Smoå möbelグッドデザイン賞受賞記事

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「Smoå möbel」グッドデザイン賞受賞記念! プロダクト・空間デザイナーが サロン空間づくりにかける想いを激白!

タカラベルモントのスタイリングチェア&ミラーシリーズSmoå möbelが「2023年度グッドデザイン賞」を受賞。これを記念し、タカラベルモントの製品・サロン空間づくりにかける想いとデザインに対する考え方や姿勢についてレポートします。

話を聞いた担当のみなさん

高田知明さん

プロダクトデザイナー:高田 知明さん

1987年入社。本社開発部から開発設計センター、理美容事業部 開発室室長を経て 2007年開発本部再発足時より同部署に所属。

主に理美容製品の開発案件に従事。製品に関係した特許登録件数30件以上。主担当としてバーバーチェア CREA、REGALO、MAXIM、CLASSICA、DIVAN、シャンプー機器 YUME OASIS、Swing Bowl、NRS、YUMEシリーズ、促進器 MICRO MIST、nanopresso、air wave、Truecare sure、エステティック用機器 FT-1000などを開発。

寒川奈美さん

プロダクトデザイナー:寒川 奈美さん

2008年入社。滋賀機器工場技術部に所属しスタイリングチェアの設計に携わり、2014年より開発本部理美容開発グループに所属、デザイナーとして主に美容室向けの製品開発に従事。デザイン主担当として、シャンプー機器 YUME ESPOIR Premium Line、スタイリングチェア r.a.fシリーズ、エステティック用機器 Coredesignなどの美容関連製品開発のほか、TB-SQUAREのロゴデザインを担当。2022年に頭浸浴用機器 YUME HEADBATHでグッドデザイン賞を受賞。

中村まいさん

空間デザイナー:中村 まいさん

2014年にタカラスペースデザイン株式会社入社。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科インテリアデザインコース卒業。

小規模の新規独立開業から大型チェーン店まで幅広い理美容室のデザインを多数手がける。女性らしい素材や色使いを得意とし、エンドユーザーまでもが笑顔になれる愛される空間作りを心掛け、業界誌にも多数掲載されている。

嶋木良さん

空間デザイナー:嶋木 良さん

2020年タカラスペースデザイン株式会社入社。近畿大学 産業理工学部 建築デザイン学科卒業。

新規開業・小規模サロンのデザインを多数手掛ける。施主の思いを感じ取り、創造的なアイデアを生み出すことを得意とし、心に残るシーンを生み出す空間づくりを心掛けている。

※2024年2月29日現在

「Smoå möbel(スモアメーベル)」って何?を寒川さんが解説します!

コンパクトな設計で、さりげなく日常を彩る家具らしさを表現したスタイリングチェア&ミラーシリーズです。

「美容室っぽくないサロンにしたい」「インテリアにこだわりたいから、一般の家具椅子を置いている…」そんなサロンさまの声にお応えするため、新開発の四つ脚ベースで家具椅子らしさを演出し、デザイン性と施術性を両立させました。さらに、ステップの形態を変えることで、乗り降り時にステップが邪魔になるという長年の課題を解決。

ミニマルでありながら、温かみや柔らかさのある上質な空間づくりを叶えます!


「Smoå möbel」についてもっと知る

スモアメーベル

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そもそもグッドデザイン賞って、どんな賞?

家電や雑貨など、さまざまなものに付いている赤地に白のGマーク。この「グッドデザイン賞」の根底には、日本の産業と生活を発展させていくために“デザインの力が必要だ”との思いがあるそうです。加えて、高田さんは次のように補足します。

高田さん

高田さん

グッドデザイン賞は、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨のシステムなんです。1957年に創立された背景には、当時先進諸国から輸出品のデザイン盗用問題の指摘が相次ぎ、外交問題に発展するといった事件があったようです。その後、根本的に模倣を防止するにはオリジナリティのあるデザインを奨励するべきだ、日本の産業と生活を発展させていくのにデザインが必要だという動きが起こり始めたのが創立のキッカケになったみたいですね。

時代の変化とともに「良いデザインとは何か」を探求し、今も進化を続けるグッドデザイン賞。そのような歴史ある賞をタカラベルモントは過去40年間にわたって、複数の製品で受賞しています。

高田さん

高田さん

1986年度にデンタル機器で受賞して以来、Smoå möbel を含め24製品で受賞しています。直近の理美容機器では、YUME HEADBATH、YUME OASIS、YUME ESPOIRなどですね。実は私自身も過去数回、受賞経験がありますが、受賞作品の共通点は、理美容業界がその時々に抱えていた問題を解決した点だと思います。

高田さんとYUME OASIS

なぜ、タカラはグッドデザイン賞に挑戦するの?

長年グッドデザイン賞への挑戦を続けるタカラベルモント。その理由を、高田さんはこう語ります。

高田さん

高田さん

挑戦を続ける理由。それは、デザインの良し悪しを判断されることで、デザイナー同士が切磋琢磨し、個々のスキルアップにつながるからです。

たとえば、コンシューマー向けの家電や自動車のデザインだと専門誌や紹介サイトで、評論家などから批評してもらえる機会が多くあります。ところがタカラベルモントの製品は、特殊な業界における特殊な製品。さらに競合相手が少ないということもあり、外部機関から正当な評価をいただける場が圧倒的に少ないんです。そのため、“このデザインで正解だったのか?”という議論になりにくく、独りよがりになってしまう。逆に批評を受けることで、 “もっとこうすればよかった”などの課題を見出すことができ、解決するための思考力や技術力が養われます。

高田さんインタビューシーン

デザイナーのスキルアップが、理美容師さまやサロンのお客さまの喜びにつながると確信しているからこそ、タカラベルモントはこれからもグッドデザイン賞への挑戦を続けていくのです。

Smoå möbel開発の経緯を教えて!

2023度グッドデザイン賞を受賞したSmoå möbelはどのような想いで生まれた製品なのか。誕生の背景を、デザイン開発担当の寒川さんが語ります。

寒川さん

寒川さん

スタイリングチェアは、美容師さまが使う道具です。『使いやすい』ということが絶対条件ですが、この使いやすさには、いろいろな側面があるため正解は一つではありません。そのためタカラベルモントでは、理美容師さまそれぞれにとっての使いやすさで選べるよう現在50以上のラインナップを揃えています。

 

今回、Smoå möbelを開発するにあたり、この“使いやすさ”を改めて見直したんです。昨今、施術の仕方やお客さまとの関わり方が変化しており、おもてなしの要素が強く求められるようになりました。コロナ禍を経て、理美容室がリラックスできる空間であることを求められるようになったのも理由の1つだと思います。そんな時代の変化に合わせ、長い間変化のなかったスタイリングチェアに今一度向き合い、その構成をさまざまな角度から検討しました。

寒川さんインタビューシーン

スタイリングチェアっぽくない、スタイリングチェア!?

寒川さん

寒川さん

以前から『美容室っぽくないサロンにしたい』という声が多くあり、この「美容室っぽさ」の原因のひとつが、長年変わらないチェアベースにあるのではないかと感じていたんです。サイズも大きく、機械的で存在感もあるので、いかにも美容室の椅子って雰囲気で…。そこで、施術性、快適性、デザインのバランスを見直し、一般の家具のような佇まいのスタイリングチェアを目指すことに。まず目をつけたのが、スタイリングチェアのステップとベース部分です。家具椅子との見た目の大きな違いといえば、四つ脚か、そうでないか、ということ。そして、スタイリングチェアにはステップがついているという点です。

4つ脚スモアメーベル

これまでのスタイリングチェアは「チェアベースを積極的に上下させ、施術しやすい位置へお客さまの頭の高さを調整する」という使われ方を前提に作られているため、足が浮いてしまわないようにステップがついていた。しかし最近は、おもてなしを重視し、上下昇降を積極的に行わなかったり、スツールカットをする美容室が増えてきており、スタイリングチェアの使われ方も変化してきている。そこで、これまでの当たり前だった、”ステップに足をのせて座る”ということを思い切って見直してみようと思ったと寒川さんは語ります。

寒川さん

寒川さん

この座り方って、日常慣れ親しんだ「椅子に座る」ということを考えると少し不自然ですよね。お客さまによっては、足を下ろそうとしたら、ステップに足が当たったりということもあり、快適性の面で課題に感じていた部分でもありました。そこでSmoå möbelでは、お客さまが床に足を着けたまま、ゆったり落ち着いて座れるよう、通常より座面高を低く設定し、ステップをチェアベース側の控えた位置に配置することにしたんです。

足が床につくスモアメーベル
ステップをチェアベース側の控えた位置に配置

スタイリングチェアの前にステップがないのは、実はSmoå möbelだけ!お客さまの座り心地はもちろん、背もたれや座面のボリュームを抑えコンパクトに。四つ脚にすることで、より一般家具らしさを表現しつつ、昇降機能を付けることで、施術性も担保しています。


デザイン面で寒川さんが最もこだわったのが、いい意味で主張しないスタイリングチェアの佇まいでした。

寒川さん

寒川さん

Smoå möbelは、自然とサロン空間に溶け込む、ひかえめなスタイリングチェアです。実際にSmoå möbelを初めて見たオーナーさまからは、『家具椅子みたい。本当にスタイリングチェアなの?』『四つ脚なのに、昇降機能が付いているの?』と驚かれます。

グッドデザイン賞の審査員コメント

住宅家具のような軽快さがありながらサロンが求める安定性と昇降などの機能性が備わったバランスの良いデザインを高く評価した。椅子単体ではなく、ミラーとテーブルもセットで開発している点は、インテリアを重視する美容室のニーズに応える新たな市場への提案である。

寒川さんと賞状

製品・空間デザイナーが語るサロン空間づくりへの想い!

ここからは、プロダクトデザイナーの寒川さん、そしてタカラスペースデザインの空間デザイナーである中村さんと嶋木さんによる座談会へ。座談会を通して見えてきた空間づくりへのこだわりや想いとは—。

座談会の様子

まずは、Smoå möbelを導入したサロンさまの空間設計を担当した中村さんと嶋木さんの事例をご紹介します。

事例①: スタイリングチェアが主役のサロン空間

中村さん

中村さん

私が担当した案件は、女性オーナーさまのひとりサロンの設計です。場所は、住宅街にある公園の前のマンション1階のテナント。お客さまに、日中の一人だけの時間を楽しんでほしい、というオーナーさまの想いを前提に設計を考えました。実は、ショールームに来られた際、Smoå möbelに一目惚れされて。オーナーさま自身、すごくSmoå möbelの世界観が似合う温かみのある雰囲気の方。そこから着想を経て、Smoå möbelありきで内装をデザインしたんです。店舗は道路に面した1階の狭小空間。お客さまが外からの目を気にせず、ゆっくりとくつろげる空間づくりを目指しました。

オーナーさまお気に入りのスタイリングチェアを主役に、全体の空間を構成したという中村さん。外側から店内が丸見えにならないよう、高さと色が異なる2つの壁を斜めに入り込ませ、シャンプー台やミラーの目隠しにしたそうです。入口から中を覗いた時に、入り組んだ壁の間にスタイリングチェアを配置することで、家具屋やアトリエのような佇まいに。一見すると美容室には見えません。

内観①
内観②
外観①
内観①
内観②
外観①
嶋木さん

嶋木さん

中村さんの事例もそうですけど、近年特にひとりサロン開業が増えていて、『美容室っぽくないサロン』の提案をよく求められます。Smoå möbelはそんなサロンさまにぴったりなんですよね。

以前は、駅前や繁華街に近い理美容室しか流行らないと言われていたそうですが、今はSNSが主流の時代。郊外や住宅街などでも十分商売できるようになり、小規模店舗や住宅兼店舗形態でおもてなしを重視するサロンさまが増えているそうです。

事例②:さまざまな制約から解放された空間

嶋木さん

嶋木さん

私は、静岡で初めてSmoå möbelを導入した住宅兼店舗の空間設計を担当しました。奥さまはスタイリスト。旦那さまは車関係のお仕事をされているのですが、所有する農園でお茶も栽培されているので、『美容室の定休日には、お茶の販売をしたり、振る舞ったりしたい』とのことでした。また、お二人が子育て中であることを加味すると、『スペースをフレキシブルに活用できる』空間設計が一番良いのではないかとご提案。さまざまな制約がある中で目指したのが、『美容室っぽくない空間づくり』です。可変性を重視されるオーナーさまの意向もありSmoå möbelの導入が決定!そもそも和室を改装して美容室にする、というオーダーでしたので、お茶の棚田をイメージし、全体的に丸みのおびた空間に仕上げました。

オーナーさまの想いをデザインに落とし込むのが空間設計の仕事だと言う嶋木さん。完成した美容室は、時にはカフェとして、時には子どもたちと遊ぶ場として、フレキシブルに活用されています。また、Smoå möbelのスタイリングチェアとミラーは、奥さまの施術時だけでなく、旦那さまが淹れたお茶を味わってもらう時の椅子・机としても活躍しているそうです。

内観①
内観②
内観③
内観①
内観②
内観③

サロン空間デザインのあるべきカタチ

理美容師さまとサロンのお客さまの両方にとってベストな空間づくりについて、プロダクト・空間デザイナーの視点から3人に語ってもらいました。

寒川さん

寒川さん

空間というのは量産品ではなく、オーナーさまの想いをカタチにした一点ものですよね。ただ、プロダクトデザイナーである私は、その1点のためにデザインするわけにはいきません。だからこそ、『デザイン性と施術性を兼ね備えた、どんな空間にもなじむ製品』を目指したいという気持ちが強くあって…。

嶋木さん

嶋木さん

サロンさまが何を求めるかで空間設計や設備機器の選定はガラリと変わります。たとえば、Smoå möbelは、マンツーマンや少人数制で、空間やコミュニケーションを大切にしたいと考えるサロンさまにはおすすめですが、生産性が高いサロンさまには機能面で劣ってしまいます。だからこそ、オーナーさまの想いをしっかり汲み取らなくてなはいけません。そこがいちばん大切だと思っています!

寒川さん

寒川さん

サロンさまごとに求める『使いやすさ』の意味が違いますもんね。プロダクトデザイナーとして、今のタカラベルモントのラインナップにはない製品を開発し、オーナーさまの選択の幅を広げていければと思っています。

中村さん

中村さん

寒川さんの新製品に期待しています!空間設計はデザイン性だけでなく、機能性や利便性、そして時代性などを考慮し、そのサロンのオリジナリティを表現することだと思うんです。この機能性や利便性は、設備機器を含めた提案ができるからこそ実現できるもの。タカラグループならではの強みでもありますね。

“サロンさまの想いをカタチにする”という同じ目標を掲げる3人のデザイナー。今後の活躍が楽しみです。

デザインについて語る

サロン空間づくりの今後の展望や目標は?

高田さん

高田さん

近年さまざまな業界でAI・人工知能の導入が進んでいますが、理美容業界においてもAIの活用が積極的に行われ始めています。タカラベルモントでも、スタイリストさまとお客さまのコミュニケーションをサポートするAI搭載のスマートデバイスミラー「ECILA」を開発しましたが、このようなデジタルと紐づけた製品はますます増えていくでしょう。心地よさは人によって感じ方が異なるので、それぞれのお客さまに合ったおもてなしができるような製品・システム開発に取り組んでまいります。

寒川さん

寒川さん

「どんな空間にもなじむ」というコンセプトで家具椅子のようなスタイリングチェアSmoå möbelを完成させましたが、サロンさまが求めるもの、という意味では、他にも正解がたくさんあると思うんです。だからこそ、その先の答えを見つけ、スタイリストさまにも、サロンに来られるお客さまにも満足していただける、製品開発を今後も行なっていきたいです。

中村さん

中村さん

空間設計のベースには、オーナーさまの夢があります。空間デザイナーの仕事は、いかにオーナーさまの想いに寄り添い、それをどう表現するかに尽きると思うので、完成までの過程を大切にしています。これからも、オーナーさまとの関係性を深めながら、空間づくりを行うことで、サロンに通うお客さまにも喜んでいただけるような空間を提供していきたいです。

嶋木さん

嶋木さん

空間デザイナーの仕事は、オーナーさまの想いをカタチにすることです。だからこそ、独りよがりのデザインではなく、オーナーさまが本当に求めているものをいかに引き出すかが、デザイナーの腕の見せ所だと思っています。今後も、ハイパフォーマンスで純度の高い提案をしていきたいですね。

今後、製品やサロン空間はどのように変化していくのか—。

時代の変化とともに、タカラベルモントはさらなる進化を続けていきます。

 

以上、プロダクト・空間デザイナーのサロン空間づくりにかける想いのリポートでした!

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