ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2007.4.5
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若い頃は理容師と名乗るのが気恥ずかしいことも…
実家が理容店を営んでいたこともあって、子供の頃は家業を継ぐんだなっていう感覚はありましたね。大学には通っていましたが、『早く大人になりたい症候群』で20歳の頃にはっきりと理容業を目指す決意をしました。でも、うちの若いスタッフみたいに『誰かをカッコよくしたい』っていうこころざしはあまりなく、漠然となってしまったというのが実は本音なんです(笑)。その頃の夢は、東京に行きたいということ。虚像でしたが何かあると思っていましたから。それでJUNESに入社しました。でも、当時は理容業の現実を知り、理容師を名乗るのが気恥ずかしい時期もありました。だから、海外に留学して美容の勉強をしようかなとも考えたんです。でも、せっかく入社して店長にもなれたし、会社が『メンズオンリーサロン』として展開するようになったので、この仕事を極めたいという欲が出てきました。
表面的な形にこだわるのではなく大切なことは中身
メンズオンリーサロンというコンセプトは、僕のアイデアを反映していただきました。それは'96年の早稲田店がスタートです。当時は、レディスも少しやっていたんですが、やはり技術的に中途半端な部分があったんです。そこで自分の武器は何だろうと考えた時に、やはりメンズだろうと…。だから、メンズオンリーサロン。ただ、理容業界を変えようという大それた意味ではなく、自分たちの仕事を追求しよう、そして誇りを持とうという感覚で取り組みました。そのために必要なことは、どんなスタンスで生きていくのかということ。だから、海外留学で美容を学ぼうという発想は表面的な形にこだわってただけであって、大事なのは中身だと気づいたんです。そんな生き甲斐を感じたことが、今日につながっていると思いますね。
ストリート全盛の時代にマッチしたメンズオンリーのコンセプト
約10年前の当時は、ソフトパンクを代表するストリートヘア全盛の時代。それまでは、刈上げでもきれいに襟つけをしたりというカットがほとんどだったんです。店内の空間的な要素を変えたおかげで、ストリート指向のお客様も来られるようになりましたが、今までにない斬新な注文を受けて、失敗もありました。例えば、ヘアカラーで青にしてほしいといわれた時に、ブリーチをして色をのせると緑になったりとか(笑)。今ではできて当然の技術なんですが、そんな失敗を繰り返しながら一生懸命やりました。お客様の多様なニーズに対応できるようになりたいと必死でしたね。それまでヘアのお手本として芸能人が多かったのが、流行の最先端を行く一般の人に代わりました。その影響で、ストリート系の雑誌もたくさん発行されましたから。そんなオシャレをしたいという男の子が増えてきて、サロンが大学の近くにあったこともあり、メンズオンリーという展開が時代性とうまくかみ合ったように思います。
新しいコンセプトの理想像を自分たちで作る
『メンズオンリーサロン』という新しいコンセプトで展開することによって、スタッフへの技術指導や接客などのシステムを再構築する必要がありました。それは結果として答えの出ない作業であり、常に何かを求めながら歩んでいた状態でした。目指す人としてのモデリングがなかったというのもその理由です。こんな理容師になりたい、サロンを作りたいと思っても、お手本とするモデルケースがなかったことで考える能力が養えたと思っています。スタイリストとしての理想像を、自分たちで築き上げないといけないですからね。それと同時に、外に向けて一般の人にサロンの存在をアピールする必要もありました。当時の早稲田店ではドクロの人形がたくさんあって、それがシンボリックになっていました。ガイコツ屋なんて呼ばれていましたから存在感はあったと思います(笑)。
多様化するメンズシーンに対応した中身の充実
原宿での出店を機に代表となり、今までの理容店とは違うメンズサロンとしてのイメージ作りを考えました。例えば、男性専用をイメージしたトイレマークなどの考案とか。でも、時代性に恵まれたせいか当時は大繁盛していくつか支店も出しましたから、ここ5年くらいの方がメンズサロンのあり方を考えるようになりましたね。今までは、単なるメンズオンリーでも来店していただきましたが、これからはそうはいかないでしょう。すでに、いろんな形態のメンズオンリーが登場しています。だから、僕たちも時代や消費者に向けてコンセプトや空間作りを明確に伝えていく必要があるでしょうね。例えば、雑誌『LEON』が話題になったり、新宿にもデパート業界初のメンズ館が誕生したりメンズシーンが多様化して年齢層も多岐になってますよね。だから、今まで10年間の蓄積をいかしながら、いかに新しいメンズオンリーの形を作るかが僕の中でのテーマです。
新しい位置づけとして『メンズオンリーサロン』を定着させたい
現在は、新しくMD(マーチャンダイザー)というセクションを作って、ハウスモデルの管理や社内に向けた年3回のトレンド発表用の撮影を行っています。これは、若いスタッフが中心になってメディアに対する新しいネットワーク作りを目的にした活動です。それも店舗展開の中では必要な仕事だと思っています。現在は5店舗を展開していますが、すべてメンズオンリーサロンです。以前のようにレディスに対応したサロン作りは、今のところ考えていません。例えば、優秀な美容師さんを雇って経営すれば成功するかもしれませんが、自分がやるのは無理だと思っています。その理由は、この周辺のサロンを見ても分かりますが、『女性に対する美』とはそんなに甘くないし、簡単に手に入ると思っていないからです。だから今後も、理容や美容とは違う位置づけで、このメンズオンリーサロンを追求していきたいと考えています。
年齢に応じたメニューの充実など美容とは違う戦略が必要
今、ターゲットとする客層は、もっとオシャレになりたい理容室派の若い男の子。そして、美容室派だけど、年齢的に美容室の雰囲気に馴染めなくなった年配の男性などでしょうか。前者はもっとも関心を持ってくれそうな気がしますが、それ以外にもメンズサロンの場合は平日の集客をどう獲得するかなど、課題が山積みなのでそれらをクリアしないといけないですね。例えば、ヘアに対する関心度も女性と比べると、カラーやパーマの需要が少ないです。そうすると、一定の年齢層にはヘッドスパや癒しのメニューを充実させるなど、女性とは違う戦略が必要だと思います。また、教育に関しては、アカデミーを設けて、3年間でカットとカラーとパーマの技術をマスターさせています。これはスタッフをじっくり育てる部分。それと同時に、1年間で実践的な技術をマスターさせるST(セカンド・トップ)というシステムも設けています。
スタッフに使命感と責任感を持たせる教育
このSTというのは、サロンワークと初歩技術を学ぶセクションです。すでにお話ししたMDは感性を育てるセクションで、国語的な表現力を重視しています。それに対してこのSTは技術のマスターなので、数学的な要素を重視しています。スタッフ教育では、この二面性を同時進行で取り組んでいます。それと、僕自身がトレンドとして大切にしているのが『勇怯の差は小なり、責任は大なり』という言葉なんです。勇怯とは、勇気と臆病という意味です。例えば、船が沈没する時に、船長は最後まで残りますよね。それは勇怯の問題ではなく、船長という立場や責任感で任務を遂行しているんですよ。だから、人を育てるという部分では、適材適所で割り当てながら、責任感を持たせることも考えています。スタッフにはメンズオンリーサロンというコンセプトをしっかり理解してもらい、彼らの一人ひとりのアイデンティティーを明確にしてあげることで、さらに使命感を持って接客してほしい。それがJUNESのテーマなんです。
今、力を入れているのは『早稲田男髪サロン』
正直いって最初は美容に対する対抗意識がありましたが、今はメンズサロンをどう進化させていくかを追求しています。サロンのシステムとしては点と点がつながって、ようやく線になってきたと実感してますから、これからが勝負でしょうね。今後の展開としては、JUNESもちょうど10周年を迎えたので、店舗の改装なども含めて『自分が思うカッコいい』を作っていきたいです。今、力を入れているのは、JUNECORE(ジュネコア)というお店で、ここは『早稲田男髪サロン』をコンセプトに3月にリニューアルしました。このコンセプトで業績が上がれば、次はもっと『大人のサロン』を出したいです。先日、銀座に行って生演奏を聴いたんですが、そんな雰囲気のサロンができたらいいですね。今後もJUNESはCONCEPT(概念)・FASHION(流行)・CREATIVE(創造)・PASSION(情熱)を大切にして、世の中にメンズオンリーサロンをDISPATCH(発信)していきます。
BOWE(ボウ)
鹿児島理容専門学校卒業後、JUNESに入社。1996年にメンズオンリーサロンをコンセプトにした早稲田店の店長に就任。2002年に原宿店を出店し、同社代表に就任。サロンワークを中心に、雑誌等でも活躍中。
※2007年4月5日現在
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