鈴木豊さん(牛若丸)

鈴木豊さん(牛若丸)| この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG

ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2008.5.1

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パンクバンド時代にセルフカットをしたのがきっかけ

私は、高校2年生の時に美容師になろうと決めました。実はその頃、パンクバンドをやっていましたが、パンクのような『とんがったヘア』にしてくれる美容室がなかったんです。そこで、自分でカットをしたところ好評で、友だちからも頼まれるようになりました。それ以来、カットをすることの楽しさを覚えたんです。私は、高校時代にいろんなアルバイトを経験しましたが、その仕事をすることの意味が納得できなくて、ほとんど長続きしませんでした。でも、ファッションや美容にはすごく関心があったので、迷うことなくこの職業を選びました。ただ父は、『なぜ、そんな女性のやるような仕事を選ぶんだ』と、最初は理解してくれませんでしたね。ところが、ハサミを買う時に『道具はいいものを使え』と言ってくれ、母親に『今は給料が安いから・・・』と援助するよう言ってくれた時は、認めてくれたんだなと感じましたね。美容学校は通信課程で学びながら、地元のサロンに入社しました。そのお店は私のいとこが勤めていたサロンで、オーナーは私の父と同級生でもあったんです。しかも、地域で一番流行っていた美容室でした。

学生時代

反面教師として先輩から学んだ接客時のタブー

そのサロンは4店舗を経営していて、スタッフが多かったのでチームワークの大切さを学びました。それと、男性ということで忙しい店舗の応援によく行かされましたから、地域ごとでの客層の違いを学ぶこともできました。ただ、さぼってもいないのに『コーヒーのニオイがするぞ』とか言われてからかわれた時は、若かったせいもあり、なぜ信用してくれないのかと悔しい思いもしましたね。そのサロンでは約3年くらい勤めました。 2店舗目は、そこのナンバー2だったチーフが独立する時に誘われて、一緒について行きました。ナンバー2だった人だから、必ず成功するだろうと思って行きましたが、現実は厳しかったですね。その人は精神的にまいって身体を壊してしまい、ムードも暗かったです。そこでは1年半くらい勤めましたが、反面教師として『こんなことをしてはいけないんだ』ということを学びました。例えば、神経質な人だったので、その時の機嫌が顔に出ていたんですね。それをお客さまが察知して、『オーナーさん、機嫌が悪そうだね』と私に言ってくるんですよ。お客さまは、ちょっとしたことでも敏感に感じるんだと、その時に強く思いました。

鈴木豊さん(牛若丸)

美容師は自ら進んで学ぶ姿勢が大切

そのうち客足が遠のいてしまい、サロンは暇なことが多かったです。お客さまがいない時にレッスンを始めて、そのまま閉店までずっと練習していたこともありました。さらに、業界誌を隅々まで読んで、また逆から読み返したりして(笑)。そんな感じで、充分に練習する時間はありました。だから、そのサロンでもう1つ学んだのは技術。その頃、もう一度ベーシックの勉強をしたくて、川島文夫さんのカットの本を全部やってみたりもしました。でも、オーナーとの関係がぎくしゃくしていたので、分からないことがあっても聞けなかったんです。そこで、自分なりに考えて繰り返し練習しました。最初のサロンは、見て学べといった昔気質のお店でしたから、2店舗目ではがむしゃらに勉強しました。最近の若い人は、教育環境が整った時代にいますから、恵まれている反面、教えてもらうことを疎ましく思う人もいます。だから、自ら進んで努力することの大切さをもっと感じてほしいなと思いますね。そしてそのサロンを退社し、次は今まで自分と関わりのないサロンで働きたくて、初めて女性オーナーのお店に入社しました。

当時のサロン

女性オーナーから人としての優しさを学ぶ

3店舗目に勤めたサロンは私にとって初めての女性オーナーで、その方も初めて男性美容師を雇ったとのことでした。私は当時23歳で、25歳には独立して自分のサロンをオープンしたいという希望を持っていました。だから、面接の時に自分の意思を告げたところ、心良く承諾していただき、それまでの約1年半を必死で頑張ろうと決心したんです。そのオーナーはすごく優しい方で、朝はスタッフのためにコーヒーを入れてくれて、お菓子まで出してくれるんですね。それまでのオーナーさんとは違う発想の人で、『人はこんな風にしてくれると嬉しいんだな』と実感しました。だから、自分がお店を持つ時に、人間関係の基準にしました。まるで、家族と接しているようなそんな雰囲気がよかったんです。そして、26歳になる1ヶ月前に、希望通り独立しました。実は学生時代に、東京に行こうかとも考えたんですが、仕事をしながらサーフィンをしたい、車にも乗りたい、スノボーもしたい、そして友人とも離れたくないと考えた時に、やはり地元が一番いいという結論になったんですね。だから、独立した時も、地元でお店を開こうと考えました。

鈴木豊さん(牛若丸)

地元に貢献したい、だから地域密着型

地元でオープンするからには、そこに住む人たちの気持ちを理解しないといけないというのが私のポリシーでした。それが、地元への恩返しになるのではないかと考えたからです。当時は郊外型サロンがあまり目立たない時代でしたから、お客さまのためにきちんと駐車場を完備した、地域密着型のサロン作りをしたいなと思っていました。出店で一番苦労したのは、やはり資金面でしたね。晩酌しながら父と出店の話をした時に、『その日のために資金を準備しておかなくては…』と言っていたので、私はてっきり父が用意してくれていると思っていたんです。ところが、兄が結婚するので資金が必要だから、お前は自分で調達しろと言われましてね(笑)。そこで、いろいろと銀行を回ったんですがすべて断られ、最終的には父の知人がいる地元の農協から借りることができました。その時に、社会は厳しいなと最初に実感しました。

牛若丸

当時では珍しい全メニューを明記したチラシを配布

最初にオープンしたサロンは15坪で、セット面が5面、シャンプー台が2台、スタッフが2名でした。集客面では、裏面にすべてのメニューを明記したチラシを配布しました。今では普通ですが、当時は珍しかったんです。それが、お客さまにサロンの内容を伝える親切なPRだと考えていました。これが成功して、それ以降は自分の給料を削ってでもいいからこのようなチラシを1年に4回は出そうと決めました。オープンしてからは順調で、3年くらいで軌道に乗せることができました。売上げに関しては、前年度より30%アップさせるというのがサロン運営に関するテーマだったんです。それが2年目からクリアすることができました。その間、拡張リニューアルや支店の出店で月ごとの変動はありましたが、それでも年間を通じて順調にアップしています。サロンを活性化させるために、何をすべきか明確にビジョンを立てて、それを一つずつクリアすることで達成できたと思っています。サロン展開を広げていったのは、当初の予定ではなく、支持してくださるお客様のニーズが増えたことによります。現在は、サロンを4店舗、エステサロンを1店舗、さらにお客さまからの要望もあり家具やインテリア用品の販売なども展開しています。

牛若丸のチラシ

自分の不在からスタッフの力を実感

'99 年に2店舗目のushiwakamaru EASTを出店した翌年頃から、私自身がサロンワークから経営面に徐々にシフトしていきました。実はその頃、仕事もできない程に私事でとても落ち込む事があり、3週間くらいサロンを休んでいたんです。ところがその間、皮肉なことにサロンの業績が伸びていったんですね。それまで、自分がリードしていかなくてはと思っていたのに、逆に自分がスタッフたちに支えられていたことに気づいたんです。牛若丸はスタッフの力で成り立っていて、私も彼らのお陰で仕事ができるんだと痛感しました。

鈴木豊さん(牛若丸)

やるならどこにも負けない100坪のサロンを

さらに、子供が1歳になる頃に、自分で立って歩き始めたんです。子供の歩く姿を見た時に『自分がいつまでもウジウジしていたらダメだ』と思い、余計なことを考えずにもう一度、仕事に打ち込もうと考え直したんです。そこでダメならあきらめがつくし、どうせやるならどこにも負けないような1フロア100坪のサロンを作ろうと決心しました。それでオープンしたのがイーストです。 24時間、仕事のことを考えていれば、悲しいことも忘れるだろうと思い、必死で仕事に打ち込みましたね。それが2000年です。オープン当初からスタッフたちには、人として大事なことを教えてきましたし、よく一緒に飲みに行きました。悩みの相談にも乗りました。そんな、アットホームで家族のような関係を大切にしました。そんな彼らが支えてくれたからこそ、今の自分があると思っています。

牛若丸オープン時のチラシ

スタッフにも職場環境を整えたシステムに

現在、ヘアサロンは4店舗を展開していますが、それぞれにコンセプトがあります。例えば、牛若丸の営業時間は9時から18時。イーストは12時から21時まで。実は、2つのサロンで一対になってるんです。それは、ロフト店とガーデン店も同様で、お客さまの生活スタイルに合わせてシフト制で展開しています。スタッフにも、朝型と夜型の人間がいますからね。さらに、ガーデン店は日曜日が定休日。それは、主婦のスタッフに対して働きやすい環境作りに挑戦したかったからです。私はできるだけ、物事を自然に取組んでいきたいと考えています。だから、無理を強いることをできるだけ避けています。私が徐々にハサミを置いて経営面にシフトしたのも、自分の『したいこと』と『やらなければいけないこと』の分別をつけたから。今後、サロンの展開としては、子供からお年寄りまで安心して来られるサロン作りを徹底していきたいです。そして技術をもっと磨いて、地元に恩返しをしたいです。実は、サロンでフリーペーパーを作成していて、その中でスタッフたちを紹介しているんです。彼らのご両親に好評で、彼らのモチベーションUPにも繋がっています。これから美容師を目指す若い人には、失敗を恐れず頑張ってほしいですね。美容学校に配っている会社案内に、『牛若丸は失敗してもいい会社』というフレーズを入れています。考えすぎず、無茶でもいいから行動に移せば、結果は後からついてきますから。

牛若丸
鈴木豊さん(牛若丸)

鈴木豊(スズキユタカ)

静岡県出身。山野美容専門学校(通信科)卒業。地元の三島のサロンに入店後、サロンを3軒経て独立、'93年に牛若丸JAPAN(長泉町)オープン。'96年、有限会社 牛若丸を設立。同年に牛若丸JAPANをリニューアル。'98年に本部事務所を開設。'99年にushiwakamaru EAST(裾野市)オープン。2000年に牛若丸JAPANリニューアル。'05年にloft produced by ushiwakamaru(函南町)オープン。'06年にushiwakamaru EASTリニューアル。株式会社 牛若丸に組織変更。11月にエステサロン『ANNEX』オープン、ブライダル事業部門『ushiwakamaru WEDDING SERVICE』開設。'07年にushiwakamaru Garden(函南町)オープン。'08年にネイル部門創設。6月にはushiwakamaru GRAND(仮称/清水町)オープン予定。主な事業内容は、美容室、エステティックサロンの経営、美容器具、化粧品、医薬部外品の販売、家具、インテリア用品の販売など。各店舗により、コンセプトや雰囲気を変え、幅広い年齢層の方に対応出来るサロンづくりを心がけている。

※2008年5月1日現在

シリーズ:この人から学ぶ、成功の秘訣「TBMG」

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