中井智美さん(switch)

中井智美さん(switch)| この人から学ぶ成功の秘訣 TBMG

ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2009.4.2

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自然な流れで美容師になり気がつけば東京に

私が美容師になろうと思ったきっかけは、手に職をつけて自立した女性になりたいと思ったからです。子供の頃は母子家庭で育ったので、早く社会に出たいと考えていました。実際には「美容師」にこだわっていたわけではなく、また東京に憧れて上京したわけでもありません(笑)。子供の頃から髪を触るのが好きだったこともあり、周りの人から勧められて地元の美容学校に入学したという感じですね。さらに私がインターン生の頃、東京の大学に進学していた友人が帰省して久し振りに再会した時のことです。その友だちが東京に戻る時、私も一緒に行って2週間位居候させてもらいました。その期間、街をブラブラするつもりが、なぜかサロンめぐりをしていて、更に面接まで受けていて(笑)、何と広尾のサロンに採用されてしまったんです!東京にはただ遊びに行くのが目的で、サロンを探すつもりはまったくなかったんですが、何かに導かれたかのようにスムーズに決まりました。そして、実家に戻って母に話したら大賛成してくれて、1ヶ月後には上京(笑)。今思えば、不思議な展開でしたね。

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一人前になって地元に帰りたい一心で頑張った

東京に出てきて、まず言葉や生活に慣れるまでが大変でした。サロンでは仕事がつらくてトイレでよく泣いていましたね。ホームシックにもかかり、早く地元に帰りたかったのですが、母と2年間は頑張るという約束だったのと、上京の準備でお金を工面してもらったので、そう簡単には帰れないという思いで頑張っていました。母とは、2年で技術を修得して実家に戻り、いずれは地元でお店を持つという話をしていました。だから、練習は人一倍やりましたよ。同僚が休んでいても毎日夜中までトレーニングをして、“早く地元に帰りたい”の一心で頑張りました(笑)。毎日がサロンと部屋の往復で、ほとんど東京で遊ぶこともなかったです。その分、技術をマスターしながら3年目には管理美容師の資格もすぐに取得しました。そして、5年後には地元に帰れるだけの技術と知識を習得しました。ただ、お客様を担当するようになってから、美容という仕事が徐々に楽しくなり、地元に帰る気持ちが揺らいできたんです。今、私がここで辞めたらお客様はどうなるんだろうと・・・。そこで、オーナーに相談して、心の整理をするため、帰郷を理由にいったんサロンを辞めることにしました。

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地元に帰るか東京に残るか思い悩んだ末に決断

荷造りをして、明日実家に帰ろうとした時のことでした。なぜか前夜に涙が出てきて、自分の中でやり残した気持ちが沸き上がってきたんです。そこで、引っ越しをキャンセルして荷物だけを残し、1週間くらい実家に戻りました。その間、地元のサロンで面接を受けたりいろんな人からアドバイスを受けてどうしようか考えました。そこで、東京と地元のサロンを比較して、いろんな面でやりがいが違うことに気づいたんです。さらに、私は東京で1つのサロンしか経験していないので、もっといろんなサロンに勤めてみたいという欲が湧いてきたんですね。そこで、次のサロンが決まるまで、前のサロンで約2ヶ月間アルバイトをさせてもらいました。自分の想いをオーナーに話したところ、次が決まるまででいいから手伝って欲しいと言っていただきまして。その期間にサロンワークをしながら就職活動をしていました。当時の私は、誰かに認めてもらいたいとか、他のスタッフを意識して仕事をしていたことはありませんでした。あくまでも、自分自身が納得できるまで追求するタイプなんです。だから、東京に残ってさらに新しいサロンを探していたのは、自分のこだわりだったんですね。

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『カリスマ美容師ブーム』の頃にスタイルがヒット

2店舗目に勤めたのは、表参道にあるアクロスというサロンでした。他にもいろんなサロンで面接を受けましたが、なかなかスムーズには決まりませんでした。そこで、唯一私を迎え入れてくれたのがアクロスだったんです。当時は、NATURAの塩崎さんやU-REALMのyu-kiさんたちがスタッフとして一緒に働いていました。やはり、立地環境的にも広尾のサロンとは感覚が違っていて、大きな刺激を受けましたね。どちらかと言うと、私は運に恵まれていて、チャンスをタイミング良くつかんでこれたんだと思います。その代わり、どんなに小さな事でも、決して妥協はせず、目の前にある仕事を精一杯務めてきました。さらに当時は、『カリスマ美容師ブーム』だったこともあり、依頼を受けた雑誌の撮影で私が作ったスタイルが好評を得てすごく流行ったという、時代的にラッキーな面もありました。もちろん誰もが当たるわけではないのですが、当たると1ヶ月の売上げが50万円だったスタイリストが150万円になったというような時代でしたからね。そんな波に上手く乗ることができたように思います。

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お客様を第一に考えて東京での出店を決断

いずれは地元に帰ってお店を持ちたいという願望はありましたが、当時から東京で出店するなんて考えてもいませんでした。それはいろんな問題を含めて、東京で経営していくのは大変困難だと思っていたからです。アクロスには8年間在籍して、不満もなくすごく楽しい時間を過ごすことができました。ただ、年齢的なことを考えていくうちに、いつまでもここで働いていていいのかと自問自答するようになったんです。若い人を育てながら、今までやってきた自分の証を何かの形で残したいと思うようになりました。それを、今やらないと5年や10年先では自分のパワーがなくなってしまう気がしたんです。それが、おぼろげながら独立を意識した最初の感覚でした。それから徐々に独立心が高まり、本気で出店を考え始めました。最初に思ったのが担当しているお客様にはご迷惑をかけられないということ。つまり、あまり遠い場所での出店は申し訳ないと考えたんです。

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12月30日まで勤務してオープンは1月8日

独立して青山・表参道界隈に出店を決めたのは、お客様のことを第一に考えての決断でした。だから、東京で一旗揚げてやろうなんて大胆な気持ちではなかったんですよ(笑)。資金に関しては、それまでの貯金や親からの援助でそれほど苦労はなかったように思います。ただ、アクロスを退社し、9日後にはオープンの予定だったのですが、最後の1ヶ月半はお休みが取れず、出店の準備が本当に大変でしたね。アクロスでサロンワークをしながら、平行して出店の準備をしていました。 12月30日まで働いて、オープンは1月8日。年末年始で業者さんもお休みなので、すべて年内に準備を済ませておかないといけない状態でした。アクロスはお昼から夜10時まで営業だったので、午前中は業者さんと打合せ。仕事が終わってから面接やスタッフミーティング、あるいは店内の片付けなどをしていました。家に帰ってからはパソコンでDMを作成したりして、寝る間もなく超ハードスケジュールで出店の準備をしました。どうやって頑張っていたのか自分でも覚えていないくらい、本当にハードでした(笑)。

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失敗してもいいから後悔はしたくないと出店に

出店前はワクワクした期待感よりも、オープンに間に合うのかなという不安の方が大きかったですね。実際に独立してみると、やらなければならないことが次々に出てくるんです。だから、すべては周りで協力してくれた方々のお陰でオープンできたと感謝しています。オープンしてからは、経営というよりサロンワークをするのに必死でした。私はそれまで店長やマネージャー的な経験がなく、どちらかというと職人タイプの美容師です。だから、出店してからも自分の仕事に集中することがほとんどで、経営面に関しては何か問題が起きたらその都度、処理していました。今思えば、最初は不安だらけでした。でも、後悔だけはしたくないと思い、出店に踏み切ったんです。独立を悩んでいた頃、雑誌で『努力したことがすべて報われるとは限らない。でも、成功した人は必ず努力をしている。何かに立ち向かうためにチャレンジをしている』という言葉を目にしたんです。「そうか!」と自分の中で何かが目覚めた気がしました。この言葉を見て、失敗してもいいから納得するまでやってみようと思ったんです。

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常に新たな目標設定

私は人生の岐路に達した時、いつも何かに導かれるかのように自然の流れで歩んできました。ある意味で運が良かったし、自分の中で大きな事をしてきた感覚があまりないんです(笑)。私の中では独立・出店が最終目標ではありません。私は、目標が達成できたら、次への新たな目標を設定しています。だから、常に満足感はあまり感じていません。達成した時点で、気持ちはもう次に向かっていますから。ただ、妥協や手を抜くのはいやで、時間を惜しんででも納得するまでやるのがポリシーなんです。出店して今年で 5年目になりますが、経営者になって最近感じることがあります。それは、もっと美容業界が盛り上がってほしいなということ。特に、女性美容師さんには頑張ってほしいです。今までも、結婚や出産・育児などでリタイアされる女性美容師を見てきているので、そんな人が活躍できる労働事情や職場環境が整えばいいなと思います。 switchはそんなサロンにしたいですね。アットホームで温かみがあるサロンにしていきたいと思います。

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努力した分だけ必ず技術が身につくのが美容師

そして、女性美容師さんだけでなく若い人たちにも頑張ってもらいたいと思っているんです。この世界は頑張れば誰でも活躍できる世界です。これまで、限られたごく一部の美容師さんしかクローズアップされませんでしたが、今は頑張れば報われる日も来ると思います。ただ残念なのは、途中であきらめる人が多いことです。志半ばで挫折するのは、私から見ても本当に惜しいと思います。特に、アシスタントの段階で美容師を辞める人は、本当にもったいないですよね。美容師としての仕事が楽しくなるのはこれからなのに・・・。たとえ、困難なことや壁にぶち当たっても無理だとあきらめず、頑張れば必ず自信につながるはずです。自信がつくと何事もポジティブに考えられるし、小さな目標でも一つクリアするとさらに次の目標へとステップアップできるじゃないですか。だから、そんな実感をつかんでほしいと思います。周りに応援してくれる人はたくさんいますが、最終的に頑張るのは自分自身。努力した分だけ必ず技術は身につくし、最後には結果が出ます。美容師は夢のある素敵な職業です。だから、美容師を目指している人や、サロンで頑張っている若い人たちには、是非努力していい美容師さんになってほしいと思います。一緒に美容業界を盛り上げていきましょう!!

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中井智美さん(switch)

中井智美 (ナカイトモミ)

switch 代表。富山県出身。富山県理容美容高等専修学校卒業。卒業後、インターン生として県内のサロンを経て上京し、東京・広尾のサロンに入社。5年後に退職し、表参道のカーニュ(現アクロス)に入社。8年間勤務後に退職し独立。2005年、表参道に『アートなCafe風サロン』をコンセプトに、50~60年代のアンティーク家具とモンドリアンデザインを取り入れたサロン『switch』をオープン。現在、サロンワークを中心に雑誌の撮影などでヘアメイクとしても活躍中。

※2009年4月2日現在

シリーズ:この人から学ぶ、成功の秘訣「TBMG」

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