TABEちゃんの今イチオシの空間デザイナー城間俊一さんをご紹介!タカラスペースデザイン株式会社に入社してから、数々のコンペで賞を獲得している新進気鋭の若手デザイナーなんだ。
お客さまの願いに真摯に向き合い独創的な感性とデザイン力で、驚くほど独自性あふれる空間を生み出す実力の持ち主。しかも難しいご要望であっても、チャレンジ精神を持って空間デザインに取り組む姿勢、見た目だけじゃなく「体験を楽しんでもらう」という自身の考えを反映した空間デザインに魅了されるお客さまも多いのだとか。
同じような空間規模でも、独自性あふれる感性と素材使いで全然違うイメージを生み出せるというのも興味深いところ。今日は2つの空間デザインを例にどんな風に違ったお店になるのかも知りたいな。
ということでまずは、城間さんの数ある実績の中で「Takara Business Creation Awards2021」※で審査員特別賞を受賞した『BULLS CUT(ブルズカット)』さんのデザインについて色々聞いていくよ~!
※タカラベルモントが主催するデザインコンペ。全国のタカラスペースデザイン所属のデザイナーが設計した理・美容サロン、デンタル・メディカルクリニックの中から、特に優れたデザインを選出する年間審査会です。
インタビュアー:TABEちゃん
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物件情報
路地裏をイメージした空間と重厚な個室でBULLS(=男らしさ)が際立つ!
「BULLS CUT」さんは、城間さんが入社して初めてデザインしたものなのにすごく完成度が高いのが気になっちゃった。では城間さん、最初にオーナーさまからどんな要望があって、今のデザインになったのかを教えてほしいな!
オーナーさまと初めてお話ししたときにお伺いしたのが、「理容はずっと男らしいもの、そのイメージをもっと世の中に広げていきたい、と想い続けている。店名にもBULLS(=男らしさ)という言葉を使いたい」ということでした。当時はコロナ禍真っ只中ということもあり、個室にしたいとのご要望もありましたね。
ただ、バーバー的な理容のかっこよさをアピールしたり広げていきたいというご要望と、閉じた空間でもある個室は、ある意味逆行してしまうのでは?とも感じました。そこで提案させていただいたのが、高級感あふれる各個室をそれぞれ建物と見立てて、店内の通路を外のような空間とし、お店全体をまるで路地裏空間のように見せるデザインとコンセプトです。
私もこのお店の写真を見てすごく驚いちゃったよ。お店に入ったはずなのに外に居るような感じで、なんだか楽しそうだなって♪
まさに路地裏に迷い込んだような感じですよね。実は、デザインするときはいつも「店舗での体験を楽しんでもらう」ことを念頭に置いて、設計時にどのような仕組みを盛り込めば体験につながるかを考えているんです。「BULLS CUT」さんでは、お店に入った後も路地裏巡りを楽しみながら、秘密めいた建物=個室に入っていく体験をしてもらえたらと考えました。
すごくおもしろい発想だね!たしかに知らない路地を見つけて、知らない建物に入っていくドキドキ感も味わえるかも。
「BULLS CUT」さんのデザインで他にこだわったことがあれば教えてほしいな。
では、こだわりポイントを3つご紹介します。
室内に「外」を感じさせる路地裏空間を創造するための3つのポイント
>ポイント①:レンガ調のマテリアルで、リアルかつ男心をくすぐる路地裏空間を演出
ポイント①
レンガ調のマテリアルで、リアルかつ男心をくすぐる路地裏空間を演出
よく見るとバーバーのサインポールが本当の外じゃなくて、エントランスより中にあるよね?これはわざとなの?
よくぞ、気づいてくれました(笑)。これは意図的に中に設置しています。本当の外から、外っぽい店内との境界線を無くすことと、そこから路地裏に入ってみようと思わせる工夫でもあります。
個室の外側の壁もレンガ調のテクスチャーを使うことで、しっかりと外っぽさを演出しています。あとは、通路の床も入口の階段の視認性を高めるため、ラインを斜めにすることで動きがあるようにしているんですよ。
もともと敷地が台形状だったのを逆手にとって活用して、ランダムに個室を配置したことも路地裏の雰囲気の演出につながりました。
これらを総合して、お客さまが1番望んでいらっしゃった、男らしいイメージが創出できたんじゃないかなと思っています。
ポイント②
施術から支払いまで個室でスムーズに完結できるプライベート空間
それぞれの個室もすごく魅力的だよね!どんなこだわりがあるの?
外と中の対比として、まず床の模様には、縦や横などの一定の方向性がない模様のものを使うことで部屋を広く見せる工夫を施し、個室感を際立たせています。壁には重厚な木目調のクロスを張り、ミラー周りをはじめ、モールディングといった意匠的な枠をつけることでラグジュアリー感もプラスしています。
オペレーション面では、お客さまが入ってきたときにオーナーさまが視認しやすい場所と大きさに配慮して窓を配置し、個室内でカットからシャンプー、お支払いまでワンストップで完結できるようにしています。そのため、待合スペースも必要なくなるというメリットも生み出しています。
この提案をするときに、タカラベルモントが力を入れている個室空間で全てのオペレーションを完結できる商品ラインナップが充実していたことは、とても役立ちましたし、提案にもピッタリでした。
ポイント③
素材選びと光の使い方で、高級感あふれるイメージとコスト削減を両立
全体的にすごく高級感があるんだけど、かなり費用もかかったんじゃない…?お見積りのとき、オーナーさまは驚かなかった?
今回のオーナーさまは、長く勤められていた理容室から独立して、初めて自分のお店を持つ方だったので、費用面において制限があることは分かっていました。
そのため高価な素材やアイテムばかりを使わず、いかに工夫できるかがポイントでした。
例えば、重厚なイメージを演出するレンガ調の壁には、本物のレンガではなくクロスを使用しています。でも薄いクロスだとペラペラに見えてしまうため、黒い窓枠をレンガ模様の目地に合わせて造作することで、壁全体に厚みがあるように見せて高級感を出しています。また、個室内のチェアには理容室らしく重厚感のある黒のレザーを使用したものをセレクトしています。
費用をかけるところにメリハリをつけて、魅せ方を工夫することでトータルではオーナーさまのニーズにもお応えでき、喜んでいただけました。
ここまで色々な工夫やこだわりがあるデザインの理容室が完成して、他にはどんな反応があったの?
完成時は思い描いたイメージ通りのお店ができたと満足いただきました。それ以上にオープン当初は個室2つで運営いただいていたのですが、1年半くらい経った頃にもう一つ個室を追加してほしいとの依頼をいただけたことは、お店の発展に貢献できたと感じられて、嬉しかったです。ちょうど『BULLS CUT』さんの空間デザインで「Takara Business Creation Awards2021」審査員特別賞を受賞した頃だったので、オーナーさまとのお打ち合わせのときに受賞のお話をさせてもらったら、心から喜んでいただけたことも思い出深いです。
初めて手がけた空間デザインで賞も受賞するなんてすごい!もっと色々聞きたいんだけど、次は「maison BIRTHDAY(メゾンバースデイ)」さんについても聞きたいからすごく困っちゃう(笑)。
ということで、「maison BIRTHDAY」さんのお店の情報とご要望について教えて!
【物件情報】
美術館のような球体のオブジェで人々の関心を引き愛されるお店に!
オーナーさまは、埼玉・越谷にある有名美容室に勤務されていた方で、20年目のキャリアの節目として、美容皮膚科でカウンセリング経験をお持ちの奥様と一緒に新たな場所でお店を開業したいと考えていらっしゃいました。そこで始まりの場所として選んだのは、奥様の地元である栃木県佐野市です。
デザインのご要望としては、ご夫婦がお好きなアパレルブランド「Maison Margiela(メゾンマルジェラ)」のフレグランスストア「レプリカ」のようにしたいという明確なイメージがありました。そして、地域に貢献しながら、地域と一緒に成長する美容室にしたいという想いもお持ちでした。
“地域に貢献するお店”って空間デザイナーとしては、イメージをカタチにするのはかなり難しかったんじゃないの?
そうですね。イメージされていたお店がラグジュアリーブランドだったので、そこに地域の人と一緒に成長していく、地域に貢献するということから連想する温かみをプラスするにはどうすれば良いか、非常に悩みました。
最初は、かなり上品で落ち着いたいわゆるシャビーなイメージのデザインと、親近感もありつつ誰からも愛されるような柔らかみと温かみのある球体を配置したデザインの2つを提案。最終的にオーナーさまの想いにピッタリとのことで後者を採用いただきました。
この球体は本当に目を引くよね!直線的なデザインじゃなく、丸みが優しく包み込んでくれるようですごく魅力的。この球体には何か意味やメッセージが込められているの?
はい。この球体は、実は店名に含まれる「BIRTH(起源)」から想起したもので、生命の始まりを感じる「天体」をイメージしています。このアイコニックな球体を中心に丸い照明の高さを変えて配置することで、まるで宇宙空間を浮遊しているかのような雰囲気を醸し出していますね。
それと、もともとは左右に入り口があり、中央は固定の窓だったのですが、球体オブジェと同じセンターにエントランスを移動しました。テンパーガラスドアにすることで、街とつながるイメージを強めています。
宇宙空間かぁ…すごく荘厳で幻想的。それにギャラリーみたいな感じで、ついふらっとお店に入ってしまいそう!
そこは地域の人に気軽に入ってほしいというオーナーさまの想いとマッチして、すごく喜んでいただけたのを覚えています。あとは、なかなか球体や丸を使ったデザインの空間は見かけることが少ないので、地域の人から注目を集めるということも狙いました。実際にお店オープン後は、地元のテレビや新聞などのメディアなどにも取り上げられたそうで、本当に良かったなと思います。
この空間を表現するうえでこだわったことを教えて欲しいな!
わかりました。では、2つほどポイントをご紹介します。
驚きと地域の人に愛される温かみのある空間づくりの2つのポイント
ポイント①
宇宙空間で星々が浮遊するイメージを光の反射と照明の配置で表現
まず外観のイメージも意識して、エントランス正面から見て中心にアイコニックな球体を配置しました。球体自体はグレーで、壁や床は全面ホワイトを基調にしています。メインの球体は落ちてきた星のようなイメージで床に設置しており、その周りの星々をイメージした照明はそれぞれ高さを変えて、無数の星々が広がっていることを表現しました。
照明は既製品の同じサイズのものを使用しているのですが、高さを変えていることと、不規則な配置にすることで、遠くから見ると大きさも違って見えてより幻想的で宇宙空間らしくなります。
照明も星に見立てて、遠近感も利用するって、発想自体がすごいね!床も何か考えられているの?
はい。もちろん!床はツヤありの磁器タイルを使用して、光を反射させることで、より浮遊感を出しているんですよ。
なるほど〜〜!そこも計算されてるんだ、さすがだね!あとはこれだけ広々として見えるのも、奥行きや床の反射が工夫されているからだよね?
その通りです。実際にはお店の敷地面積は13.36坪で、決して広くはないんです。でも、視覚効果を考えてデザインすることで、広く見えますし、体感的にも広く感じる空間はつくりだすことができると考えました。
まさに城間さんは空間の魔術師だね。もう一つのこだわりポイントは?
ポイント②
オブジェを活用した多機能なディスプレイ兼テーブルを設置
よく見てもらうとわかるのですが、メインの球体の上には厚みのある板を設置しています。これはディスプレイ台と打ち合わせ、受付、レジスペースなど多目的に使用できるようにしています。そのために引き出しも付けているんですよ。
これにより全体のイメージを損なうこともないですし、花などをテーブルに置けば、お店の雰囲気を変えることもできる。また施術中のお客さまは、ミラー越しにディスプレイしたものを楽しんでいただけます。
さらに、オブジェの天板の高さをスタイリングスペースに座ったお客さまの目線と合わせ、ミラー越しに映るシャンプースペースのお客さまの顔や洗髪している姿が絶妙に隠れるようにしているんですよ。
機能までしっかり考えられたデザインなんだね!それとミラーの横の柱も変わったカタチをしてるような気がするんだけど…。
実はこれは、柱のように見えて、隣同士の仕切りなんです。全体のイメージを損なわないように彫刻的な六角形の柱にしています。
斬新なだけじゃなくて、細かいところまでオーナーさまやお客さまへの配慮が行き届いた空間デザインなんだね!オーナーさまもすごく喜んでくれたんじゃない?
パースの段階で気に入っていただいて、完成後も「すごいです!」って言ってもらえました。白壁ってすごく汚れが目立ちやすいのですが、オーナーさまが毎日キレイにしていて、オープン後しばらくして訪問させていただいたときに真っ白でピカピカな状態だったんです。それを見たときは、本当に気に入っていただいているなと感じましたね。
良かったね~!あとは、お店がもっと地域の人に受け入れられてオーナーさまたちの「地域貢献したい」という夢の実現につながると良いね!
今回、2つの空間デザインを紹介してもらったけど、どちらも全然違うイメージのものでびっくりしちゃった。
2つとも坪数は同じくらいだったけど、まったく同じデザインにならないのはどうしてなの?
同じ坪数だったとしても、デザインの広がりは無限にあると思っています。それは唯一無二のオーナーさまの想いや希望をもとにデザインをするから。そのために、私たちは何よりもオーナーさまとの会話やご要望を大切にしています。
お店のイメージだけでなく、好きなもの、趣味、デザイン、将来の夢までしっかり把握してデザインすることで、常に1人ひとりに寄り添った空間ができあがると考えています。
なるほど、ヒントはお客さまの声の中にあるという感じだね!ちなみに城間さんがこれからやってみたいデザインはある?
今まで私のデザインは、どちらかというと足し算のデザインだったと思っているんです。なので、これからは余分なものを削ぎ落としていく、いわゆる引き算のデザインもできるようになりたいなと。そのためのバランス感を養っていきたいなと思っています。
またいつか引き算のデザインで生み出されたお店ができたら教えてね!絶対見てみたい!
最後に、これから理容室、美容室を開業したり、今のお店をリニューアルしたいというみなさんに向けてメッセージをお願い!
私たちが日々向き合っているオーナーさまは、個人事業主の方が多いのですが、よく相談されるのは、敷地面積が小さい、予算があまりないというお悩みです。
でも、私たちデザイナーは、お客さまのご要望が難しければ難しいほど「チャレンジしてよう!」という意欲が湧いてくるので、むしろ大歓迎です。
アイデアと工夫で多くの課題は解決できます。
私自身もいろいろなオーナーさまと触れ合わせていただいているおかげで、空間デザイナーとしての喜び、そして成長も感じられています。ぜひ「お店づくりにおいて絶対に譲れない想い」をお聞かせいただけたらと思います。
大躍進中の若手空間デザイナー!話を聞いた城間さんのプロフィール
城間俊一(しろま・しゅんいち)
1997年奈良県生まれ。近畿大学建築学部建築学科建築デザイン専攻卒。大学卒業後、1年間見聞を広めるため、日本国内をはじめ海外はドイツ、フランスなどヨーロッパを探訪。2020年タカラスペースデザイン株式会社入社。入社後初めて手がけた空間デザインが2021年のTBCAで審査員特別賞を獲得。その後も次々と入賞を果たすなど、大躍進中の若手デザイナーとして注目される。
受賞歴
2021年 Takara Business Creation Awards 審査員特別賞『BULLS CUT』
2023年 Takara Business Creation Awards 社員アンケート賞 金賞『maison BIRTHDAY』
2023年 日本空間デザイン賞入選『maison BIRTHDAY』
※2024年5月現在
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TBCA2024金賞・銀賞決定。 非日常やトレンドを体現する作品が並んだ最終審査会。
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