坂巻哲也さん(apish)

坂巻哲也さん(apish)| この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG

ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2006.11.9

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須賀勇介さんの姿を見て、世界で活躍できる日本人になりたいと思った

私が最も影響を受けた人は、私の師であり当時ニューヨークで活躍されていた須賀勇介さんです。海外で活躍している日本人がほとんどいない時代において、美容師である須賀さんが、有名な女優や大富豪の方々を相手に、次々とヒットヘアを開発されていく…。その姿を見て『すごい方だな』と思い、私も世界で活躍できる日本人になりたいと思いました。ただ、美容師になりたいと思ったのは、美容師をしていた義姉のすすめで、サロンでアルバイトを始めたのがきっかけです。毎日ブラブラしてるんだったら働きなさいと(笑)。初めてシャンプーをした年配のお客様から、『ありがとう、すごく気持ち良かったわ』という言葉をいただいた時、当時不良だった私は『ありがとう』の言葉に快感を覚えたんです。これから生きていく上で、怒られたり嫌なことを言われるよりは、褒められる人間になりたいと…。そこで須賀さんを思い出し、本気で美容師になろうと考えました。

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新人の頃は通勤電車の中で、ワインディングの練習をして人一倍の努力を

私は負けず嫌いで、やり始めたらとことん追求するタイプなんです。美容学校でも生徒会長をやったり、自分でも器用なタイプだと思っていました。それが、スタジオVというサロンに入社して、井の中の蛙だったことに気づきました。当時は千葉から通っていたのですが、原宿に出てくると、器用でモチベーションの高い人ばかりなんですよ。そこで、通勤の1時間、電車の中でウィッグを使ってワインディングの練習をしていました。最初は周りの人も奇異な目で見てましたが、そのうち『美容師さんなのね、頑張って』と励まされたりして(笑)。それくらい、人一倍の努力をしました。そのお陰で、当初3年かかるカリキュラムを2年で終了して、新人賞をいただきました。ただ、新人賞をとった人には2年目のジンクスがあると言われてましたから、スタイリストになってからも努力し続けました。

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店長就任後に襲われた闘病生活で美容学校生の姿から勇気をもらう

独立に関して、入社当時は一切考えていませんでした。それは、須賀さんに憧れてこの世界に入ったので、須賀さんのサロンでトップになることを夢見ていましたから。21歳でスタイリストになって実績を上げ、24歳に渋谷店の店長になりました。ところが、スタッフは先輩ばかりで、目上の人を敬う気持ちや、人の上に立つことの難しさに直面していたんです。そんな時、身体に悪性の腫瘍が見つかりました。検査したところ、入院して手術が必要だと言われて…。1年間の闘病生活は苦しくて、実は弱気になってしまったんです。その時、入院した病室の窓から、山野美容専門学校が見えました。きらきら輝いている美容学校の生徒さんの姿を見て、昔悪さをしていた頃に、夢を与えてくれた美容という職業に憧れた当時の自分を思い出しました。そこで、もう一度病魔と闘おうと決心し、大手術に挑んだのです…。

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『僕は、生かされた』、神様がくれた第2の人生を生きよう

思いもよらぬ大病をわずらい、美容学校生から勇気をもらって手術に挑んだのは、2つ目のターニングポイントでしたね。自分は寝ていたから覚えていないんですが、かなりの大手術を受けました。あれから約15年たちましたが、見た目には元気でも少し症状があります。ただ、幸いにも五体満足なので、今では元気に頑張っています。しかも、1カ所だけ残っていた腫瘍が徐々に消滅して、再検査ではすべてなくなっていたんです。そこで、私はこう思いました。『僕は、生かされたんだ!』と。今後は、神様がくれた第2の人生のスタートだ。今まで、周りの人に迷惑をかけたことを反省して、本気で人生をやり直そう…。そう決心しました。それからは再発の恐れを乗り越えながら、徐々に体力を蓄えました。

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恩師・須賀勇介さんからの言葉…そしてニューヨークへ

退院後は、朝起きて息をしている、生きているということだけで幸せを感じましたね。だから、お金も何もいらない…そんな5年間を過ごしました。検査に行った時、先生から『ハードルを超えたから、少しは本気で生きてみたら』と言われ、それからの5年間は2倍頑張って10年後に元の位置に戻そうと決めました。実は私が入院する前、須賀先生から『あなたの場合は摘出すれば治るから、頑張りなさい』との言葉をいただいていたんです。ところが、闘病中に先生が大きな病気で亡くなられました。先生は自分が同じような病気であるにもかかわらず、私を励ましてくれて…。それで、これからは先生の分まで、この美容業界で頑張ろうと決め、しばらくニューヨークに行きました。それは、先生が活躍された地で、今度は私が美容の勉強をしようと思ったからです。

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夢という同じ志をもつ仲間が集まった…その名も『Xの会』

先生が活躍されて10年近くたっているのに、須賀勇介の弟子だと言うとニューヨークの美容師さんたちはみんな良くしてくれるんですよ。そんな時に、私が先生を超えることで恩返しができると思いました。そこで、もっと視野を広めながら勉強をしなおそう思い、帰国しました。私の大事なものは『夢』です。闘病を乗り越えたのも夢があったからです。ちょうどその頃、そんな同じ価値観をもっている人たちが集まってきて、グループを作ることに。子供っぽいんですが『Xの会』と名付けて飲み会とかをしました(笑)。最初は小さな夢が、次第に『俺たちで美容界に旋風を巻き起こしてやろう!』と。それで、クラブを借り切ってヘアショーをすることになり、会社名は伏せて手売りで1人200枚のチケットを売りました。その時にこの会を、表の世界に出したいと思い始めたんです。その中のメンバーの1人に『俺たちの夢を形にしてください』と言われ、そろそろ独立しようかと考え始めました。

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出店の第一条件はお金ではなく、いいスタッフといい教育ができること

最初は小さな店だけど頑張ってみようと、仲間と話しました。そして、社長には事情を説明して、『6名を連れて辞めますが、許してください』と何度も真剣にお願いしました。通常なら、スタッフを連れて辞めるのはこの業界でタブーですが、今まで17年間頑張ってくれたので認めようと言ってくれました。メンバーは準備のため出店の1ヶ月前に退職。私は1週間前まで勤めました。それは、恩返しが残っていたから。ただ1ヶ月間は彼らに給料を払えませんでしたが、それぞれアルバイトをしながら頑張ってくれました。お店を作るためにお金は大事ですが、まずは人だと私は思います。いいスタッフがいて、いい教育ができること。そういう面では、第一条件がクリアできていたので恵まれていました。実は出店の際も、みんなで自転車に乗って、いい物件を探したんです。原宿、青山、恵比寿、代官山を毎日かけずり回って…。不動産屋に行っても相手にされなかったですから・・。

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工事中の物件を前にして『多くのお客様と働く自分たちの姿が想像できるか』

そしてある日の夜、工事中のビルでしたが、やっといい物件が見つかりその看板の不動産屋に電話しました。今、前にいるから来てほしいと。それまでの間、『ここにたくさんのお客様が来られて、元気に働いている俺たちの姿が想像できるか』って話したんです。『俺は見えるよ』って言うと、『私たちも見えます』って答えてくれて。じゃあ、ここにしようって決めました。約24坪でセット面が8台、シャンプー台が3台でapishがスタートしました。今から7年前のことです。オープンして1ヶ月は良かったんですが、2ヶ月目からお客様が来なくなってしまいました。それで、作品を作って雑誌に載せてもらおうとしたんですが、ほとんど対応してくれず、やっと1社だけパーマ作品を載せてくれました。それが大ヒットして、予約の電話が鳴り続けました。ところが、予約はあるんですが、実際にお客様が来ないんです・・。

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お客様の想像以上、期待以上のサービスを提供することが大事

実は、お得意様から料金が高くなっていると指摘され、雑誌を見ると誤った料金表示がされていたんです。次号でお詫び文が載りましたが、もっと頑張ってここにいることをPRしなければいけないと思い、今度はTV局12社に手紙を出しました。それが『シザーズリーグ』の出演につながり、ありがたいことに9割のお客様が戻ってくれました。その後、来ていただいた方を裏切らない、想像以上の技術を提供しなければいけないと思い、オリジナルのスタイルを考えました。今ではメディアに出てもそんなにお客様が来る時代ではないですが、当時はすごい影響でした。ただ、サロンを発展させるためには、お客様が笑顔で帰られることが第一。第二はその方がまた来店されること。第三は、その方が大事な人を連れて来られること。そのために、モチベーションを高めながら努力しています。私の人生、落ちた時がチャンス。そんな、次につながるパワーを発揮しながらこれからも頑張っていきます。

坂巻哲也さん(apish)
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坂巻哲也(サカマキテツヤ)

1998年10月にapish設立。2001年9月に移転拡張オープン。2004年9月に『癒し』をテーマにリラクゼーションルームを開設し、リニューアルオープン。現在、サロンワークを中心に、ヘアショー、TV出演、撮影、講習会など幅広い活動を展開中。また、多数の商品開発やオリジナルカットなどの技術も考案している。

※2006年11月9日現在

シリーズ:この人から学ぶ、成功の秘訣「TBMG」

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