武田 敦さん(BLESS)

武田 敦さん(BLESS)| この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG

ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2008.9.4

この記事は
参考になる!

この記事を
あとで読む!

My:PLUS
このページに設定されている「カテゴリ」「#タグ」です。チェック(プラスマークをクリック(タップ))をするとMy:TB-PLUSで最新の情報を受けとることができます。

あなたの興味のある「#タグ」や「カテゴリ」「シリーズ」などを「気になる!」登録すると、関連するコンテンツがMy:TB-PLUSに自動で表示されるようになり、最新のコンテンツを見落とす心配や、コンテンツを探す必要がなくなりとっても便利です。

開く

最初の授業で巻けたロッドはわずかに3本

私は一般家庭で育ったんですが、高校生の頃から美容室でアルバイトをするなど、美容の世界にはすごく興味をもっていました。美容師になろうと思った最大のきっかけは、それまで自分のヘアスタイルを気に入ったことが一度もなかったから。サロンに行くといつもカチッとしたスタイルにされたので、帰り道の途中で崩して自分でスタイリングをしなおしていました。だから、自分でヘアを手がけたいなと思い美容師になりました。東京の学校を選んだ理由は、やはりファッションの中心的な場所だからです。専門学校時代の思い出は、最初のワインディングの授業で3本しかロッドを巻けなかったことですね(笑)。自分は手先が器用な方だと思っていたんですが、このままだと美容師になるのは無理かなと思いました。でも、授業は楽しかったし、自分の中で将来に対する夢がどんどんふくらんでいきましたね。

高校時代

理想の環境を求めて短期間で数店舗を経る

就職は、美容学校から紹介してもらったサロンが自分には合わない気がして、自分で女性雑誌を見て5件のサロンに面接を受けに行きました。結果はなんとすべて合格。しかし、最初に勤めたサロンは、わずか1ヶ月で辞めてしまいました。理由は、教育担当の先輩技術者にカットをしてもらったんですが、そのスタイルが求めていたスタイルではなくて(笑)。やはり、職場環境が大切だとその時に考え決断しました。そして、次のサロンは美容業界誌に目を向けて、そこに紹介されていた原宿界隈のサロンに勤めました。ただその頃は、少し天狗になっていたのか、面接を受ければ合格していたので、いやだったら辞めてまた次を探せばいいと思っていたんですね。だから、2軒目のサロンは4日で辞めてしまいました・・・。さらに、 3軒目のサロンは2ヶ月間しか勤めませんでした。いずれも、自分が理想としていたサロンじゃなかったからです。

武田 敦さん(BLESS)

MINXに入るため今までの遅れを短期間で修得

その次に受けたのがMINXだったんです。実はそこで、初めて不合格になったんですよ。その時は高橋マサトモさんが面接をしてくれたんですが、『今はインターン生がいっぱいなので、秋に募集するからその時にまた受けてください』って言われたんです。私はすごく印象が良かったので、ここで働きたいなという希望が強く生まれました。その頃、妙に自信を持っていた私は、秋に面接を受ければ合格すると思っていたので、それまでの期間にできることをしておこうと思い、渋谷にあるサロンに入社しました。そのサロンで、シャンプーとワインディングに合格して、MINXに入るまでの準備をしようと考えていました。それまで技術的なことが身についていなかったので、約半年間の遅れを取り戻そうと必死でした。だから、もしMINXでだめだったらもう美容師は辞めようとまで考えていました。それで、秋に再び MINXに面接を受けにいったんですが、春に一度受けていたのでもう履歴書はいいと思い持参せずに行ったんです。

武田 敦さん(BLESS)

サロンのコンセプトとは異なるデザインを発表したが…

ところが、もちろん忘れられていました・・。でも、そんな私でも合格し、無事入社することができました。当時のMINXはまだ2店舗で、スタッフ数も30名くらいでした。MINXにはトータルで15年くらい勤めましたが、実は4年目に一度退職しているんです。私は入社して1年半でスタイリストになり、3年目でヘアショーのステージにメインメンバーとして立たせていただきました。ちょうど、22才の頃です。その当時のMINXといえば、ショーや雑誌において過激的で斬新なデザインを創作することがウリでした。でも、そのテイストに少し疑問を持ち始めていたんです。そして、業界誌の撮影の時に少しナチュラルなスタイルを作ったところ、社内で怒られましてね。テイストが違うと…。

ヘアショー

理想を求め共同経営で独立するも志半ばで挫折

今思えば、ナチュラルが悪いのではなく、単純に作品のクオリティが低かったんでしょうね。先輩たちは、ナチュラルでもいいものを見極める目を持つ人たちだったし、私の準備が足りなかっただけのこと。ただその時は、それに気づかなくて自分の求めているテイストにこだわったんです。そこで決心して、自分でお店を持とうと思い独立しました。それが23才の時です。ただ、金銭的な問題があったので、友だちと共同経営という形で出店しました。自分の求めているスタイルが提案できて、じっくりとサロンワークのできる環境を整えたつもりでした。ところが、その友だちとすぐにケンカをしてしまったんです。さらに、周りの人が色々とアドバイスをしてくれたのですが、自分の中で雑音となってしまい、逆に仕事に集中できなくなってしまい・・。それで、私が出ていくことになり2ヶ月で辞めてしまいました。

武田 敦さん(BLESS)

一からスタートをするつもりで頑張れと再度MINXへ

それから、MINXの高橋マサトモさんに相談したんですが、『まだ2ヶ月で、スタッフの中には辞めたことに気づいてない人もいるから帰ってきたら?』って言われたんです(笑)。でも、私にもプライドがあるので、しばらくは友人が経営しているサロンにブース借りをして、自分のお客さまを担当していました。そこでは半年くらいお世話になり、その間にも高橋さんには相談をしたりしていました。その当時、自分の進むべき道に迷いが生じていたんです。そこで、高橋さんが『一からスタートをするつもりで頑張るなら、MINXとしてはスタイリストとして採用するから戻ってこい』と言ってくれたんです。それが嬉しくて、最低10年は頑張って恩返ししようと思いました。高橋さんから学んだことは、人に対する思いやり。高橋さんは人に対する思いが人一倍強い方です。それはお客さまだけでなく、スタッフや家族やあらゆる人に対してです。MINXは、創造するスタイルやテイストは徐々に変化していましたが、そのポリシーだけはまったく変わらなかったですね。だから、辞めたOBに対しても、いつも気遣ってくれていますね。

MINX時代

高いモチベーションを維持しながら仕事をしたい

MINX では、その後の10年間で店長を務めさせていただき、積極的にサロンワークや後輩の指導などに励みました。そうするうちにスタッフが多くなり、支店も増えて大きな組織になっていきました。そこで、生産性を上げたり仕事を効率化するといった変化の中で、スタッフ間のモチベーションに温度差が現れてきたように感じたんです。その時に思い出したのが、『アリンコの法則』や『2・6・2の法則』という言葉でした。これは、組織が大きくなると、モチベーションの高い2割と普通の6割、そしてモチベーションの低い2割の人たちに分類されるという論理なんですね。例えば、モチベーションの低い2割の人たちをカットしても、残りの人数から『2・6・2』が生まれるらしいです。それは10人以上で当てはまるそうで、蟻の社会でも働かないアリンコが2割いると言われています。それぞれの層の意識を少しずつ上げて、全体のレベルアップをしていくべきだったのですが、教育する立場でありながら、当時の私はモチベーションの低い人たちと仕事をするのが嫌になってしまったんです。

MINX時代

退職時には案内状の送付や問合せにも応じてくれた

入社当初のMINXはみんなモチベーションが高く、そんなサロンが理想的だなと思い、その頃に独立を考え始めました。高橋さんには本当に恩義を感じていますから、裏切るような辞め方はしないようにいろいろと相談をしましたね。一番キャリアがあったので、各店長を育てることが義務でしたから、1年間でそれを果たして退職しました。出店に関してのこだわりは、ゆとりをもって仕事ができることが第一条件。だから、表通りではなく静かな場所を選びました。それと、今までお世話になったお客さまが来やすい場所ですね。お客さまにリラックスしていただくために、我々がリラックスできるサロンを目指しました。実は、MINXを退職後にお得意さまから私に関する問合せがあった時に、MINXがお客様に連絡先を教えてくれていたんです。しかも、ありがたいことに退社の際には案内状まで出していただきました。ですから、 BLESSオープン当初は、お客さまでいっぱいでしたね。

BLESS

お客さまのことを考えゆとりを持った仕事がしたい

MINXにいた頃は一日に最高で28人のお客さまを接客していて、もう少し余裕がほしいと思って独立したんですが、初めの頃はMINXにいた時より忙しかったです。最初の2ヶ月間は、スタッフ5人で1ヶ月の売上げが600万円を超えていましたから。だから、スタッフが徐々にやつれていたのを覚えています(笑)。しかし、これではいけないと思い、最初の考え通りにゆとりを持って仕事ができるように予約を調整しました。オープンして3年になりますが、今ではスタッフをいかにして育てるかが今後の課題ですね。MINX時代にたくさんの人を指導してきましたが、今になっても教育の難しさを痛感しています。ただ、スタッフに対して、自分は何をされると嬉しいか、何をされたらいやなのかを考えながら接客するように指導しています。それは、美容師である前に人としてどうあるべきかということです。それと、スタッフみんながうるおえるような環境にしなくてはいけないと思っています。最後に、これから美容師を目指す若い人には、どんな職種であれ『仕事』をどのように捉えるかを真剣に考えていただきたいですね。お客さまから料金をいただいて、『ありがとうございました』と言ってもらえる仕事はそう多くはありません。我々の仕事は、自分で楽しさを味わいながら、お客さまからお金をいただき、さらに感謝までされます。こんなにいい職業は他にはないです。難しいこともたくさんありますが、強い気持ちだけはしっかり持ってほしいですね。そうすれば、必ず光が見えてくると思いますから。

武田 敦さん(BLESS)
武田 敦さん(BLESS)

武田 敦(タケダアツシ)

千葉県出身。山野美容専門学校卒業。卒業後に数店舗を経て、1989年にMINXに入社、広尾店勤務。1995年に下北沢NEXT店に移動。2000年より下北沢店店長に就任。2002年に下北沢E店オープンに伴い2店舗の統括店長に就任。2005年に退社。2005年に有限会社STADS設立。新海義仁氏とともに取締役に就任。2005年にHair Salon BLESSを、渋谷区神宮前にオープン。サロンワークを中心に、美容専門誌や一般誌のヘアメイク、全国各都市での美容師向けのカット講習の講師、メーカーとの商品開発等、さまざまな分野で活動を続けている。

※2008年9月4日現在

シリーズ:この人から学ぶ、成功の秘訣「TBMG」

TB-PLUSは、タカラベルモント株式会社が運営している<サロンとあなたの“明日”に役立つ情報サイト>。

クリエイティビティを刺激するトレンド情報からサロン経営のヒントまで、成長と意欲につながるトピックやノウハウをお届けし、あなたのサロン人生を応援していきます。


\友だち追加 お願いします♪/

LINE公式アカウント タカラベルモント for salonで、最新情報を発信中!

この記事は参考に
なりましたか?

この記事は
参考になる!

この記事を
あとで読む!

My:PLUS
このページに設定されている「カテゴリ」「#タグ」です。チェック(プラスマークをクリック(タップ))をするとMy:TB-PLUSで最新の情報を受けとることができます。

あなたの興味のある「#タグ」や「カテゴリ」「シリーズ」などを「気になる!」登録すると、関連するコンテンツがMy:TB-PLUSに自動で表示されるようになり、最新のコンテンツを見落とす心配や、コンテンツを探す必要がなくなりとっても便利です。

開く
ひとことポスト
サンキュー!
ひとことポスト

日常で感じている、あれこれや、TB-PLUSへの要望、励まし、不満・・・などなど、どんなことでもお気軽に「ひとことポスト」におよせください!

  • ※匿名での投函です。(個別の回答はできません。)
  • ※集まった「ひとこと」は、TB-PLUSで公開、コンテンツ制作の参考にさせていただくことがあります。
週間景気予報

今週の来店客数をチェック!

My:TB-PLUSにログインをすると
参考になる!登録した記事が
My:TB-PLUSに保存されて
また読みたい!と思った時などに便利です♪
ログインをしないまま「参考になる!」をする方は
以下のボタンをクリック
※ログインをしないまま「参考になる!」をクリックした場合、 ブラウザのcookie情報がクリアされるまでは内容は保存されます。
My:TB-PLUSにログインしていただくには、
TAKARA BELMONT 共通IDへの新規登録(無料)が必要です。
My:TB-PLUSにログインをして
参考になる! あとで読む 気になる!

を活用しよう!

My:TB-PLUSにログインしていただくには、
TAKARA BELMONT 共通IDへの新規登録(無料)が必要です。