全日本美容技術選手権大会が2024年11月19日(火)、富山県・富山市総合体育館で開催されました。全日本美容技術選手権大会は、ヘア・着付け・ネイルなど、様々な部門の日本一を決める歴史と伝統のあるイベント。
タカラベルモントも毎年協賛しているこの大会に潜入し、予選を勝ち抜いて富山県代表として出場したお二人に密着取材。そこにはさまざまなドラマがありました!
ナビゲーター:岡田真寿美(おかだ・ますみ)
富山を愛するデジタルクリエイター。14年の編集者経験を活かし、タウン情報誌から観光、富山土産デザイン、イラストまで、幅広く活動。個性が豊か過ぎる3人の子供たちに育てられ中。
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今年の開催地、富山県について
北陸地方の中心に位置する富山県は、南北に細長く、豊かな自然と文化が今もなお息づいています。なかでも富山市は、水深1,000mある「海の幸の宝庫」富山湾から、標高3,000m級の雄大な北アルプス立山連峰まで、標高差は4,000m。
特に、富山湾は「天然のいけす」と呼ばれるほど新鮮な魚介が豊富で、寿司県・富山とブランディングされているほどです。
ということで、まずはそれを確かめるため「寿司栄 総曲輪店」にお邪魔しました。
「寿司栄」は富山県に3店舗を構える昭和23年創業、歴史のある人気店。こちらのお店は事前予約制ではないため開店前に店頭で記名をして、開店と同時に入店できました。店内は、禁煙・ノンアルコール。寿司へのこだわりが窺えます。
大将の威勢のいい声と共に出てくる寿司は絶品。
富山ならではのヒラメの昆布締め、とろける白えびの他、脂ののったブリ、カニ味噌入りのカニ軍艦、イカ、甘エビ、鯛、サワラ、真アジなど全10貫いただきました。
その中でも一番心を掴んだのは肉厚で歯ごたえがあるバイ貝。バイ貝は富山のソウルフードでもあります。どのネタも新鮮で、ポン酢ゼリーや塩レモンなどとのマリアージュも目新しいお寿司でした。
寿司県、富山に来た際はぜひお寿司屋さんに足を運んでみては?
全日本美容技術選手権大会とは
全日本美容業生活衛生同業組合連合会が主催する「全日本美容技術選手権大会」は、1962年から開催されている、日本最大規模の美容技術大会です。
全国47都道府県から予選を勝ち抜いた技術者が、日頃の技術の研鑽の成果を競い合います。
今回開催された富山市総合体育館には、2450名の関係者が来場。この大会に出場するために、およそ150名の美容師やネイリストなどが全国から集結しました。
競技種目は以下の7つです。
・ヘアスタイル競技
・フリースタイルカット競技
・カット&ブロー競技
・花嫁化粧着付競技
・中振袖着付競技・ネイルアート競技
・カットバトル(オープン競技※)
※オープン競技:組合員以外も参加可能な競技
美容業界全体の技術力向上を図り、業界全体のさらなる発展につなげることを目的とするこのイベント。各部門で地域予選を勝ち抜いた日本一を目指す選手が集まり、非常に高いレベルの技術が披露されました。
富山での開催にあたって
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、富山県も大きな被害が出ました。
この地震の影響で、富山県でも震度5強を観測し、一部で停電や建物への被害などが発生、県内の理美容サロンでもさまざまな被害があったそうです。
初めて富山での開催となった、今年度の開催への想いを富山県美容業生活衛生同業組合・野本義久理事長に伺いました。
「元旦に発生した地震で、富山の美容業界にも激震が走りました。被害としては石川の能登や珠洲が今もなお苦労が尽きないとは思いますが、富山県内でも被害はありました。
美容組合の仲間のお店では壁に亀裂が入ったり、地面が液状化したりと地震の影響があった場所もあります。
震災直後は今年度の富山大会の開催がどうなるか危ぶまれたのは事実です。無事開催できるかプレッシャーもあった中、今日の日を富山県美容組合のメンバー470人一体となって作り上げ、開催できたことに感謝するとともに、何よりもホッとしています。」
富山県代表、出場者の声
富山大会にあたり、地元富山からは22名が参加。そのうち、カット&ブロー競技と中振袖着付競技に出場したお二人を紹介します。
カット&ブロー競技に出場 3人の息子を持つ栃谷さん
栃谷光廣(とちたに・みつひろ)さん
富山県黒部市にある「Hair salon KARUA」のオーナーで、この道24年のベテラン美容師。美容組合の黒部支部長も兼任しつつ、今大会では選手宣誓も担当。
プライベートでは3人兄弟のパパとして育児にも奮闘中。
※2024年12月現在
栃谷さんが今回参加したカット&ブロー競技は、カットとブローを駆使してモードスタイルを競技時間40分以内に制作します。指定されたモデルウィッグを使用し、事前カットは一切認められません。ヘアスタイルは技術性を重視しながらも独自の創造性、ファッション性が評価の基準とされています。
今回出場されたきっかけは?
「富山では初開催となる全国大会。共に働くスタッフ、いつか美容師になりたいと言ってくれている我が家の3兄弟に、親として、美容師として、一生懸命美容に向き合う姿を見せられたらと思い出場を決めました!」
コンテストの出場は初めてですか?
「東京のサロンに居たころは様々な大会に出場しましたが、選手としては17年ぶりの大会です。」
この日に向けてどれだけ練習されてきたのでしょうか?
「富山に戻ってきてからは富山県の美容組合の運営業務に携わることが多く、美容師として、経営者として、親として、十数年前とは立場や環境が変わりました。練習に使える時間や体力などは20代のころとギャップを感じながらもなんとか時間を捻出し、練習を重ねました。」
このイベントでの経験をどう活かされますか?
「大会を通して、他の出場者との交流もできましたし、培った技術や経験をお客さまの満足に還元していきたいですね。サロンワークとは違った美容の一面を、富山県代表としてこの大会に出場した者として、お伝えできるようになればと思います。」
会場には奥さまと3人の息子さんが応援にいらっしゃっていました。
ご家族の皆さんは、今日の大会をご覧になっていかがでしたか?
奥さま・明代さん 「すごく緊張が伝わってきましたね。」
長男・たくとくん 「サロンワークではなく大会は初めて見に来ましたが、とってもかっこよかったです。」
この日を迎えるにあたり、どんな生活を送られていましたか?
奥さま・明代さん 「毎晩夜遅くまでドライヤーの音が聞こえてきました。いつもは子供の野球の練習に付き合ってくれたり、宿題を見てくれたりするのですが、大会前の2週間だけは競技練習に没頭してもらいました。」
3人の息子さん達は栃谷さんの背中を見て、美容師を目指しているそうです。未来の美容業界も楽しみです。
祖母・母の想いを受け継ぐ 三代目の中振袖着付競技の挑戦
大津賀咲(おおつが・さき)さん
富山市月岡町にある「コワフュール・SOUWA」のスタイリスト。
祖母・和子さんが開業して45年の老舗美容室。母・美和さんと、スタッフ3名で営業している3代目。ウッディで可愛いお店ではカフェも営業。
※2024年12月現在
今回大津賀さんが参加されたのは、中振袖着付競技の部。
通常、成人式の時の用いられる技術で、中振袖着付競技は、「衿とじ」の作業(25分)および「化粧、ヘアスタイル作り、ボディ修正、長襦袢着付」までの作業 (80分) は監視委員立会いの下、控室等で行います。
仕上げとなる「振袖着付、帯結び」の作業(20分)が競技ステージで行われました。
今回出場されたきっかけは?
「富山で全国大会が開催されると聞いて、せっかくならば出場したい!と着付けという競技で新たなチャレンジをしました。」
中振袖を選ばれた理由は?
「実は、これまでほとんど着物を触ったこともなく、一からのスタートでした。小物一つひとつの名前を覚えるところからで苦労しました。祖母や母が代々着付けをしていたのもきっかけのひとつですね。」
練習はどれくらいされましたか?
「練習は約半年間。お店の営業終了後やプライベートの時間を削って、毎日練習していました。」
今大会で男性の着付け挑戦者は珍しいようにも感じましたが、いかがでしょうか?
「私自身は実際に見たことはありませんが、過去には男性も出場したことがあると聞いています。性別に捉われずに着付けにどんどん挑戦していきたいですね。今回の経験をもとに成人式の着付けなどにも生かせると思います。」
当日は祖母・和子さんと奥さまが応援に駆け付けていました。
咲さんが出場されていかがでしたか?
奥さま・真琴さん「こんなに頑張っているところを今まで見たことがありませんでした。」
祖母・和子さん「私も開業前から着付けに携わっていますが、着付けは本当に難しく、短い期間でよく頑張ったと思います。」
華やかさと繊細さを兼ね備えた着付け競技は、インバウンドの拡大に伴い日本文化への関心が高まる中で世界に魅力を発信する絶好の機会。今回の大津賀さんの出場は、男女問わず多くの人々が着付けを楽しむことができる、という新たな可能性を感じました。
今回は2名とも惜しくも受賞とはなりませんでしたが、大会にかける熱い想いを伺うことが出来ました。
最新機器・化粧品を紹介するタカラベルモントブースも登場
タカラベルモントのブースでは今年も最新の理美容機器、ヘアサロン専売品や技術者向け商品を展示。
理美容機器は、1台でカットからシャンプーまで対応する「MINIMAL SALON UNIT ONE(ミニマルサロンユニット ワン)」の他、水流の力で頭皮や髪の汚れを洗い流す自動シャンプー機器「aqua pod(アクアポッド)」を紹介。
「LebeL(ルベル)」の化粧品からは、ヘアカラーシリーズ「edol(エドル)」、クセ毛対策メソッド「HITA(ヒタ)」、スタイルをより楽しむための「THE MOII(ザ・モイ)」などを紹介しました。
たくさんの方にご来場いただき、また、サロンさまに役立つ情報をお届けする「タカラベルモント for Salon」LINEの友だちにもご登録いただきました。
全日本美容技術選手権大会は、ヘアやメイク、着付、ネイルなど、表現方法が無限大であるため、選手の個性豊かな作品が見られました。また大会出場は、美容師にとって大きな目標となっており、技術向上にもつながっているようでした。
様々なドラマが生まれた今大会。優秀な成績を収めた挑戦者は来年9月にフランス・パリで開催される世界大会に出場します。
来年度の全国大会は果物王国・福島。ここでもまた新たなドラマが生まれるのでしょうか。次回のレポートもお楽しみに。
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