Kカルチャーを彩るヘアメイク――高い再現性で魅力を引き出す

理美容業に初めて携わったのは高校3年生の時でした。大学も美容学科に進学し、卒業後は大学の先生が運営しているサロンに入社しました。その先生はファッションショーの運営に関わっている方で、そこで働けばファッションショーのモデルのヘアメイクをするチャンスがあるかもしれない、そんな夢を抱いて⼊社したんです。数年後、さらなるステップアップをすべくメイクで有名なサロンに転職し、約20年間働きました。そのサロンでトップスタイリストになり、様々な経験を積ませてもらいました。もっと後輩の育成に⼒を⼊れたいと考え、2023年の年末に独⽴しました。

インテリアはメタル素材を使ってあえて無機質な雰囲気を演出し、逆に照明を暖⾊系にして「⼈の温かさ」を際⽴たせるようにしました。私は元々、メイクに強いサロンで⻑年働いていたのでメイクにも⼒を⼊れており、VIPルームも設置しています。

スタッフはスタイリスト4⼈の他、メイクアップアーティストも4⼈在籍しており、多数の芸能⼈を⼿掛けています。芸能⼈が活躍する場は国内のみならず世界各国の場合もあるので、それに帯同することも多いです。先⽇までドイツに出張していましたが、次は⾹港やマカオ、⽇本にも⾏く予定です。

以前はファッションショーのモデルのヘアメイクを担当することで感性が磨かれ、知名度アップにもつながることが多かったのですが、近年はアイドルや俳優など、芸能⼈を担当することで注⽬を集めるケースが増えています。私のサロンは、もちろんサロンワークがベースではありますが、芸能⼈などのメイクの仕事がサロン運営にも良い影響を与えていると感じています。

「再現性の⾼いスタイルを提供する」ことが⼀番のコンセプトです。サロン帰りだけがきれいなスタイルではなく、家に帰ってから、シャンプーして⾃分でスタイリングしてもきれいにまとまるような、ポイントを押さえたヘアスタイルをつくることを⼤切にしています。「常にお⼿⼊れがしやすいスタイル」であることはお客さまの満⾜度にもつながると考えています。

美容師歴がそれなりに⻑くなったので、最近のお客さまと以前から指名してくださる⽅も含めて、お客さま層は 20〜80代まで幅広いです。最近はストレートヘアを軸にレイヤーを⼊れたり、カラーをしたり、ホット系パーマをかけたりするケースが多いですね。ロングヘアも⼈気です。

美容師として必要な技術はすべてマスターしてきましたが、その⼈が持っている個性や本来の美しさを⾒つけ出して、それに磨きをかけることが得意です。特に意識しているのは、トレンドをそのまま提案するというより、その⼈の顔型や頭の形、持っている雰囲気を⾒極めた上で提案することです。たとえば最近はカラーをする⽅が増えていますが、その⼈自身の肌⾊の系統も関係します。トレンドの⾊でも「この⾊にしましょう」と決めつけず、様々な可能性を探ってその⼈の魅⼒を最⼤限に引き出すことを⼼がけています。カウンセリングにおいても、お客さまに様々な⾓度から質問して、丁寧に希望を把握するようにしています。それが他サロンとの差別化につながっていると思います。

完璧なデザインには多くの知識と経験が必要です。必要なものだけを適切に選択し、提案できるようになればお客さまに喜ばれ、理美容師として成功できると思います。

「髪のお医者さん」のような存在でありたいです。⾵邪を引いたら病院に⾏って治してもらいますよね。髪も同じで、お⼿⼊れが難しいと感じたら直しにいこう、そう思っていただけるようなサロンを⽬指しています。お客さまにも、「髪のお⼿⼊れが難しくなったらと来てくださいね」とお伝えしています。

トレンドを把握するためには、化粧品メーカーやファッションショーなどから最新の情報を⼊⼿して参考にしています。トレンドをそのまま提案するわけではありませんが、お客さまに最適な提案をするために、最低限把握する必要があると考えています。実は今、エクステに興味があり、エクステを利⽤したスタイルを研究中です。前髪を調節したり、必要なところにボリュームを出したりして新しいスタイルの提案ができたらと考えています。多⽅⾯からいろいろな努⼒を重ね、お客さまの魅⼒を引き出すお⼿伝いをさせていただきたい、そう思っています。

ヘッドスパをメニューの1つとして展開したいと考え、それに最適な「YUMEシャンプー」を採⽤しました。潜在的に興味を持っている⽅も多いと思いますし、ヘッドスパの⼈気も⾼まりつつあるので、これからもっと伸びると期待しています。「YUMEシャンプー」は、スタッフが座った状態でシャンプーができ、お客さまの体の位置を合わせるのも簡単なので、スタッフにとても好評です。独立前に働いていたサロンでも「YUMEシャンプー」を使っていたので、タカラベルモントさんの製品の良さはよく知っています！「YUMEシャンプー」の他にも、メイクルームで「Cavarier II（カヴァリエ2）」を採⽤していますが、とても使い勝⼿が良く、スタッフにもお客さまにも喜んでいただけています。

メイクの仕事などで出張することもありますが、⽉に3回ほどスタッフ教育を⾏いながら、基本的には毎⽇サロンワークをしています。スタッフへの勉強会も⼤切ですが、先輩の働く姿を⾒せることがとても⼤切だと思っています。現場から学ぶことがとても多い仕事なんです。そういった意味でも、私⾃⾝も現場を⼤切にしています。店舗のスタッフはみんなとてもがんばっているんですよ。美容へかける思いが強く、⼀⽣懸命美容と向き合ってくれているので、たとえ後輩であっても尊敬できる存在です。私はオーナーとして彼らの夢を叶えてあげたいと思っています。

スタッフと⼀緒にいる時ですね。独⽴して⼀番苦労したのも「⼈」の問題ですが、喜びや幸せを感じるのもまた「⼈」です。お客さまの中には公務員や政治家の⽅もいらっしゃいますが、そういう⽴場の⽅たちからも「理美容師という仕事は、技術を持っているから世界中どこに⾏っても仕事ができますね」と⾔っていただけます。そんな理美容師という仕事を仲間たちとできることは本当に幸せなことだと思います。⼥性の場合は結婚や出産という節⽬で理美容業界から離れてしまう時期もありますが、産休や育休を取得しても、技術で復職できるのが技術職。理美容師はとても素晴らしい仕事だと思っています。

まだしっかり体系化するところまではできていませんが、⼦育て中のママさんスタッフは、スケジュール調整などを他のスタッフより優先する仕組みになっています。⾚ちゃんが急に熱を出したり、病院に急遽⾏かなくてはいけない場合もあると思うので、早退する場合や休みを取る場合はサロン全体でサポートしています。韓国は⽐較的、⼥性オーナーが多いですが、私も⼥性オーナーの1⼈として⼥性のキャリア⽀援に尽⼒できたらと思っています。

芸能⼈を担当する時は、とても朝が早く、3時、4時から仕込みを始めます。そういう仕事はちょっとしんどいと思うこともありますが、SNSに投稿すると⼤勢の⽅から「いいね」をいただき、⼤きな反響が得られるのでうれしいですね。⾃分が⼿掛けたヘアメイクが多くの⼈の⽬に⽌まったと思うと本当にやりがいのある仕事だと感じます。