ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2010.4.1
この記事は
参考になる!
この記事を
あとで読む!
あなたの興味のある「#タグ」や「カテゴリ」「シリーズ」などを「気になる!」登録すると、関連するコンテンツがMy:TB-PLUSに自動で表示されるようになり、最新のコンテンツを見落とす心配や、コンテンツを探す必要がなくなりとっても便利です。
海外留学から帰国後に腎臓の悪化で即入院
私は美容の家庭で育ち、両親は美容師としてサロンを経営しています。実はもう4代目にもなる、昔からの美容家系なんです。今はネイリストをしていますが、私も最初は美容師を目指して高校時代に美容学校の通信科で学びました。さらに、人間としての幅を広げるため山野美容芸術短期大学へ進学。卒業してからは、ヴィダルサスーンのアカデミーに入学するためロンドンへ留学しました。そして、帰国してサロンに入社するという時に、中学生の頃から患っていた腎臓が悪化し、即入院することになったんです。どうやら海外での慣れない生活が悪化した原因のようでした。そして、主治医の先生から「立ち仕事では体調が悪くなる可能性があるので美容師になるのは難しい。他の仕事を考えた方がいいのでは。」とドクターストップがかかりました。今まで美容の環境で育ち美容師を目指していたので、他の職業なんて全く考えた事がありませんでした。色々と悩みましたが、前向きに考えようと、同じ美容業で別の職種を探し始めました。自分のやりたい事とできる事を慎重に検討していき、その結果、ネイリストを目指すことを決意しました。
自分の仕事を形に残せるネイリストの世界へ
他にもメイクやエステティシャンなども検討しましたが、いずれもハードな立ち仕事で体力的に自信が持てなかったんです。でも、ネイリストは座りながら仕事ができるし、お客さまと会話もできます。それと、自分がやった仕事が形に残ることが希望だったのでネイルの道を歩もうと決めました。10年前の当時はまだネイルは盛んではなかったのですが、将来性を考えると今がいいタイミングだとも感じていました。さらに、体調が完全によくなったらまた美容師になることもあきらめていなかったので、ネイルができる美容師も悪くはないなと考えていました。その後、タカラ・インターナショナルネイルカレッジに入学したんですが、授業を受けていくうちに初めて『これだ!』って思ったんです!美容師は家業を継ぐという決められたレールの上を走ることに関して、できて当然という周囲からのプレッシャーやこのままでいいのかという不安も感じていました。ところが、ネイルを学んでいくうちに大きな衝撃が走り、これが私の天職だと思えるほど興味がわいてきたんです。
ネイルカレッジで講師をしながら実践も経験
最初は、美容師を兼任しながらできるのではと甘い考えでスタートしたんですが、実際にやると奥が深くてすごくやりがいのある仕事だと感じました。ネイルを学べば学ぶほど、美容師との両立は無理だと思い、その時点でネイリストとしてやっていくことに決めました。その後、卒業してからタカラ・インターナショナルネイルカレッジで講師を務めることになり、さらに実践を経験するためにカキモト・アームズでネイリストとして入社しました。カキモトでの2年間は、今の私の軸になるほど多くを学びました。当時としては、サロンネイルを導入した先駆け的なサロンです。ただ、カキモトではコンセプトが確立していて派手なネイルアートや長さを出すアクリリックネイルはやらないとのことでした。私はいろんな技術を学びたかったのですが、「長いネイルや華やかなネイルアートは一般的ではなく、ごく一部の人しかやっていないでしょ。それなのに、サロンではそんなデザインばかりアピールしている。だからネイルが流行らないんですよ。」と言われてハッと気がついたんです。
美容室でのネイルの取り組み方を学んだ
当時のカキモト・アームズは、もっと多くの女性がネイルに興味を持ってもらい、一般的にネイルが浸透するために底辺の拡大を考えていました。だから、華やかなネイルアートなどではなく、身近に感じてもらうためのネイルに力を注いでいたんです。普通のOLさんは長いツメや派手なネイルはできないですからね。その考えに、目からウロコが落ちる思いでした。まず、ネイルケアから始まってツメを美しくお手入れする。そして、ヘアスタイルと同様にナチュラルなデザインでヘアとコラボレートする。そんなネイルの提案ができれば、美容室でネイルの需要も増えてきます。そんな発想が、ネイリストとして私の軸になりました。当時のカキモトでは、大人の女性・働く女性をメインターゲットに様々な提案を行っていましたから、ヘアもネイルもナチュラルなデザインがコンセプトだったんです。そんなカキモトでの2年間ではたくさんのお客さまを担当し、仕事も早くなりました。また、美容室でのネイルの取り組み方なども学び、多くのことを勉強させていただきましたね。
ネイルカレッジは大きなパワーをもらえる場所
サロンワークと平行して、現在もタカラ・インターナショナルネイルカレッジで外部講師を務めています。学校では、これからネイリストになろうと頑張っている人たちを指導しているのですから、私のひと言が生徒たちの将来を左右するので言動には気を使っています。また、自分が理解できていると、当然のように専門用語などを使いがちですが、生徒たちにとっては当たり前ではなく、理解されないことが多々あります。そんな言葉使いにも気を配っています。ネイルカレッジの生徒さんは、若い人から60歳くらいの人まで幅広い年齢層で、中には男性もいます。みんな目的意識をはっきり持っているので、授業中も目が輝いています。時には、私が今まで気づかなかったことや些細なことに疑問を投げかけてくるので、逆に私の方が勉強をさせられることもあります。また、他の講師の先生方と交流ができたり、新しい技術やいろんな情報が入手できるので、私にとって違う世界観が広がる場所でもあります。周りから大きなパワーももらえますから、大いに刺激をうけています。
終わりがなく常に勉強を続けなければいけない
ネイリストになってよかったと思う事は、ネイルをすることでお客さまの本当に喜んだ笑顔が見れること。1ヶ月に1度、ネイルをするのが楽しみという人や、私に会えるのが楽しみという人もいます。また、うつ病を患っている人がネイルを治療の1つに取入れたことで元気になられたり、ご主人を亡くされて悲しんでいた人がネイルに出会って明るくなったなどいろんなケースがあります。そんな方々を美しくすることで元気を与えるお手伝いをしているので、お客さまに喜んでいただくことがネイリストとしての大きな喜びですね。逆に大変なのは、この仕事には終わりがなく常に勉強を続けなければいけないということ。サロンに出ると、技術はできて当たり前です。それ以外に人間としての幅を広げることも必要です。これは美容師も同じですが、大変だと思えばつらいし楽しいと思えばいろんなことを吸収できると思います。でも、一番大変なのはサロンでネイルを導入する際にお客さまに認知していただき軌道に乗せることかもしれませんね。
サロンでネイルが軌道に乗るまで5年を要した
カキモト・アームズ退職後は、ネイルカレッジの講師を務めながら実家の美容室でネイリストとして勤務することになりました。そこで苦労したのはやはり集客面です。当初は今のようにインターネットも普及しておらず、大量のDMやフライヤーを配布しても1人来るか来ないかでした。最終的にはヘアで来店されたお客さまにお声をかけ、興味を持ってもらうことから始めていきました。ポスティングやキャンペーンなど出来る事は全てやり尽くしました。そこで感じたことは、1人のお客さまを大切にするということです。その方がお友だちを紹介していただき、増減を繰り返しながら徐々に増えていきました。決して急に増えることはありません。タイミングよくジェルネイルが流行った事も、集客面では大きなプラス要因でしたね。エナメルとは違って、ジェルネイルは家ではオフできないので、約1ヶ月に1回はサロンでのお手入れが必要になってきますから。しかし、サロンでネイルが軌道に乗るまで、5年はかかりました。流行っているからと安易に導入するのではなく、やる限りは本腰を入れて努力しないと成功は難しいと実感しました。
コンテストでステージ映えするモデルの条件
今までサロンワークや講師以外にさまざまなネイルコンテストにも出場し、全日本美容技術選手権大会では第1回目のネイル部門で優勝をすることができました。今では講師として、出場する選手に指導もしているんですが、コンテストに関していえばやはりモデル選びが重要です。例えば、白魚のような指でツメも細くて長い手タレのようなモデルを連れてくる人が多いんですが、意外とステージに上がると映えなくてインパクトを与えることができないんです。一般的には美しい手ですが、コンテストは別物。だから、背が高くて手が大きいモデルが有利だと思いますね。中にはモデルのヘアやメイクやコスチュームをバッチリ決めてくる人もいますが、ケアカラーのコンテストでは「手」以外は一切関係ありません(笑)。背が高い人は手も大きいし、あとはツメが大きくて粒が揃っている人は見栄えがします。だから、コンテストに出る人にはそんなモデルさんを連れてくるように言います(笑)。そこから、技術的なことをアドバイスしています。
コンテストのハンドモデルが憧れてネイリストに
現在、サロンには2人のスタッフがいて、彼女たちを立派なネイリストに育てるのが今後の希望です。彼女たちも美容師の免許を持っていますが、兼任ではなくネイル一筋で頑張っています。そのうちの1人は私のハンドモデルをしてくれた人。嬉しいことに、彼女は私の姿を見てネイリストに憧れてくれました。そんなスタッフを指導したり講師をしている関係上、これからも指導者として活動を続けたいです。私はヘアとネイルを一緒にできるサロンネイルがベストだと思っているので、気軽にネイルができる環境と人作りをしていきたいです。年配の人もネイルに関心があるんですが、ネイル専門店に行くには抵抗があるようです。だから、気軽にネイルを楽しんだり、ネイリストを目指す人をバックアップするなどいろんなことにトライしたいですね。最後に、ネイル業界で頑張っている人たちに一言。この仕事を好きだという気持ちを忘れないでください。それが大きな原動力になります。さらに、ネイルには終わりがないので、常に努力を続けてください。ネイルは素晴らしい仕事なので、初心を忘れずに本当のプロを目指して頑張ってほしいです。
下井美菜子(シモイミナコ)
Aim PLUS-ONE、トップネイリスト。東京都出身。住田美容専門学校(通信科)、山野美容芸術短期大学、タカラ・インターナショナルネイルカレッジ卒業。カキモト・アームズにネイリストとして入社。働きながらタカラ・インターナショナルネイルカレッジのインストラクター研修を受ける。その後、インストラクターをしながら、両親が経営するAim PLUS-ONEにネイリストとして入社。2000年度全日本美容技術選手権大会・ネイル部門で優勝。2001年2月より同サロンにネイルを導入。 2008年10月にサロン全体を改装。現在、トップネイリストとして従事しながらタカラ・インターナショナルネイルカレッジの外部講師を務め、バイオスカルプチュアジェルエデュケーター、カルジェルエデュケーター、アクセンツエデュケーターとして活躍中。『美しく健康な指先』をコンセプトにし、サロンでは頭の先から指先までのトータルケアをプロデュースしている。
シリーズ:この人から学ぶ、成功の秘訣「TBMG」
-
木村 和彦さん(株式会社 友美) | この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG
この記事は
参考になる!この記事を
あとで読む! -
本田 真一さん (HONDA AVEDA hair&spa) | この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG
この記事は
参考になる!この記事を
あとで読む! -
矢崎 由二さん (LIPPS Hair) | この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG
この記事は
参考になる!この記事を
あとで読む! -
古城 隆さん (DADA CuBiC) | この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG
この記事は
参考になる!この記事を
あとで読む! -
みやち のりよしさん(SHACHU) | この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG
この記事は
参考になる!この記事を
あとで読む! -
原田 忠さん (資生堂) | この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG
この記事は
参考になる!この記事を
あとで読む!
TB-PLUSは、タカラベルモント株式会社が運営している<サロンとあなたの“明日”に役立つ情報サイト>。
クリエイティビティを刺激するトレンド情報からサロン経営のヒントまで、成長と意欲につながるトピックやノウハウをお届けし、あなたのサロン人生を応援していきます。
\友だち追加 お願いします♪/
LINE公式アカウント タカラベルモント for salonで、最新情報を発信中!
この記事は参考に
なりましたか?
この記事は
参考になる!
この記事を
あとで読む!
あなたの興味のある「#タグ」や「カテゴリ」「シリーズ」などを「気になる!」登録すると、関連するコンテンツがMy:TB-PLUSに自動で表示されるようになり、最新のコンテンツを見落とす心配や、コンテンツを探す必要がなくなりとっても便利です。