高橋和義さん(ZACC)

高橋和義さん(ZACC)| この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG

ライター 前田正明 | カメラ 好川桃子 | 配信日 2008.12.4

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サロンに入社してから洗濯や掃除などギャップを感じた

最初は、美容関係の仕事にあまり興味がなかったんです。ところが大学時代、たまたま出会ったメイクさんと話す機会があり、こんな職業があるんだと知ったのがきっかけです。その当時、なりたい職業がなくて大学に残る意味もなかったので、将来はヘアメイクを目指そうと思い大学を中退して美容の世界に進みました。その頃、家族で通っていた吉祥寺の美容室に、ヘアメイクになりたいと相談を持ちかけました。そうすると、『いきなりヘアメイクのアシスタントからスタートするよりは、きちんと基礎を学ぶ意味で美容学校に入学して美容師から始めてみては?』とアドバイスされました。そして、その美容室に入社して、美容学校には通信課程で学ぶことにしました。入社してからも、雑誌の表紙を飾ったりショーでヘアメイクすることを夢見ていましたから、タオルを洗濯したり掃除や雑用をすることにギャップを感じていました。それまで、家の掃除や洗濯などしたことがなかったですから(笑)。

高橋和義さん(ZACC)

もう後戻りはできないと3年目に本腰を入れデビューする

3ヶ月くらい教わればすぐにカットできるだろうという甘い考えでいましたが、現実は厳しかったですね。ただ、自分の目標はヘアメイクなので、カットができなくてもセットをマスターすればいいくらいに考えていました。そして、2年目はそれまで趣味だったサーフィンをやったりして、本腰を入れ始めたのは3年目からです。当時、千歳船橋にあった支店に異動があり、友だちと湘南まで早朝サーフィンに行き、その後に急いで出勤することもありました。砂まみれの頭のまま仕事に行っていたので、『自分の頭をシャンプーしたい!』なんて考えながらお客さまをシャンプーしていた思い出があります(笑)。でも、ここまで進んできてもう後戻りはできないと思い、頑張って3年半後にスタイリストデビューしました。さらに、それから半年後には役職をもらい、徐々に責任感が強くなってきたのがこの頃です。

ZACC mignon

自分で売り込み念願かなってタレントのヘアメイクを担当

その後、千歳船橋の支店から吉祥寺の本店に戻りましたが、同期のスタッフはほとんど退職して10人いたスタッフも半分に減っていました。サロンの業績も下降していたので、それを立て直すために暇な時間にポスティングをしたり、スタッフを強化するなどサロンの立ち上げと同じような努力をしましたね。その結果、 1年半で売上げが上がりスタッフも増えました。そして、サロンの業績アップに合わせて会社が新しいサロンを出店したんです。そのお店を1年で軌道に乗せて、その後に独立しました。結局、その美容室には5年半お世話になりましたが、独立を決意したのはやはりヘアメイクの仕事をしたかったからです。実は当時から自分でアプローチをして、無料でもいいからとタレントさんのヘアメイクの仕事をしていたんです。その頃は、サザンオールスターズや三田寛子さん、そして伊藤さやかさんのライブなどでヘアメイクを担当していました。でも、自分の都合でサロンワークを休みながら外仕事をすることに、限界を感じるようになってきたんです。

高橋和義さん(ZACC)

お客さまを取るかヘアメイクの仕事を優先するか葛藤

通常の美容室の場合、忙しい土曜日や日曜日に休みを取ってヘアメイクの仕事に行くことは歓迎されませんよね。だから、夏休みなどの長期休暇をすべて返上して外の仕事にあてていたんですが、それでも限界を感じ、独立を決意しました。というより、サロンワークとヘアメイクの仕事を両立させるには、独立する以外に選択肢がなかったんです。当然、独立はスムーズに行かなかったので、お客さまを取るか自分がやりたいヘアメイクの仕事を優先するのかという葛藤はありました。わずか5年半で独立できるのも、お客さまが支えてくださったからです。その信頼関係は、美容師にとって最も大切なこと。独立を考え始めたことがきっかけで、美容師としての使命感や価値観の大きさに気づき始め、お客さまを大切にしたいという気持ちが強くなってきたんです。そういう意味で、美容師と当初の夢だったヘアメイクの仕事を兼ねるために、独立以外に道はありませんでした。

ZACC copain

美容師を反対していた父のひと言で独立を決断する

独立するにあたって、一番苦労したのはやはり資金面と物件探しでした。実は、最初から美容師になることに、父親は反対していました。それは、男がやる仕事ではないという理由からです。しかし、数年後に定年退職を控えていた父が、『保証人として力になれるのは今しかないから』と、独立を応援してくれることになったんです。本気でこの仕事を続けていくなら、自分の城を持った方がいいと。その言葉がきっかけで、出店をしようと決意しました。当時、私は27才くらいで、保証人がついても3000万円くらいしか借りることができなかったんです。でも、当時の自分にとって3000万円は莫大なお金でした。この3000万円で失敗したら、生きてはいられないとまで思っていましたから(笑)。物件探しは、芸能関係のヘアメイクの仕事を考えて、渋谷や恵比寿界隈にターゲットを絞っていました。青山や原宿界隈は高価なので、とても手が出なかったですから。でも、半年くらい探してもいい物件が見つからず、ある人のアドバイスで占い師にでも観てもらったらと言われたんです。

高橋和義さん(ZACC)

自分と同じ不安感を与えないため新人は一から指導

その人の紹介で、よく当たると評判の占い師に観てもらった結果、私よりも運気のいい父に交渉してもらった方がスムーズに決まると言われたんです。そして、その日の帰りに荻窪駅前にテナント募集のビルを偶然見つけて、翌日父に電話をしてもらったところ予算内で話がまとまりました。そこが、ZACCの1号店でした。ただ、オープンしてから軌道に乗せるまで、業界誌の誌上コンテストに応募したり、カットコンテストにも参加し、我武者羅に頑張りましたよ。その後、オリジナルの技術やパーマのテクニック、トリートメントなどで知名度が上がっていきました。美容師としてきちんと技術を指導してもらったわけでもなく、ヘアメイクも独学。独立当初はそんな不安があったので、スタッフ教育には力を入れようと考えていました。最初に勤めていたサロンで新人として一から教えていたスタッフが1人だけ付いて来てくれて、最初は彼を含めて5人でスタートしました。

ZACC 1号店(荻窪店)

サロンのブランドの上に成り立つ個人のオリジナリティー

ZACCをオープンした当初から大切にしていることは、『オリジナリティー』です。例えば、サロンのコンセプトとして最低限のルールを守って仕事をするのは基本ですが、その上で自分なりの個性を発揮して接客してほしいというのが私の希望なんです。お客さまがサロンにつくことは重要ですが、最終的に個人につくものだというのが私の考えです。ブランド力を考えた場合、誰が担当しても同じ技術ができるということは大切です。しかし、お客さまからこの美容師にやってほしいと言っていただけるような仕事をしなさいと、常に言っています。それが、オリジナリティーです。そもそも、サロンのコンセプトも『オリジナリティー』をモットーにしているので、セット椅子やハサミなどの設備や道具を特注にしたり、使用する薬剤を開発するなど、他店にはない独自のアイテムを揃えています。その上で、技術面でもオリジナルなシステムを考案しているので、スタッフにも真剣に考えながら仕事に取り組んでほしいんです。それが、美容師としての強みになると考えています。

ZACC prime

パーマのケミカルな知識を高めるため内容成分を学ぶ

集客に関して努力したことは、口コミによる宣伝効果を高めることでした。最初はポスティングをしたりして一から集客を図りましたが、決して宣伝効果は高くないんですよね。そこで、口コミを広げるためには何が必要かを考えました。独立する人は、みんな自信を持って出店するわけです。そこで、お客さまに認めてもらうには、まずカットができて当たり前。そのカットプラスアルファの部分で、パーマにするかカラーにするかで悩み、最終的にパーマで戦略を立てることにしました。最初は、ディーラーさんに頼んで特長の異なるパーマ液を集めてもらい、それを分析するところから始めました。ところが、自分で想像していた以上に種類が多くて驚いた記憶があります。そこで、すべての薬剤を使うよりは、内容表示を見て判断した方が早いと思い、図書館に行ってケミカルの勉強をしました。それくらい努力して集客をしないと、借金の返済ができないしサロンの経営も危ぶまれていましたから。その結果、なんとか軌道に乗せることができました。今でこそ業界誌にも当たり前のようにパーマのケミカルな内容が掲載されていますが、当時はどの雑誌を読んでも載っていませんでした。私が業界誌に連載をするようになり、色々な雑誌で取り上げられるようになったんです。当時はそんな事を熱心に勉強しようとする美容師なんていませんでしたから(笑)。

高橋和義さん(ZACC)

努力の積み重ねによって毎日答えが出るのが美容師

現在、銀座に支店をオープンして合計で6店舗を展開しています。それぞれの支店でイメージを変えていますが、これから不況が続くとサロンも2極化が進み、中間層のサロンが苦戦すると思います。スタッフには高い技術やオリジナリティーを維持していれば、いいお客さまから末永く支持していただけるので、そのためのモチベーションを高めるようにと言っています。今日も、カナダのバンクーバーから3ヶ月に1度、ZACCに来店するためだけに来日されるお客さまが来てくださる予定です。そんな方々に支持していただける価値観を、これからも高めていきたいですね。今後はトータル美容として、エステティック分野にも力を注いで行く予定です。それは、美容室とは独立した形で独自のお客さまにサービスを提供していきたいからです。最後に、これから美容師を目指す若い人に対して、この職業は幅が広く魅力的な仕事なので、頑張って努力してほしいと思います。そのために大切なことは『持久力』。この仕事は、技術やサービスあるいはケミカルな知識など、こだわった分だけ結果もさまざまです。だから、積み重ねた分だけきちんと結果が出るし、その答えが毎日出る職業なので、あきらめずに頑張ってほしいです。

ZACC Eight Million
高橋和義さん(ZACC)

高橋和義(タカハシカズヨシ)

株式会社ZACC、C.E.O。東京都出身。山野美容専門学校卒業。都内で1店舗を経て独立、ZACCをオープン。現在、青山3店舗、原宿、代官山、銀座にそれぞれ個性を生かした6店舗を展開。各コンセプトのもと幅広いゲストに対応し、サロンワークでは多くのゲストを迎える中でタレントや著名人も多数来店。サロンワーク以外にも、CM・写真集等のヘアメイクを担当し、セミナーやショーも日本を含めパリ・中国・台湾などで行うなど海外にも活躍の場を広げている。また、業界誌にカット・カラー・パーマ・美容コラム等の連載を担当。オリジナル商品の開発やZACCのメイク本も発売中。

※2008年12月4日現在

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