タカラベルモントのキャリア支援プロジェクトとは、理美容師または理美容師を目指す方々が “自分らしいキャリアを築けること” “理美容業界で輝き続けられること” を目的に、これまでの常識を疑い、環境改善から学習支援の開発まで幅広く業界発展のために活動する取り組みです。
近年「スタッフには長い間一緒に働き続けてもらいたい」と考えるサロン経営者が増える中で、スタッフにいきいきと長く活躍いただくためには、サロン内で多様なキャリアを用意する必要があると考えます。
そこで持続的成長のためにスタッフのキャリア創りを実践する取組みとして、「理美容サロンにおけるキャリアステップ構築」を始められているFILMSさまにお話を伺いました。
目次
【キャリアの全体像】
幹部やスタッフの顔を思い浮かべながら「こんなキャリアがあったらいいな」を考える
【キャリアを支える理念】
【しくみ】
評価制度は「比率や数字」と「行動や理念」
【キャリアステップ構築のポイント】
【おわりに】
【プロフィール】

若林紀元さん
株式会社FILMS代表取締役
東京マックス美容専門学校卒業。
山梨のサロン、都内有名店2店舗勤務後、役職を経て2017年9月1日銀座に「FILMS」をオープン。
東京を中心に関東にグループ12店舗を展開。グループの経営戦略、財務、幹部育成などを担当。

設楽雅貴さん
株式会社FILMS代表取締役
真野美容専門学校卒業。
都内2店舗勤務を経て2017年に株式会社FILMSを共同設立。
主に人材育成を担当しており、 技術教育や悩みに対するサポート、人間力など組織力の向上、 幹部育成など組織全体の内部強化を担う。

榎本大樹さん
株式会社FILMS取締役兼株式会社フォトグループ代表取締役
日本美容学校卒業。都内2店舗勤務を経てFILMSに。
店長、マネージャーを経て取締役に現役職。
2021年9月新宿にfotoをオープン 。
※2025年8月時点
サロン情報
株式会社FILMS
〒104-0061
東京都中央区銀座1-8-7 VORTGINZA6F
サロン規模(グループ全体)
従業員数 148人(正社員144名、業務委託4名)
店舗数 12店舗(2025年8月現在)

インタビュアー
キャリア支援プロジェクト メンバー 一同
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【キャリアの全体像】
FILMS流6つのキャリアコース
FILMSさまではどんなキャリアステップを用意されていますか?
役員コース、FCオーナーコース、別ブランド代表コース、別ブランドオーナーコース、店舗代表コース、プレイヤーコースの6つを用意しています。

幹部やスタッフの顔を思い浮かべながら「こんなキャリアがあったらいいな」を考える
なぜそのような多様なキャリアコースを作ろうと考えたのですか?
美容師の仕事って、年齢を重ねたその先に選択肢が少ないように感じていたのです。
例えば長く働いて会社に残ったとしても、しっかりと制度化されていないと将来が漠然としていて、いつか不安になってしまうなと。
少なくとも私はそう思っていました。
スタッフには何歳までいてほしい、などお考えはありますか?
理想としては、ずっといてほしいと思っています。
ただ現実は難しいかもしれません。この葛藤がいつもあります。
6つのキャリアコースは、努力した人しかチャレンジできないようになっているのですが、スタッフたちが努力する方向にもっていくのが、役員や幹部の役割だと思っています。
キャリアの設計は、思いついたらすぐに運用してきましたか?
全員が経営者だったり、美容師としてスターになれるわけでも、なりたいわけでもないと思うんです。
例えばプレイヤーとしては花開かなかったけど細かい作業や気配りが得意なスタッフがいるのですが、その子は今バックオフィスで経理をしてくれています。
他にはSNS担当やブログ担当をしてくれているスタッフもいて、それぞれの特性にあったキャリアを見つけるのも大事な要素だと思います。
いつも幹部やスタッフたちの顔を思い浮かべながら「こんなキャリアがあったらいいな」って考えています。
だから6つのコースも徐々に増やしていったかたちです。
ただ、うまくいっていることばかりではなくて。
例えばfotoグループの業務委託は一旦ストップした時期もあるんです。
グループとしてのまとまり感は必要だけど、業務委託は一定の線引きも必要なので、そのバランスを取るために試行錯誤した時期もありました。
【キャリアを支える理念】
「記憶に残るを創造し、関わる人の可能性を広げる」
FILMSという組織を運営する上で「経営理念」、「ミッションステートメント」、社内向けのメッセージとしての「FILMS QUALITY」と社外向けのメッセージとしての「FILMS PROMISE」の4つを掲げています。
FILMはお客さま、従業員、関わる人に対して記憶に残るような感動体験を届ける会社でありたい。
FILMSと関わることでその人の人生が少しでもプラスになって可能性を広げられたら、という思いがあります。
何かを選択、決定するときには必ず理念をベースに「それは理念に沿っているのか」を再確認するようにしています。
僕ら経営陣もそうですし、スタッフたちの判断基準になるように活用しています。



【しくみ】
教育産業なのに「教えられない」では意味がない
本当にスタッフ想いで、スタッフの皆さまも幸せですね!スタッフとの関わりについても教えてください。
入社時のオンボーディングや1on1面談には力を入れています。
例えば、1~2か月に一度は店長や選抜メンバーがスタッフと1on1面談を実施します。
フォーマットに沿って進めるのですが、基本は自分が立てた「長期的な目標」に対して、日々の行動は一致しているかなどを振り返ってもらいます。
スタイリストになるとそこに売上などの数字面も含めて面談をしています。
また希望者のみですが、スタイリスト以上は年に一回役員とのキャリア面談も行います。
スタッフがどんなキャリアビジョンを持っているのか、会社が今後どんなことを考えているか、双方がお互いに伝える場になっており、2025年度は約半数のスタイリストが希望して実施しています。
1年目であっても、役員に気軽に相談できるオープンな環境を作ることは特に意識しています。
教育面では何か特別なことはされていますか?
技術力と人間力の両面に力を入れています。
まず技術力については、【営業ベース】【再現性】【鮮度】の3つを軸に、仕組みのDX化を進めることで、業務の効率化とヒューマンエラーの削減に取り組んでいます。
今年は特に、スピード向上とリピート率の向上をテーマに掲げ、対象スタッフに向けた技術強化の勉強会や、1on1による目標設定とアクションプランのサポートを強化しています。
人間力の向上については、毎月1回、全社員が参加する「道徳の時間」を通じて、様々なテーマでの学びの機会を設けています。
例えば、スタッフの相互理解を目的に、生まれてきた時から現在までの自分史をプレゼンしてもらったり、目標の明確化をはかるため、大谷翔平選手もやっていた曼荼羅チャートを書いてもらったり。
また、価値観の統一を目的に、CSRやSDGsについて考える時間を作ったり、色々な取り組みを通じて人間的な魅力を高めることに取り組んでいます。
さらに今年からは、教育産業としての視点を強め、幹部スタッフを対象に、人材マネジメントとリーダーシップに特化した勉強会もスタートさせたことも特徴の一つです。
中でも、特に重視されていることは何ですか?
大事なのはそれぞれの「目標」だと思います。会社で言うと理念ですね。
その目標達成のために何をするか?それが達成できた人の評価が高まり、その人には多様なキャリアの選択肢が広がるというイメージです。
だからこそ、「こうなりたい」が叶うキャリアビジョンを先に見せてあげることが必要だと思っています。
それがFILMSに残る理由になると思うので。
評価制度は「比率や数字」と「行動や理念」
厳しい先にちゃんと未来を見せているということですね。評価制度についても教えてください。
評価制度はキャリアを語る上で最重要要素だと思います。
評価制度は「ロジックすぎて味気ないものにならないように」と「わかりやすく、コンパクトに」を意識しました。
評価する側のブレを排除できないので、アシスタントやスタイリストの評価制度に関しては売上に関連する定量的な項目にしていますが、幹部以上には定量的な項目だけではなく、「人材育成」という視点を大切にしています。
例えばFILMSが目指す「行動や理念」も評価できる仕組みにしています。
今年からデジタル化も進めることになって、先ほどお話したバックオフィスのスタッフが自分で勉強してシステムを作ってくれました。
評価はスタッフの人生に直結するので、意見は絶えず吸い上げて改善していっています。

【キャリアステップ構築のポイント】
縦の関係から横の関係に
多様なキャリアステップをつくる際に、気を付けていることがありましたら教えてください。
なぜやるか?の動機が一番大切だと思います。
スタッフは人生を共にする仲間なので、大好きだし、成功してほしいと思っています。
「極力リスクを減らして、やりたいことを実現させてあげたい」と考えた結果、今のかたちに行きついています。
将来的には「経営者とスタッフ」という縦の関係から、「経営者とリーダー」の横の関係になりたいと思っています。
ただ評価制度やFC制度は正解がないですし時代とともに変化も必要だと思うので、私たちもたくさん勉強して試行錯誤しながらやっています。
最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします!
キャリアを考える際は、自分がスタイリストだったらこんな将来があったらよかったなとイメージしながら考えています。時代は常に変化しているので、今の時代に何が求められているのかをスタッフと常に対話しながら柔軟にブラッシュアップしています。
僕は美容業界に入り、たくさんのお客さまやスタッフと毎日過ごせている事がとても幸せです。
FILMSは人を大切に、安心して長く働ける会社を目指します。そしてまだ課題が多い業界をよりよくしていく一役を担っていけたらなと思います。
成長において大切なのは、「考え方」や「在り方」、そして「しくみ」です。
だからこそ、FILMSでは教育に力を入れています。
つまずきながらも前に進めるように、育成を行い、失敗も挑戦も安心してできる環境づくりを大切にしています。
相手を想う気持ちが、教育のしくみにきちんと反映されていることが、本質的なキャリア育成につながると考えています。
これからも、“人が育つサロン”であり続けたいと思います。
僕もFILMSに入社前は将来が見えず、不安でいっぱいでした。
その不安を一つずつ解消していくだけで、美容師の仕事は何倍も楽しく、やりがいに満ちていきました。
現在は仲間と信頼し合いながらキャリアアップできていることが、何よりの幸せです。
FILMSグループは、未来を目指す人に寄り添い、不安を希望に変える場所でありたいと思っています。

【おわりに】
インタビュー後記
多くのサロンが特定のスタッフのために、または必要に迫られた段階で、キャリアステップを検討・構築することが多い中、「まだ対象者はいなくてもいずれFILMSにはこのキャリアコースが必要になる」という考えから、あらかじめ6つのキャリアコースを創られたということに驚きました。
業界の当たり前になっていることに疑問を持ち、同じ理念のもとに集まったスタッフたちとともに「チームみんなで幸せになるんだ」というお三方の想いがあふれるインタビューでした。
スタッフが集まり、離職が少ないサロンの共通点は「スタッフへの愛」だと改めて気づかされました。
今後もさまざまなサロンのキャリアへの取り組みやしくみを紹介していきたいと思いますので、ぜひご期待ください。
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