンSOONSIKI代表のペク・スンシクさん。ペク・スンシクさんは、弘大エリアで韓国屈指の人気美容室を経営されている他、韓国初のバーバーショップ(従来の理容室と異なるコンセプトの理容室)も立ち上げ、国内外で活躍の場を広げています。今回は、韓国のみならず世界各国での活躍の秘訣や、教育やトレンドに対する考え方、また化粧品の製品開発についてなど、幅広くお話を伺いました。

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ペク・スンシクさん

ペク・スンシク

BOMBMME BARBER SHOP代表、SOONSIKI HAIR代表、BENIAUZIN代表、ACEUMDU COSMETIC代表。

SOONSIKIは弘大エリアに3店舗を展開。NCS学習モジュール国家職務委員(試験出題教材出版)を務めるなど韓国の理美容師の技術向上に尽力。2013年から現在に至るまで北京やマレーシア、ベトナム、台湾など世界各国のヘアショーに参加し、世界中にファンを持つ。

2025年3月時点

ペク・スンシクさん

――理美容師になったきっかけは?

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

もともとインテリアの勉強をしていたのですが、あまり自分に向いていないと感じていたときに理容師の叔父から勧められ、理美容の道に進むことを決意しました。叔父は数多くの政治家や著名人を担当するなどとても有名な理容師です。そんな叔父の背中を追いかけるべくハワイに留学。そこで世界中から集まってきたいろいろな人たちと出会ったことで、グローバルな視点を意識するようになったんです。そして世界で活躍できる理美容師になるため毎日勉強に励み、理美容両方の免許を取得しました。

――2005年、弘大にSOONSIKIをオープンされましたが、お店を軌道に乗せるために心がけたことは?

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

当時は今ほどSNSが盛んではなく、Facebookが中心だったので、Facebookに様々な美容のテクニック動画をアップしました。するとそれが大ヒットし、1,000万人超の方に見ていただけたんです。それをきっかけにSOONSIKIが多くの人に認知され、たくさんのお客さまが来てくれるようになりました。僕はダブルライセンスを持っているので、バーバ−の要素を取り入れたのも他サロンとの差別化につながったと思います。

――BOMBMME BARBER SHOPを出店した理由は?

BOMBMME BARBER SHOP
ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

僕をこの業界に導いてくれた叔父は僕にとっての師匠であり、憧れの存在でもあります。その叔父から「韓国にハイクラスなバーバーをつくって欲しい」と言われ、叔父の夢を叶えたいと思ったんです。少し不安はありましたが、2014年に韓国初のバーバーショップを出店したところ、大ヒット。テレビ番組や出版社から取材が殺到して、韓国中にバーバーブームを巻き起こしました。叔父のためにもがんばってよかったと思っています。

――韓国のトレンドをどう掴んでいますか?

サロン
ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

流行っているドラマやアイドルにはいつも注目しています。ドラマは3カ月クールで変わりますし、人気アイドルも3カ月経つと別のアイドルが出てきます。トレンドを掴んだと思ったらまた次のトレンドの波が押し寄せ、その循環がとても早いので常に勉強し続けなければなりません。SNSの普及により、何かが流行ったらすぐ真似をするということを世の中が繰り返すので、1つのことが長続きしないんです。なので僕たち理美容師はいつもトレンドのアンテナを張って様々な情報をキャッチしています。トレンドは少しずつ変化しながらも巡るものです。

最近はY2K(2000年代のファッションやスタイル)が流行っています。リアルタイムでY2Kの流行を経験できなかったMZ世代※やアルファ世代(10代)にとっては目新しいので、この世代からSNSで流行し始めました。 僕は2000年代のトレンドを経験しているので、再び流行っている2000年代風のトレンドにも対応できますが、今の若い理美容師は2000年代のトレンドを経験していないので、1から学ぶ必要があります。だいたい10年周期でファッションやヘアスタイルが移り変わり、巡るのは面白いなと思います。


※MZ世代とは、ミレニアム世代(1980年代前半~1990年代中頃生まれ)とZ世代(1990年代中頃~2010年代前半生まれ)をまとめた、韓国発祥の世代区分のこと。

――これから流行りそうなヘアスタイルや、注目しているメニューは?

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

今はウルフカットが流行っていますが、そろそろ重めのボブや重めの前髪など重めのカットスタイルが流行ると予想しています。また、Y2Kヘアの1つでもあるブローパーマ(ボリューム感のある大きめウェーブスタイル)も流行りそうな予感です。

注目しているメニューはヘッドスパです。高温多湿な夏は脱毛など頭皮に問題を抱える人が増えます。お客さまの頭皮ケアへの関心も高いので、ヘッドスパで毛髪ダメージを最小化し、頭皮環境を安定化させることで、より満足度を上げることができると考えています。韓国ではダウンパーマはすでに定番のメニューですが、これからはカットデザインや頭の形に合わせたダウンパーマ=デザインダウンパーマへと進化すると思います。重めの前髪にパーマをかけるメニューも推していきたいです。

――各国でヘアショーにも出演されていますね。

ペク・スンシクさん
ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

ヘアショーについては、これまではメーカーと協働の企画が多かったのですが、最近は僕自身から働きかけ、コンサル会社を通じてヘアショーに出演するようにしています。韓国国内だけでなく台湾や北京でもヘアショーを行い、北京では500人くらいの観客を集めたり、国内外を問わずヘアショーに参加しています。日本の美容専門学校でも単独でヘアショーを行いましたし、日本の理美容雑誌と提携してステージに立ったこともあります。自分が感銘を受けたステージやイベントの主催者にはポートフォリオを送るなどして自分で道を切り拓き、ステージに立つ機会を掴んでいくのが僕のやり方です。また、モデル10人くらいにカラーやパーマのテクニックを披露する「小さいヘアショー」のようなセミナーも頻繁に行っています。

――セミナーに対しての考えや、セミナー講師として大切にしていることは?

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

今はSNSから情報を入手できるようになり、誰でも「セルフブランディング」ができる時代になりましたが、リアルセミナーやオンラインセミナーも大事だと考え、様々なセミナーで講師を務めたり、成功メソッドを動画にしてYouTubeにアップしたりしています。以前、名古屋のサロン経営者の方から、SNSを通じて「韓国のパーマをやってみたい」と連絡をいただき、1週間ほどSOONSIKIで韓国のパーマを学んでいきました。その後も、20名ほどがSOONSIKIのセミナーを受講しに国外から来韓されました。このようなセミナーは僕が主催者なので、フォトグラファーを呼んだり、コンテンツを自力でつくらなければならない大変さはありますが、それが面白いですね。言葉の違いはありますが、よく使う言葉は限られているので大きな問題はないですし、スタッフの成長のためにもよい機会だと考えています。わざわざ遠くから来てくれた方にきちんとした技術を提供できるよう準備することを大切にしています。

ペク・スンシクさん

――世界での活躍を目指す上での考えをお聞かせください。

僕が日本の美容に注目していた頃にK-POPが大流行し、弘大エリアには韓国国内はもちろん、アジア各国やヨーロッパからもたくさんの方が来るようになりました。そのため、SOONSIKIでは多種多様な髪質に対応するための勉強を日々行っていたんです。その甲斐あって、髪質やニーズに合わせてどんなカラーでも提案できるようになったので、他店よりも外国人のお客さまが多いと思います。外国人への対応力を身につけたことで、次は海外での出店を考えるようになり、真っ先に浮かんだのは日本でした。


以前、名古屋のラジオ番組に出演した際にこれからの目標を聞かれ「渋谷でサロンを持ちたいです」と答えたんです。憧れを持っていた日本で勝負することが目標の1つです。渋谷には日本人だけでなく様々な国の人が行き交います。外国人客が多いSOONSIKIのシステムをそのまま日本に持っていき、日本人のお客さまも受け入れつつ外国人をターゲットにしようと考えました。

日本に行った際、SNSを通じて日本の若手サロンオーナーさんとコンタクトを取って一緒に遊びに行ったり、流行っているサロンを聞いて、実際に髪を切りに行ったり・・、理美容師同士で話をして親しくなり、教えてもらう事も多いです。 ファッションや教育を通じて日本の若手サロンオーナーと良い関係性を築きながら渋谷でサロンをオープンできたらいいなと思っています。日本で出店するのは厳しいということも聞いていますが、このような大きな目標を立てることはモチベーシションアップにもつながっています。


――2016年に開催されたTWBCにもご来場いただいたそうですね?

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

はい。バーバーのヘアショーを観たのですが、とても衝撃的で新しい世界を知ることができました。また、ブースを見て回ったり、日本でレジェンドと言われるオーナーの話を聞いたりして、バーバーの将来性や可能性を大いに感じましたね。TWBC2022ヘは、残念ながら行くことができなかったのですが、とても評判が良かったと聞いています。

――日本と韓国との違いを感じることはありますか?

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

僕は日本の美容に興味があり、強い影響を受けていたため、日本の雑誌を見るだけでワクワクして憧れていたことがありました。東京にある美容専門学校の学生さんが生み出す多様なヘアスタイルは見ていて面白かったですね。当時はよく日本のヘアスタイルを真似して、シャギーが流行ったらSOONSIKIでもそのまま取り入れていました。ただ、韓国は変化を求める人が多く、トレンド変化のスピードが日本より早いと感じています。特に弘大エリアに来る若者たちはトレンドにとても敏感なので、常にトレンドを先読みしながら新しいヘアスタイルを生み出さないと、お客さまが別のサロンに流れてしまいます。競争の激しい弘大エリアで生き残るためには、勉強し続けることが必須です。変化がとても早いという点で、日本と韓国とでは少し違いがあるように思います。

サロン

――スタッフの採用や教育の工夫について教えてください。

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

まず採用時に記入してもらう履歴書には、真剣な美容の話ではなく趣味など簡単なことについて長い文章を書いてもらい、文章力や表現力からSOONSIKIに合っているかどうかを判断します。サロンには法律に従って行動しなければならないことがたくさんあります。2016年頃まではとても堅苦しい組織でしたが、組織改革を行い、守るべきことを守りながらも自由にコミュニケーションが取れる雰囲気をつくりました。今はみんな明るく、自ら動けるようになったと思います。韓国ではかつて、理美容師の待遇があまりよくない時代がありましたが、それでは成長できなくなる時期が必ず来ると思っていました。僕はサロン以外に別の会社も運営していて、一般企業の視点で理美容業界をとらえていたこともあり、早くから組織改革に踏み切ることができました。

――組織改革の具体的な取り組みについてお聞かせください。

ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

例えば、毎日自分が褒めたい人に「感謝のレター」を書いて渡してお互いを称えあったり、「罰」よりも「賞」の種類を多く設け、がんばったら○○賞がもらえる、それを励みにしてもらっています。また、先輩が後輩に教育をするのも当たり前ではなく、お互いに時間をつくってやっていることですから、感謝の気持ちを持ちましょうという考え方を大切にしています。「先輩がわざわざ時間をつくって教えてくれている」ということを僕があえて口に出して言うことで、みんなの納得度も上がり、今はとても良い雰囲気です。

――組織改革の結果、どのような成果がありましたか?

SOONSIKI
ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

僕だけでなくスタッフも、セミナー講師をする機会が増えました。メーカー主催のセミナーの約3割は、SOONSIKI代表の僕が講師を務めています。韓国には100店舗くらい展開している大型サロンもある中、これは本当にすごいことだと思っています。僕は人から否定されたり怒られたりするより、励まされたり賞をもらったりすることで成長するタイプなので、その文化で育ったスタッフたちもみんな明るく前向きです。スタッフはみな、セミナー講師としても評判がいいですし、各方面で活躍しています。それがSOONSIKIの成長の礎となり、僕にとっての誇りでもあります。理美容師は技術者ですから技術はできて当たり前。前向きで明るいのはSOONSIKI独特の文化から生まれたもので、素晴らしいことだと思っています。うちから独立したスタッフもいますが、大手メーカーのアンバサダーに任命されるなど大きく羽ばたいています。SOONSIKIの出身者は礼儀正しく、明るく、爽やか、という印象を受ける人が多いようで、自分のやってきたことは無駄ではなかったと感じています。

――他に取り組んでいる活動などはありますか?

ホームケア
ペク・スンシクさん

ペク・スンシクさん

オリジナルブランドを立ち上げ、ミクロンとケラチンを配合したホームケア用ミックストリートメント(ポリッシュオイル)を開発しました。2019年頃に日本でポリッシュオイルを使い、いいなと感じていたのですが、韓国にはまだなかったため自分たちでつくろうと思ったことがきっかけです。韓国ではバームもまだそれほど流行っていないため、今後、日本のバームを参考に開発に取りかかろうと思っています。

韓国では、スタイリング剤としてスプレーや、髪がしっとりするような軽めのカールクリームは使いますが、ワックスを使うことは少ないです。また、ボリュームを持たせるトニックや、女性にはエッセンスも人気です。

芸能人が使うと話題になり、流行ることもありますが、今は自然由来とかヴィーガンが流行っているので、それをうたっている製品も結構増えてきました。また一般的にはバームとワックスの区別がつかない方が多く、エッセンスで簡単にスタイリングするのが好まれています。僕は日本に行く度にいろいろな製品を買うのですが、別会社でバリカンも取り扱っているのでバリカンもよく買います。もはや集めるのが趣味と言ってもいいくらいです。

――世界の理美容師さんにメッセージをお願いします!

ペク・スンシクさん

これからは人生100年時代です。1つの技術を極めることも大切ですが、世界で通用する技術を極めれば世界中どこでも仕事をすることができ、長きにわたって活躍できると思うんです。SNSやAIが進化したことで、以前よりもセルフブランディングがしやすくなりました。理美容師という素晴らしい仕事を突き詰め、自分をもっと成長させてほしいと思います。

いつか僕が読者のみなさんの所へスキルを学びに行くかもしれません。その時は温かく迎えてくださいね。

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