ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2010.10.7
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憧れの東京で華やかな美容の世界に飛び込んだ
私の両親は栃木で理容室を営んでいましたが、私は幼い頃からお店を手伝ったり両親の仕事姿を見たりする事がなく、稼業を継ぐつもりはありませんでした。小学1年生から12年間サッカーをしていたので、将来的にその世界にたずさわりたいと思っていたんです。ところが、友人たちにはスカウトが来ていたのですが、私にはお誘いがなく悩んでいました。それが高校3年生の3学期。そこで、時期的なこともあり、サッカーの道をあきらめ、憧れの東京に行くことを決心しました。実は損をする事はないだろうと思い、高校時代に通信課程で理容師の免許を取得していたんです。だから、最初は理容師としてサロンに勤めようと考えていました。ところが、上京して白金台を歩いていた時におしゃれな美容室を見つけて、こんなお店で働きたいと思い、飛び込みでスタッフを募集していないかを尋ねたんです。すると、オーナーさんが心良く採用してくれて勤めることになりました。当時は、まだカリスマ美容師ブーム以前の頃でしたが、上京して華やかさに引かれて美容師になることを決め、通信課程で美容師の免許を取得しました。
生来の負けず嫌いでハードな練習にも頑張れた
当初から、私は自分のお店を持ちたいという将来の夢を持って上京しました。早く一人前になるために、必死で練習しましたね。でも、そのサロンは仕事がハードで営業時間が10時間以上。定休日がなく、幹部の人たちは1ヶ月に1日くらいしか休みがない状態でした。私は早く技術をマスターしたいの一心でしたが、お店のためというよりは熱心に指導をしてくれた先輩に報いるために頑張っていました。その人はチーフで、夜中の1時頃まで練習に付き合ってくれて、翌日の7時には出勤していました。そんな日々がほぼ毎日でしたね。スタッフの関係も体育会系の雰囲気があり、負けず嫌いの私は早く先輩たちを追い抜いて1番になろうと必死でした。今思えば、サッカーをやっていたことで自分にはメンタル的な強さがあったんだと思います。根性で頑張ろうという意気込みで突っ走っていましたね。
青山界隈の人気サロンの仕事ぶりに興味がわいた
そのサロンには約3年間勤めました。スタイリストとしてデビューした時は緊張しすぎて、話した内容もどのようにカットしたのかも全然覚えていません。仕上げをしてお客様に鏡を見せるのが恐かったことだけはよく覚えているんですけどね(笑)。それまでも人頭モデルでカットの練習をしていましたが、さらにモデルハントをしてカットの練習を繰り返しました。それから徐々に仕事ができるようになった頃、青山や表参道のサロンに興味がわいてきました。雑誌を見て、どのようにカットしているのか、どんな仕事をしているのかを知りたくなったんです。当時は、エフェクトカットやスライドカットなど多彩なカットテクニックが注目を集めた時代でした。ところが、そのお店ではそれらのカットテクニックは教えてもらえませんでした。また、カリスマ美容師がブームになった時で、antiの小松利幸さんに憧れていました。気取らない小松さんの人柄に魅力を感じました。私もスポンジを巻いて円すいロッドを真似て作り、研究しましたよ。そのうちに色々な技術を身に付けたくなり、最初のサロンを退職して青山のサロンに入社しました。
ビラ配りでリターン率がトップになりやがて店長に
私が入社したサロンは多店舗展開をしていて、私は青山の支店に入りました。他の有名サロンにも面接を受けましたが、当時はスタイリストの採用がほとんどありませんでした。私はそのサロンに入社して、自分がそのお店を有名にしよう、という気持ちでいました。入社した最初の頃はビラ配りばかりでしたが、そこでも負けず嫌いを発揮してリターン率でトップになりました。それが自分の売上げにもつながり、最終的には店長を任されるまでになりました。新人スタッフの教育は自分が最初のお店で教わった先輩の指導法を参考にしました。その人の教えとは、『まだ完成されていない頃は自分のために頑張ればいいが、上の立場になれば人のために努力しないとだめだ』ということです。そして、『人のために努力することで、それが自分に返ってくる』という考え方でした。簡単なことではないですが、それを今でも私の信念にしています。
3人による共同経営で代官山にサロンをオープン
青山のサロンには2年間勤めました。それから友人に誘われて、3人による共同経営で代官山にサロンをオープンしました。それまで、白金台と青山を渡り歩いてきて、地域での客層の違いを実感しました。代官山のお客さまは青山より年齢層が高かったですが、シビアな方が多かったですね。サロンのコンセプトはリゾート感覚の癒しをモチーフにしましたが、オープン当初は超多忙で慌ただしかったです。ただ、それを継続できるかが難しい課題です。代官山は競合店が多く、新規のお客さまを増やすために街を歩いている人に直接声をかけたこともあります。敬遠されたりもしましたが、次第とそれにも慣れてくるんですよ。負けずに声を掛けまくりました(笑)。共同経営をしていて数年後に感じたことは、何事にも決断が鈍くなりスムーズに進行できないということでした。それぞれに役割分担はありましたが、何事も3人の同意の元で決定されるのでミーティングを重ねることが多々ありましたね。サロンは約7年たずさわりましたが、1年前に意思を告げて自分のサロンを出店する決意をしました。
再現性とダメージレスにこだわったサロンを出店
今年の7月、原宿のキャットストリートにviccaをオープンしました。出店の際に一番苦労したのは資金面です。ある程度の自己資金はありましたが、やはり融資を受けるまでが大変でした。店内のイメージはキャッスル(お城)をテーマにしています。街を歩いておしゃれなショップや店舗があれば、写真を撮って内装作りの参考にしました。せっかく創る自分のお店なので、納得がいくまで何度もデザイナーさんと打合せを重ね、このお店をつくりました。集客面やお客さまの層に関しては、20~30代の働く女性をターゲットにしています。そこで、テクニック的にこだわっているのが再現性です。サロンで時間をかけてブローしたスタイルでは意味がなく、お客さまがご自分でライフスタイルにマッチしたヘアにできるように施術しています。それと、ダメージレス。この2つには徹底して配慮しています。また、再現性のあるカットやパーマだけでなく、カラーやトリートメントでツヤ感のあるスタイルも提案しています。働く女性が光り輝くようなヘアになり、また美しいヘアで内面的にも輝いてほしいという願いを込めています。
アシスタントが活躍できるステージを作ることが急務
サロンをオープンしてまだ2ヶ月ですが、メニューに関しては充実を図っています。それは、主力のカット、パーマ、カラーに続く4番目のメニューとしてヘッドスパに力を注いでいることです。このメニューではフルフラットになるシャンプーベッドのYUMEを導入し、照明も薄暗くしてリラクゼーションを演出しています。明るいセットブースとは対照的に、落ちついたシャンプーブースで眠っていただけるような心地よさをご提供しています。ただ、オープンしてまだ数ヶ月なので、頑張ろうという気持ちと不安が半分ずつですね。不安というのは、4人のアシスタントたちが成長した時に活躍できる場についてです。現在、私を入れてスタイリストが3人に対してセット面が8面です。今でもご予約や接客でフル稼動の状態なので、彼らがスタイリストになってから活躍できるステージを作ることがこれからの私の使命だと感じています。
教育で大切なのは指導する側が本気で教えること
サロン作りにおいて、私は人材育成が大切だと考えています。スタッフを指導する際には、指導する側が本気で教えること、これをモットーにしています。こちらが本気にならないと相手にも伝わらないので、褒める時も怒る時も本気です。また、スタッフの意見をどんどん取入れながら環境作りに励んでいます。接客でお客さまが言ったことや他のサロンで実践していることなど、スタッフの提案を取り入れています。最初から無理だと却下せずに、やってみてだめな時は別の方法を考えています。それが円滑なサロンワークになり、お客さまに対する心のこもったサービスにつながると思います。今でも、10年来のお付き合いをしていただいているお客さまが大勢いますが、技術はもちろんのことサービス面やお店の雰囲気を気に入っていただいているので、これからも居心地のいいサロンにしていきたいですね。そのためにも、人を育てることを大事にしていきますが、実は私自身が彼らに助けてもらっていることが多いんですよ(笑)。
自分を含めスタッフのその後を考える必要がある
私は将来的に、サロンをファミリー化していきたいという考えがあります。今までの理美容業界で欠けていたのは組織化だと思うんです。例えば、若い人が参入してきて一人前になると独立する人がいます。残った人は年を重ね、お客さまも減っていくという悪循環です。その繰り返しではなかったでしょうか。それでは社会的な地位も上がらないし、理美容師になりたいという人も減ってくるでしょう。そうならないために、サロンを企業化し、年を重ねてハサミを置いた人でも経営面で活躍できる環境にしたいという希望があります。私を含め、スタッフのその後を考える必要があると思います。そのためのマネージメントをこれから勉強したいです。最後に、この世界で頑張っている若い人たちに対して、自分の信念を継続して頑張ってほしいと思います。最初から楽しくてお給料のいい仕事なんてないです。それを楽しくなるまで続けることが大事です。そのために技術をマスターすること。一度、頑張ろうと決めたことを続けていってほしいですね。
中澤好夫(ナカザワヨシオ)
vicca代表。栃木県出身。東京ヘアビューティ専門学校卒業。1992年に上京。都内数店舗を経て、2002年に某サロンの取締役としてオープニングに参加。2010年7月に完全独立してviccaを原宿にオープン。毛髪構造を熟知し、ダメージレスなカラーデザインやパーマデザインを提供する。再現性を重視し常に新しいヴァージンなヘアデザインを提案している。また、フォトグラファーとしても活躍中。
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