TABEちゃんが選ぶ!サロン空間アワードの第二弾は“石ころと水”がキーワードの美容室「月日」さんの魅力を深掘りしちゃいます!このサロンは「Takara Business Creation Awards2022」※でサロンデザイン審査員特別賞を受賞したんだよ!
このサロンをつくったのは、タカラベルモントグループの空間デザイナー 中村まいさん。お客さまのご要望をくみ取り、形にするのが得意な中村さんに、受賞作品や仕事に対する想いについて聞いてきたよ~!
※全国で活躍する所属デザイナーが設計した作品の中で、特に優れたデザインを選出する社内コンペ
インタビュアー:TABEちゃん
話を聞いた中村さんのプロフィール
中村まい(なかむら・まい)
1990年東京生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科インテリアデザインコース卒業。2014年にタカラスペースデザイン株式会社入社。小規模の新規独立開業から大型チェーン店まで幅広い理美容室のデザインを多数手がける。女性らしい素材や色使いを得意とし、エンドユーザーまでもが笑顔になれる愛される空間作りを心掛け、業界誌にも多数掲載されている。
受賞歴
2022年 Takara Business Creation Awards サロンデザイン 審査員特別賞『月日』
※2023年5月現在
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「時の流れ」を空間全体で表現した自然的デザイン
こんにちは!インタビュアーのTABEちゃんです。
今日は「月日」のデザインを担当した中村さんに、サロンデザインのこだわりポイントをズバリ聞いちゃいますよ〜!
まずは「月日」さんって、どんなサロンなのか簡単に教えて〜!
「月日」は、京王線の駅前商店街を抜けた先のビル(東京都世田谷区)に入っている美容室です。入り口が奥まったところにあるので、隠れ家のような雰囲気が特徴的です。通りからお店の入り口が少ししか見えない立地なので、「外を歩いている方が『何のお店だろう?』と気になるお店を作りたい!」というオーナーさまから要望をいただきました。
また、この「月日」という店名には“お客さまと共に時を過ごしていく空間”という想いが込められていました。この想いを、長い年月をかけて水に削られた石ころをモチーフにして、自然を感じさせるサロン空間とし、明るく開放的なのにどこか落ち着く雰囲気の中で、癒しの時間を過ごせる空間にデザインさせていただきました。
長方形でコンパクトな間取りだね~。オーナーさまからはどんな要望があったのかな?
オーナーさまからは「丸いミラーを使いたい」「和モダンな雰囲気に仕上げたい」といったご要望もいただいていましたが、思ったより間取りがコンパクトだったので、いかに圧迫感を抑えて空間を広く見せるかが課題のひとつでした。
お店を広く見せる工夫と、丸いミラーで和モダンな空間をつくる…?!どんなお店が完成したのか、想像しただけでもワクワクしちゃう!デザインで特にこだわったポイントを教えてほしいなぁ!
こだわりはたくさんあるのですが、特に力を注いだ「5つのポイント」を紹介しますね!
>ポイント①:「石」×「水」の組み合わせで自然を感じさせる空間に
>ポイント②:水の中で転がる石ころをイメージした独創的なミラー
>ポイント③:プライベート空間に手作りガラスの仕切りで開放感をプラス!
ポイント①
「石」×「水」の組み合わせで自然を感じさせる空間に
どのように親しみやすい空間をつくろうかと考えたときに、自然界に存在するものをテーマにデザインしようと閃きました。
また、丸いミラーに関しては、店名の由来である“お客さまと共に時を過ごしていく場所”と合わせて、長い年月をかけて水に削られてできた“石ころ”をイメージしてつくっています。
居心地の良さがこっちまで伝わってくる〜♪“石ころ”イメージのミラーにも、水で削られてきた年月を感じさせるのは素敵だな!
美容師さんにとって“水”は、仕事をするうえで大切な要素のひとつです。ゆるりと流れる水のデザインと、オーナーさまが希望する丸いミラーをかけ合わせて、癒しのひとときを過ごせる空間を目指したんです。
実は、オーナーさまには普通のデザイン案も一緒に提出させていただいたのですが、「石ころと水」のデザイン案を大変気に入ってくださり、とても嬉しかったことを覚えています!
へぇ〜!そうだったんだ!お店の名前から発想したデザインだから、説得力があるなって思ったよ!
ポイント②
水の中で転がる石ころをイメージした独創的なミラー
セット席のミラーは、“石ころ”をイメージしたって言ってたよね?
はい。一番力を注いだのは、「水の中を転がる石ころ」の表現方法ですね。ミラーを壁に取り付ける際は、あえて位置や角度をずらして設置し、壁に描いた水の流れにも配慮して微調整したんです!
こだわりがすごい〜!こういう石ころみたいな形のミラーって、どこかに売っているの?かわいいから気になっちゃう!
完全オーダーメイドの特注品なので、「月日」の店内にしかないものですね。私が石のオリジナルイラストを描き、ガラス屋さんに依頼して、レーザーカッターでカットしてもらいました。
“石ころ感”を丁寧に作り込むことで、店名「月日」に込めた想いが、より伝わりやすくなると思ったんです。
中村さんのお店への優しい気持ちが、石ころのころんとした形に現れているね!
ポイント③
プライベート空間に手作りガラスの仕切りで開放感をプラス!
すっごく素敵なシャンプーブースだね〜!いろんな場所から光が差し込んでて、夢のような心地良さを体験できそう…!
実は、明るさや開放感だけではなくて、“いかにしてプライベートな空間をつくるか”にもこだわったんです。
オーナーさまからは「セット椅子とシャンプー台の椅子に座るお客さまの視線を干渉させたくない」という要望をいただいていたので、空間を2つに仕切る必要があったんです。またシャンプー台は眠れるくらい静かな空間にしたかったので、透明なガラスを使うのは少し違う…。かといって磨りガラスを使うと、開放感が損なわれて、居心地の良い雰囲気を壊してしまう可能性がある…とか。
このように色々悩んだ末に思いついたのが、「仕切りに透明なガラスを使いつつ、視線が気になる部分はカラーシートで隠す」といった方法だったんです。カラーシートは施術中のお客さまの視線が届く範囲にだけ貼り付け、立っている美容師さんは店内の様子を見渡せるように工夫しているんですよ~。
なるほど!難しい要望も、カラーシートの貼り方ひとつで叶えちゃうなんて、閃きが素晴らしい!
ポイント④
ガラスと壁で水の流れを表現して、唯一無二の世界をデザイン
あれ、よく見ると壁とガラスの水色が少し重なって見えるけど、どうしてなの?
よく気づいてくれましたね!実は「月日」のコンセプトのひとつである水の流れを表現したくて、鏡を取り付けたセット面側も同じ水色にして、ガラスの両面にカラーシートを貼り付けたんです。
カットやパーマの途中に鏡で後ろを見ると、ガラスと壁の水色が重なってに見えて、立体的な水の流れを感じられるようにデザインしただけでなく、高さをあえて不揃いにすることで、水が「層」となって見えるように工夫しました。
ひょえ〜!目隠しのために使ったガラスシートが、空間にマジックを起こしているみたい…!
ポイント⑤
入り口の石ころオブジェは美容室の「顔」に!
お店の入り口にはとっても大きなオブジェがあるね!もしかして、これも石ころなの?
これは木を加工して作った、石ころの木製オブジェなんです。原寸サイズの型紙をつくって、大工さんに切断・塗装してもらったのちに固定しています。入り口の後ろにあるシャンプー台を隠す役割と、外から見て「何だろう?」と思わせる要素も考慮して、大きな形にしました。
実は外からお店の入り口を覗くと、石ころのオブジェが少しだけ見えるようになっているんです。「月日」は看板などを大々的に出さない隠れ家的なお店。石ころのオブジェは、そんなお店の「顔」的な要素も持っています。
たしかに、何気なく歩いている途中でこんなオブジェを見かけたら、「何のお店だろう…?」って思わず気になっちゃうかも!完成したお店の評判はどうだったの〜?
オーナーさまは内装の出来栄えにとても喜んでくださいました。また思わぬ影響もあって、石や水などの自然をテーマにお店づくりをしたことで、元々は興味がなかった植物を好きになられたそうなんです。今では床やテーブル、さらには天井からも植物が吊されていて、とても神秘的なサロン空間になっています。また、石ころのオブジェも目立っていて、入り口から中の様子を覗こうとする人もいるそうですよ。
サロン経営も順調な様子で、当初はオーナーさまが一人で運営される予定でしたが、アシスタントの方を採用されるほどに繁盛していました。
デザインで人の趣向も変えちゃうなんて…すごい!石ころを見て人が集まってくる、招き猫ならぬ“招き石”になってる〜!「月日」のようなアイデアは、どこから沸いてくるの〜?
私は自分の直感を信じてデザインするタイプなのですが、その直感の元になる要素は、おもにSNSからインプットしています。いつもタブレットを持ち歩いているので、移動中や休憩時間などに気になるアイデアを拾っていますね。
「サロンでどんな体験をしてほしいか」を想像しつつ、時間の流れや空気感を考えて、これまでにストックしたアイデアと組み合わせていくイメージです。
普段からインプットを欠かさないからこそ、良いアイデアがパッと浮かんでくるんだろうね!ちなみにお仕事をするときに、気を付けていることってある?
限られた予算の中で、いかにより良いものをつくるかには気を付けています。建築系の作品集を見たり、気になる素材について詳しく調べたりと、提案のヒントになりそうなものを片っ端から集めるんです。職人さんとも密にコミュニケーションをとって、有益な情報を見逃さないように心掛けています。
一からデザインを考えるのはとても大変な作業ですが、そのぶんオーナーさまやお客さまの笑顔を見られたときは、この仕事をやっていて本当に良かったと思えます。特に「ありがとう」と直接感謝のお言葉をいただけると、とても励みになります!
「ありがとう」なんて直接言われたら、どんなに大変でも頑張れちゃいそう〜!ほかにも、デザインのお仕事でこだわってるポイントってある?
「人とのつながり」を大切にしています。もともとコミュニケーションをとるのが好きなので、日頃から各分野の専門家との人脈を広げて、困ったときにお互いを助け合える関係性を作っています。
たとえば植物を使った空間演出に悩んだときは、設計実績が豊富なデザイナー仲間に相談したり、ユニークな施工を数多く手掛ける業者さんから意見を聞いてみたり。なんとなく話しているだけなのに、ふとした瞬間に自分のインスピレーションを超えるアイデアが生まれることがあります。
思わぬつながりからデザインのヒントを発掘する感覚って、すごく楽しいんですよ!
楽しんで仕事ができる環境って素敵だね!アイデアの組み合わせでまったく違う空間が生まれるなんて…なんだか感動的!サロンデザインの仕事は、人とのつながりも大切なんだね〜。
本当にそうなんです。オーナーさまの理想の空間デザインを叶えようとすると、自分だけでは決して辿り着けません。案件を依頼してくれる営業さんに、思い描いているものを忠実に作ってくれる職人さん、ほかにも照明プランナーさんや建材メーカーの担当者さんなど、さまざまな専門家たちの支えに感謝しながらデザインする日々です。
フムフム、とっても素敵な仕事のスタイルだね〜。じゃあ最後に、中村さんのデザイナーとしての想いを教えてほしいな〜!
自分がサロンに行くのも大好きなので、得意なデザインとお客さま目線を融合させて、新しい価値を提案し続けられたら嬉しいですね。
そのためにも、デザインに関して日々勉強をし続けて、本当に素敵なお店を残せるように全力を尽くしていきたいです。もっとデザインに真摯に取り組んで、オーナーさまやその先のお客さまに喜んでいただける空間を描き続けたいですね!
中村さんが今後手がけるサロン空間にも注目したくなっちゃった!
中村さんがデザインした「月日」には、「自然をうまく取り入れたで賞!」を贈ります!
これからも素敵なサロン空間をデザインして、たくさんの笑顔を生み出してね〜!
ライター:夏野 久万 カメラマン:岡田 久輝
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